ニュース
写真フィルムの使用頻度は変わった?…Webアンケート「フィルム写真に関する意識調査2024」の結果レポートが公開
2025年3月6日 09:48
日本国内の写真フィルムユーザーを対象としたWebアンケート「フィルム写真に関する意識調査2024」の結果レポートが1月31日(金)に公開された。フィルム写真に関する情報を発信するWebサイト「FilmFocus」が実施した調査。
写真フィルムユーザーに対して、過去1年間に使ったフィルムの種類や数、フィルムを使う頻度の変化など、その使用実態を問う内容。アンケートは2024年11月26日(火)~12月31日(火)にかけて実施し、合計802件の回答が集まった。
FilmFocusを主宰する森川公康氏によると、この調査を通して昨今の写真フィルムをとりまくトレンドを定量的に測り、またその結果をしっかりと公表することで、潜在的なフィルムの需要を顕在化する目的があるという。
調査結果(一部)
フィルム写真を始めたきっかけ
フィルム写真の経験年数が5年未満の場合、始めた動機として大きな割合を占めたのは「インターネット・SNS」だった。経験年数が10年以上のグループでは、「選択肢がフィルムしかなかった」の回答が最も多くなった。
過去1年間に使ったフィルムの種類・数
回答者のうち96%が35mmフィルムを1本以上使用しているという結果が得られた。年間で50本以上使用するというユーザーは、35mmフィルムでは全体の6%、120フィルムでは1%だった。
回答結果からの概算で、フィルムユーザーが1年間に使用する平均本数は35mmフィルムが約13.7本、120フィルムが約6.9本だった。
フィルムを使う頻度の変化・理由
「増えた」と答えた人は30%で、「減った」の27%をわずかながら上回った。その理由について自由回答で、「新しいカメラの購入」(23%)、「最近始めた・再開した」(12%)が挙げられた。
減った理由については「コストの増加」(70%)が顕著となった。
過去1年間に使ったフィルムのブランド
富士フイルムとコダックは経験年数を問わず高い使用率を示した。イルフォードについては経験年数が上がるほど使用率が高く、ロモグラフィーとシネスチルは経験年数3~5年の層での使用率が高かった。
ブームを文化に…
今回の調査を実施したFilmFocusは、前出の森川公康氏が2024年に立ち上げたWebサイト。森川氏は現在ニューヨークでフィルムの現像ラボに所属しており、国内外の写真フィルムの情報に触れる機会が多く、自身の情報を整理して発信する目的でFilmFocusを始めた。
森川氏によると、これまで写真フィルムのユーザーアンケートはメーカーも行っているが、その結果のすべてが公表されているわけではないのだという。昨今、若年世代を中心に“ブーム”として見られているフィルム写真やフィルムカメラの現状を、日本国内をフィールドとして定量的に観測したのが今回の「フィルム写真に関する意識調査2024」だ。
また森川氏は今回の調査結果を公表することで、フィルム写真をとりまくエコシステムにも活気を与えたいという。フィルムに対する需要を顕在化すれば、メーカー、販売店、ユーザー、現像ラボなどこのエコシステムを支える各プレイヤーにとってポジティブな影響を与えることが出来るのではないかという考えだ。
自身もフィルム写真をこよなく愛するという森川氏は、このブームをブームとして終わらせず、「次の世代に文化として引き渡していける環境づくりが必要」だと、フィルム写真の今後を見据えている。