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オリンパス、「OM-D E-M1 Mark II」を年内発売
約18コマ/秒のAF追従連写など、フルモデルチェンジの最上位機
2016年11月2日 14:03
オリンパス株式会社は「OM-D E-M1 Mark II」を12月下旬に発売する。価格はオープン。ボディ単体の店頭予想価格は税別22万円前後の見込み。本稿執筆時点でレンズキットの設定はない。
9月のフォトキナ2016で開発発表された最新フラッグシップ機。日本でも発売時期と価格が決まった。最終仕様もあわせてお伝えする。
E-M1 Mark IIは、2013年10月に発売された「OM-D E-M1」の後継機。E-M1は発売以来、AF追従連写速度が約6.5コマ/秒から約9コマ/秒にアップしたり、新機能「深度合成」(E-M1 Mark IIでは対応レンズが増える)を追加するなどのファームウェアアップデートを経て、発売4年目を迎えている。
その後継となるE-M1 Mark IIは、最新デジタルデバイスの処理性能をもとにフルモデルチェンジ。その象徴的なポイントとして「最大約18コマ/秒のAF追従連写」があるが、ファインダーの表示フレームレートやレスポンスなど、特定の撮影シーンに関わらず恩恵を受けられそうな基礎体力アップが行われている。
1,600万画素→2,000万画素に。ブレ軽減の新開発シャッター
E-M1の有効1,628万画素からアップした、有効2,037万画素のLive MOSセンサーを搭載。感度はISO200〜6400(拡張でISO64相当〜ISO25600も設定可能)。イメージセンサー上のシールガラス両面に反射防止のARコートを施し、センサー面の反射に起因するフレアやゴーストを軽減した。
新しい画像処理エンジンの「TruePic VIII」は4つのCPUコアと4つの画像処理コアによる構成。従来より3.5倍の高速化を果たし、フル画素記録での高速連写を実現した。
最高シャッター速度は1/8,000秒、シンクロ速度は1/250秒以下。新開発のシャッターユニットは動作耐久20万回のテストをクリアし、バネダンパー方式で振動がボディに伝わりにくいというフローティングシャッター構造としている。メカシャッターを使わない電子シャッター撮影では、最高1/32,000秒まで切れる。
動画記録は最大237Mbpsのシネマ4K(4,096×2,160/24P)に対応。外部モニタリング用のHDMI出力なども特徴とする。
5軸手ブレ補正、50Mハイレゾショット
ボディ内のみでシャッタースピード5.5段分、対応レンズと協調する「5軸シンクロ手ブレ補正」では最大6.5段分の補正効果が得られる。手持ち撮影可能なシーンを広げ、動画機能「OM-D MOVIE」における手持ちでもブレが目立たない動画撮影にも寄与する。
また、イメージセンサーを0.5ピクセルずつ動かして連写合成し、高解像度の画像を得る「50Mハイレゾショット」にも対応。これまでの対応機種と同様、三脚必須で、解像力の高いレンズを推奨している。
121点オールクロスのAFシステム
一新したAFシステムでは、121点オールクロスの像面位相差AFを利用可能。シングルAF(S-AF)と動画撮影時はコントラストAFも併用する。E-M1は縦線検出のみの37点で、測距点配置も縦横6割程度の面積だったところ、Mark IIでは8割程度まで広がっている。EVF撮影時に背面モニターを利用した「AFターゲットパッド」にも対応。
同社は一眼レフの位相差AFセンサーに対する像面位相差AFのメリットとして、「撮像面でピントを測るため正確」、「露光中も測距可能なため動体追従AFに有利」、「レンズの開放F値に関わらず全点で正確に測距できる」、「ボディの小型化が可能」というポイントを挙げている。
新しい動体追従アルゴリズムは、被写体の高速移動や急停止/急加速にも強くなったという。撮影シーンに合わせて追従感度も設定可能。新アルゴリズムは25万枚の撮影テストを通じて鍛え上げたとしている。レンズごとにAF駆動範囲をプリセットできるAFリミッター機能も搭載した。
連写時の最大撮影コマ数
9月の開発発表時には未定だったが、最終仕様が決まった。
- AF/AE追従(電子シャッター):最高約18コマ/秒(RAWで77コマ、JPEG LNで105コマまで)
- AF/AE追従(メカシャッター):最高約10コマ/秒(RAWで148コマ、JPEG LNで容量一杯まで)
- AF/AE固定(電子シャッター):最高約60コマ/秒(RAWで48コマ、JPEG LNで48コマまで)
- AF/AE固定(メカシャッター):最高約15コマ/秒(RAWで84コマ、JPEG LNで117コマまで)
全押し前を記録できる「プロキャプチャーモード」
ドライブモード内に新設されたプロキャプチャーモードでは、シャッターボタンを半押ししたところからフル画素でのRAW記録を開始し、全押ししたところの前後コマがメモリーカードに記録される。全押し前は最大14コマまで遡れる。
記録スピードは60fps〜15fpsを4段階から選べるため、15fpsで14コマを遡ると、シャッター全押しのおよそ1秒前を記録できることになる。
レスポンス向上したEVF、レリーズタイムラグ、再生コマ送り
EVFのフレームレートはE-M1の60fpsから120fpsに向上。最短表示タイムラグは16m秒から5m秒に縮めた。また、ハードウェア進歩による高速処理に支えられ、10コマ/秒の連写時でもコマ間にファインダー像が長く見られるようになったという。
光学ファインダーのような見えを再現し、明暗差のあるシーンも見渡しやすいという「OVFシミュレーションモード」は、E-M1ではHDR技術を用いていたところ、E-M1 Mark IIではHDR技術を使わず実現できたため、表示タイムラグが大幅短縮された。
ファインダー倍率は35mm判換算0.74倍、表示解像度は約236万ドットでE-M1と同じ。
レリーズタイムラグは、E-M1の45m秒から30m秒に短縮(メカシャッター時)。連写で撮影枚数が増えることを見越し、再生時のコマ送り速度も3コマ/秒から10コマ/秒以上に高めた。
新機能
「マイセットバックアップ」を新搭載。カスタマイズした設定をPCに保存し、必要時にカメラへ書き戻せる。ファームウェアアップデート時の設定保持を可能とした。
また、記録先のフォルダ指定/フォルダ新規作成や、ライブビュー画面の罫線表示色を選べる機能なども盛り込まれている。
ボディはE-M1に引き続き、防塵・防滴・耐低温(-10度)の仕様。
SDダブルスロットを採用
対応記録メディアはSDXC/SDHC/SDメモリーカード。片方がUHS-II対応のダブルスロットとした。順次記録、振り分け記録、同一書き込みが可能。
カメラ側面のUSB端子はUSB Type-Cを採用。USB3.0の高速データ転送を可能とした。
容量アップの新バッテリー。充電時間は短縮
バッテリーは新型の「BLH-1」を採用。容量が約37%アップし、充電所要時間は約4時間から約2時間に短縮された。また、残量のパーセント表示が可能になっている。
撮影可能枚数は、同梱のフラッシュを装着しない状態で約440枚。新搭載の低消費電力撮影モードでは同約950枚の撮影を可能としている。
同梱フラッシュは、E-M5 Mark IIのものと同様に発光部を動かせる「FL-LM3」。
別売で「パワーバッテリーホルダーHLD-9」を用意。カメラ本体とは別に1本のバッテリーが入り、2つのダイヤルとファンクションボタン、十字キーが備わる。