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キヤノン、高耐久の「ペロブスカイト量子ドットインク」を開発

“量子ドット8K有機ELディスプレイ”に可能性

ペロブスカイト量子ドットインクが発光している様子

キヤノンは5月29日、半導体微粒子「ペロブスカイト量子ドットインク」を開発し、実用可能な耐久性を世界で初めて実証したと発表した。

量子ドットは、高輝度で高い色純度の光を発光できる直径数ナノメートルの半導体微粒子。カドミウムフリー材料として、環境配慮の視点からInP(リン化インジウム)量子ドットと並んで注目されている材料だという。

従来までは耐久性が低く実用には至らなかったものの、同社のプリンターやトナーの開発によって培った技術にて微粒子に保護膜を成形。色純度と光利用効率を保持したまま、実用可能耐久性を世界で初めて実証。

従来のドットインクではテレビ放送用規格「BT.2020」の色域の88%をカバーしているのに対し、今回発表された「ペロブスカイト量子ドットインク」では、同94%をカバー。将来的には、広い色域を持ち合わせた8Kなどの超高精細量子ドットディスプレイが実現される可能性があるという。

加えて、光利用効率が高いため、現在の量子ドットを用いた有機ELテレビと比較して約2割の消費電力削減が見込まれる。

本誌:佐藤拓