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ソニー「RX0」はいわゆるアクションカムなのか

撮影者の発想が試される超小型・高画質カメラ

9月1日、ソニーより国内発表があった「RX0」。防水・耐衝撃性能を備えた小型ボディは、まるでGoProをはじめとしたアクションカムを思わせるものだ。しかしソニーではこのRX0を、アクションカムとは別のベクトルの製品であると強調。同じステージで見られることを気にしているようだ。

確かにRX0は、1型センサーやBIONZ XといったRX系の要素を引き継ぐことで、いわゆるアクションカムとは一線を画す画質性能を実現している。レンズにも「ZEISS Tessar T*」を奢り、バッテリーも交換式。それらを指先でつまめるサイズに詰め込んだ。直方体の見た目はアクションカム的だが、中身はかなり違うのだ(その分高価だが)。

背面モニターに表示されるメニューが、まんまαなことにも驚かされる。シャッターボタンを半押しするとAFがはじまるし、測光モードもマルチパターン/中央重点/スポットと一通り揃う。ライブビュー上ではマニュアルフォーカスも可能。見た目はアクションカムだが、とにかくカメラっぽい。

当のソニーはRX0をどう説明しているかというと、「他のアクションカメラのような、ウェアラブルな使い方は想定していない」「あくまで作品制作のためのカメラ」といいきる。

基本的にRX0とは、RXシリーズの高画質性能を、堅牢性の高い小型ボディに詰め込んだものである。その目的は、アクションカム的なログ記録ではなく、これまでのカメラでは難しかった撮影が可能になること。それがRX0の存在理由とのことだ。ちなみに量販店などでの売場は、高級コンパクトカメラと同じエリアが見込まれている。

例えば、水や砂塵などを伴う撮影や、空中や地面からの撮影。ソニー提供の作例を見ると、屋外で衣服やヘルメットにカメラを付けて撮ったというよりは、スタジオできっちり作り込んだものが目立つ。スタンドやブームなどを使い、厳密な構図をもとに制作されたものに見える。それでいて空中に吊ったり床に埋め込んだりと、一般的なカメラより設置の自由度がすこぶる高い。そう思うと、撮影者の発想が試されるカメラだと強く感じる。

ソニー提供の作例
ソニー提供の作例
ソニー提供の作例
ソニー提供の作例

加えて、マルチカメラコントロールにも注目だ。発売時は最大5台のRX0をワイヤレスをコントロール可能。2018年1月には、ルーター経由で接続台数を増やしたり、カメラコントロールボックスを介した有線接続により、遅延の少ない制御が可能になるという。

もちろん既存のアクションカムでも静止画・動画の制作による表現は可能だし、ソニーもRX0をウェアラブルで使うことを否定していない。1型センサーの画質性能と堅牢な小型ボディの組み合わせが消費者にどう映るのか、RX0の今後の動向を見守りたい。

本誌:折本幸治