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新シリーズ「EOS V」の第1弾、キヤノン「EOS R50 V」発表会レポート
SNS投稿やライブ配信を強く意識 VRレンズへの対応も
2025年3月27日 18:41
既報の通り、キヤノンがミラーレスカメラ「EOS R50 V」、交換レンズ「RF-S14-30mm F4-6.3 IS STM PZ」および「RF20mm F1.4 L VCM」を3月27日（木）に発表した。ここでは同日都内で開催された発表会の模様をお伝えする。
“クリエイターの卵”に特化…「EOS R50 V」
ミラーレスカメラのEOS R50 Vは動画撮影向けのエントリーモデルで、5月下旬に発売する。価格はボディ単体が11万3,300円、レンズキットが14万800円。
「PowerShot V10」「PowerShot V1」に続く動画クリエイター向けの「V」シリーズで、初めてのレンズ交換式のカメラとなる。Vlog、シネマティック動画、配信といった分野での使用を想定している。特に昨今増えているSNSクリエイターを強く意識したモデルとなっている。
EOS Rシリーズのエントリーモデルとしてすでに発売されているEVF内蔵機「EOS R50」が静止画と動画をバランス良く楽しめる”オールラウンダー”という位置付けなのに対して、EOS R50 Vは幅広い映像ニーズに応える”クリエイターの卵に特化したカメラ”として訴求する。
デザインもこれまでのEOS Rシリーズのテイストとは変わり、動画撮影での使いやすさを追求した形となった。録画ボタンはこれまでのシャッターボタンの位置のほか、本体前面にも装備。自撮りや縦位置でも押しやすくしたという。
また録画状態を示すタリーランプの装備や、対応レンズで滑らかな電動ズームができるズームレバーも搭載した。モードダイヤルはこれまでのP、Av、Tv、Mといったポジションではなく、動画のカスタムモードを多く配置するなどしている。また、上面にライブ配信ボタンを備えているのも特徴的だ。
イメージセンサーはAPS-Cサイズを採用。4K30pまではフルフレームで記録できる。また新たに、クロップによる4K60pにも対応した。フルHDでは120p記録が可能でカメラ本体でスロー映像を作ることもできる。
レンズ一体型の「PowerShot V1」は熱対策としてファンを搭載していたが、EOS R50 Vはファンは非搭載となる。一方で放熱性が高いという「マグネダイキャスト」をシャーシに採用している。これにより、「自動電源オフ温度」を「高」にした場合は4K30pや4K60pでも熱による制限無しに撮影できるとしている（23度で測定した場合）。
カラーモードは3モードを搭載する。主に写真で使われている「Picture Style」、簡単にクリエイティブな画づくりになる「Color Filter」、Log撮影やLUTを適用した撮影ができる「Custom Picture」だ。
Color Filterは14種類が用意され、ティール&オレンジなどを含むシネマティックなルックになる。Custom PictureではCanon Log 3といったシネマEOSと共通の画づくりが可能。編集ソフトでのカラーグレーディングがしやすいため、使用者のステップアップに合わせて高度な映像表現にも対応するとしている。動画は4:2:2 10bit記録に対応している。
好みのLUTで撮影できる「Look File」機能も利用できる。ユーザーが用意したLUT（.cube形式）を登録して撮影可能となっている。
またシネマティックな映像を簡単に撮影できる「シネマビュー」機能も搭載した。シネマスコープのアスペクト比になるほかフレームレートも24pに設定される。Color Filterとも併用可能だ。
ライブ配信方法はUVC/UAC、HDMI、アプリ「Cmaera Connect」、アプリ「Live Switcher Mobile」の4種類から選べる。
Live Switcher MobileはiPhoneなどで複数の映像入力をスイッチングして配信できるアプリ。これまでiPhoneのカメラに対応していたが、今回同社のカメラとして初めてEOS R50 Vが対応する。4月に対応バージョンのLive Switcher Mobileが公開されるが、その他のカメラについての対応情報は現時点では明らかになっていない。
静止画では有効約2,420万画素での撮影が可能。静止画でもColor Filterを適用した撮影が可能で、例えば動画のサムネイルを本編と同じルックで撮影するといったことも可能になった。シャッター方式はR50同様、電子先幕/電子シャッターの2種類になっている。
軽量なパワーズームレンズ…「RF-S14-30mm F4-6.3 IS STM PZ」
キットレンズとなるRF-S14-30mm F4-6.3 IS STM PZは、重量181gと軽量で、EOS R50 Vと合わせて約551gと機動性のある重量となる。
7月に発売する。価格は5万5,000円。35mm判換算での焦点距離は22.4-48mm相当と、広角寄りの標準ズームレンズとなっている。
RFレンズで初めてパワーズーム機能を搭載し、鏡胴のズームリングやカメラのズームレバーで滑らかなズーミングを実現している。ズームリングは回す角度で2段階のズームスピードになる。リモコンやアプリでもズーム操作が可能となっている。
大口径レンズシリーズに20mmが登場…「RF20mm F1.4 L VCM」
35mmフルサイズ対応の「F1.4単焦点VCMシリーズ」に、超広角の「RF20mm F1.4 L VCM」が加わる。4月下旬発売で価格は28万3,800円。
同シリーズはF1.4の明るさのほかフィルター径、長さ、重さなどを共通化したもので、24mm、35mm、50mmが発売済み。
今回20mmという焦点距離を選んだ理由については、一般的なシネマプライムレンズの14/20/24/35/50/85/135mmといった焦点距離を意識したほか、前玉の突出が大きくなってしまうため、今のところこのサイズや明るさでは20mmが技術的な限界であるためという。
20mmだと24mmと近いという声もあったそうだが、スーパー35やAPS-Cサイズでの撮影ではこの数mmの差が画角の違いとしては大きいとのこと。
このシリーズは今後も開発を続けるとしており、同社では少なくとももう1種類のリリースを明らかにした。
「EOS V」という新シリーズ
登壇したキヤノン副社長執行役員 イメージンググループ管掌の戸倉剛氏は、「SNSの普及でプロだけではなく一般の人までが動画撮影を楽しみ活用する機会が増えるのに伴って、動画撮影に求められるニーズが多様化している」と現状に触れた。
そうしたニーズに答えるためにPowerShot V10、PowerShot V1をラインナップしたとし「本日、EOS Rシステムの強みを生かしながら、映像表現の幅をさらに広げるミラーレスカメラの新シリーズ『EOS V』シリーズとしてこのEOS R50 Vを発表する。クリエイターの皆様は魅力的な映像体験を楽しめる」と話した。
「EOS V」が新シリーズになったことで、今後のシリーズ展開にも期待がかかるところだ。
【2025年3月28日】初出時に「なお、EOS R50同様にメカシャッターは非搭載となっている」としていましたが、「シャッター方式はR50同様、電子先幕/電子シャッターの2種類になっている」に改めました。お詫びして訂正いたします。