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SanDisk Professional詳報:高速ストレージから144TBの大容量ストレージまで。新ブランドは誰に向けた製品群を提供していくのか

ウエスタンデジタルは7月7日、新ブランド「SanDisk Professional」立ち上げに関する説明会をオンライン形式で開催した。同ブランドがどのような経緯で誕生し、また今後展開していくことになるのかをお伝えしていきたい。

SanDiskとG-Technologyを融合する

発表会でははじめに国内セールスのバイスプレジデント職を務めるラリー・スウィージー氏が登壇し、SanDisk Professional誕生の経緯を説明した。

ラリー・スウィージー氏

氏によれば、SanDiskブランドは、プロからも高い信頼が寄せられているブランドで、「業務として撮影をする」というワークフロー面でも一定の評価を得ているという。また、ウエスタンデジタルグループによる日立グローバルストレージテクノロジーズ(HGST)買収に伴い、同社が引き継いだG-Technologyブランドの存続も必要だと考えたと続けて、両ブランドを統合した新ブランドが「SanDisk Professional」の在り方なのだと説明した。

なぜこのタイミングなのか、という点に関しては、マーケットやカメラの変化によるところが大きいとしたラリー・スウィージー氏。静止画向けのカメラが静止画だけでなく、動画撮影にも対応し、またSNSなどへの動画投稿が一般化したことを背景に、クリエイターが増大。比例してコンテンツ量が飛躍的に拡大したことで、高い信頼性や大容量記録ストレージが記録メディアソリューションに求められるようになってきたのだとして、ブランド統合のタイミングとして好適な状況になったことが、背景として大きいのだと続けた。

つまり、SanDisk Professionalのブランドアプローチとは、G-TechnologyブランドとSanDiskブランドが培ってきたプロニーズからの信頼や認知度をベースに、現今のストレージ製品に求められる、高速性や信頼性、堅牢性などに応える製品群として構成されていく、というわけだ。

なお、当面の製品展開ではSanDisk Professionalとして扱われる製品内で、SSDやHDDストレージでは一部G-Technologyのロゴが併用されていくことになる。

誰に向けた製品ソリューションなのか

新ブランドのターゲットユーザーに関しては、プロダクトマーケティングマネージャーの濱田健造氏から詳細が発表された。

濱田健造氏

これまで同社が展開してきたストレージ製品は、「WD」や「SanDisk」ブランドが一般ユーザーやプロを対象にし、また「Western Digital」としてエンタープライズ分野を担う構成となっていたが、「SanDisk Professional」はこの中間に位置するブランドとして、写真・動画愛好家やプロユーザー、医療分野など、高い信頼性が求められるデータ保存ニーズに応えていくブランドとして製品群を展開していくのだという。

撮影から保存に至る一貫したワークフローの提供もSanDisk Professionalの特徴だ。これにより、エンターテインメント業界やプロシューマー、企業レベルで求められている大容量ストレージやコンテンツの高速転送、厳しい環境下での堅牢性・耐久性、使い勝手の良さなどに応える製品を展開。これら厳しい条件を求める幅広いユーザーに使ってもらえるブランドにしていきたいとのビジョンが語られた。

利用シーンのイメージ

CFexpressカードやカードリーダーなどの価格が判明

この7月に発売を予定している製品群に関する具体的なデモンストレーションも披露された。

CFexpressカードとカードリーダー、そしてそのカードリーダーを複数台セットできるドック、ポータブルSSD、RAID製品などがそれぞれ披露された。各製品の基本仕様は既報記事と一部重複する部分があるが、改めて発表内容を踏まえつつ整理した。

CFexpressカード

製品名は「PRO-CINEMA CFexpress VPG 400」。400MB/秒の最低書込速度が維持できる仕様は既報の通り。今回、最大容量は256GBとなることが明らかになった。また、手持ちのサイズからType B規格のカードだろうことが見て取れる。

残念ながら、発売日および価格は未定とのことだった。

カードリーダー+ドック

カードリーダー「PRO-READER」シリーズは、4ベイ構成のカードリーダー用ドッキング・ステーション「PRO-DOCK 4」と組み合わせて運用できる仕様。CFexpressカードのほか、CFast、RED MINI-MAG(主に映像用途向けの記録メディア)、CF・microSD・SDカードに1台で対応するタイプの、計4種類で展開する。これらは7月下旬に順次発売となるとのことで、店頭予想価格も公開された。

まず、気になる価格から。PRO-DOCK 4は8万円前後の想定で、カードリーダーはCFexpress、CFast、CF・microSD・SD対応の3台がそれぞれ1万5,000円前後、RED MINI-MAG用は3万円前後の見込みだという。

発表会では、ドックとリーダーの動作デモも紹介された。ホットスワップにも対応している模様で、ドックが通電・接続されている状態でカードリーダーをセットしても、認識・動作している様子が披露された。リーダー自体を挿抜自在なカードのようにして運用することもできそうだ。デモでは、4種類それぞれのリーダーがセットされた状態となっていたが、4つのベイにそれぞれ同じリーダーを装着して利用することもできるとの言及があった。

フロントパネルをオープンし、多台構成のスロットローディング式HDDドライブのように、カードリーダーをセットする

各リーダーはUSB Type-Cでの接続となる。また、PRO-DOCK 4は前面に3.5mmのイヤホンジャックを1基とUSB Type-C端子およびUSB Type-A端子をそれぞれ2基搭載。背面も公開され、Thunderbolt 3端子を2基、Displayportおよび有線LANコネクタをそれぞれ1基備えた仕様であることが判明した。

ポータブルSSD

ポータブルタイプのSSDからは「G-DRIVE ArmorLock SSD」が紹介された。こちらも7月下旬の発売を予定してるという。価格面については、これまでのG-Technology製品の価格帯を引き継いでいくという。同社オンラインショップでは1TB、2TB、4TBの容量がラインアップされている。

特徴は、ロックの解錠をスマートフォンから操作できるようになっていること。これにより、逐次パスワードを確認したりといった操作面の煩わしさから解放されるメリットが得られる製品となっているという。濱田氏によれば、特に屋外ロケなどで使い勝手が良い製品だとするコメントがあった。

これから展開を予定している製品

具体的なデモがあった製品のほか、新たに存在が確認できた製品もみられた。中でもユニークなのが、8ベイ構成のハードウェアRAID「G-RAID SHUTTLE 8」。価格および発売日は不明。

最大ストレージ容量が144TBのモデルから、96TB、48TBでラインアップ。内部ディスクには、エンタープライズクラスとするUltrastar銘のHDDを搭載。さらに40GbpsをほこるThunderbolt 3とUSB Type-C(10Gbps)の両インターフェイスを備え、最大で1,900MB/秒の読み取りと2,000MB/秒の書き込み速度を実現しているという。主な用途は要求性能の厳しいスタジオでのビデオワークフローとしているが、“究極のストレージソリューション”を標榜しているとおり、強力なバックアップストレージ製品となりそうだ。RAIDは0、1、5、6、10、50、60構成をサポート。最大で5台の周辺機器をデイジーチェーン接続で運用できるという。

本誌:宮澤孝周