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エプソン新Colorioの特徴は、省スペースと低ランニングコスト

エコタンクモデル第2弾も投入 CMキャラクターは吉田羊さん

エプソンは9月1日、コンシューマ向けのインクジェットプリンター「Colorio」(カラリオ)の新製品を発表。マスコミ向けの発表会を行った。

Colorioシリーズの複合機では最もコンパクトなサイズを実現し、フォトストレージ機能を搭載したモデルも用意したほか、ランニングコストを削減できるエコタンク搭載モデルなどラインナップを拡充した。

ユーザーのニーズに応えるラインナップの追加でプリント市場の拡大を目指したい考えで、インクジェットプリンターで45%以上のシェアを目指す。

Colorioシリーズはフルモデルチェンジとなり、写真画質を強化しつつランニングコストを下げたColorio V-edition搭載モデル、2年間のインク交換が不要な大容量のエコタンク搭載モデルを拡充した。

エプソンのプリンターは1996年に「おうちプリント市場開拓」として6色インクを搭載したColorioシリーズを発売して以来、多機能化の推進、ビジネス市場の開拓といった取り組みを続けてきた。

コンシューマー市場を強化する中で、家庭での様々なプリントニーズに応えるとして、今年前半にはV-edition搭載モデル、エコタンク搭載モデルを投入。冬モデルでは、さらに小型化したモデルを投入する。

さらなる小型化を実現したEP-879A

EP-879Aは、2011年のEP-804Aに対して横幅で96mm減となる349mmを実現。設置面積では42%減となり、大幅にコンパクト化している。

紙送り機構を初めて変更したほか、インクカートリッジのサイズを厚く、短くしたことで、コンパクト化しながら容量を維持し、それをプリンターの縦方向ではなく横方向に収めることで小型化を実現した。

シンプルでマット調のデザインは、「家庭に溶け込むことを狙った」(セイコーエプソン取締役 常務執行役員プリンター事業部長久保田孝一氏)としており、インテリアの中で自然に意識させない存在を目指したという。

コンパクト化したことで、今まで設置できなかったような場所にも置かれることを想定し、全方位から見ても溶け込むようなデザインを追求した。

前面の給紙トレイに用紙をセットしたり、SDカードスロットにカードを挿入したりしても飛び出さず、本体を閉じた状態にしておけるので、印刷準備段階でもプリンター然としないで設置できる。

スマートフォンから遠隔で印刷する際も、電源オフ状態から電源オンになり、自動で排紙トレイが出て印刷完了し、電源オフですべて収納されるため、インテリア性を損なわずにプリントができる。

給紙専用モーターを設置してモーター切り替え駆動をなくしたり、回転数の見直しなどを行った結果、稼働音も低減。特に耳障りな高周波帯域の稼働音を減らしたことで静音化も図られている。

インクも新しくなり、特に緑領域の表現力を拡大。写真補正機能の「オートファイン!EX」と併用することで、写真をより美しく再現できるようになったとしている。

ユーザーからの要望が多いというコピー機能も強化。コピー時の背景をよりすっきり見せる「背景すっきり」の性能を強化。細い線や小さい文字をより鮮明にコピーする「細線くっきり」「文字くっきり」機能も搭載した。

前面の2段トレイで同時に複数の用紙サイズを同時に設置できる点は変わらず、背面の給紙トレイが名刺やトレーシングペーパーに対応した。

20種類のデザインを内蔵した「デザインペーパー印刷」機能では、ラッピング用紙のような背景を印刷して、プレゼントを包むといった用途にも使えるようになった。

スマートフォンとの連携機能では、新たにフォトストレージ機能を搭載。プリンターに接続したHDD/USBメモリ/SDカードに画像を転送し、日付ごとに管理できる。

デジタルカメラやスマートフォンなどに分散した画像を集約して、スマートフォンアプリ「Epson Photo Library」から画像にアクセスして印刷することができるようになった。

本体のコンパクト化に伴ってディスプレイサイズも小さくなったが、新たなUIを採用し、タブで整理するなどして操作性を向上させたという。

動画によるヘルプも充実させた。

K2インク採用のA4モデル「EP-30VA」

ClearChrome K2インクを採用して、写真画質を向上させつつランニングコストを低減させたEP-30VAは、用紙コストを含んでLサイズ1枚当たり12.7円という「半額近いランニングコスト」(エプソン販売取締役 販売推進本部長鈴村文徳氏)を実現。

従来モデルのEV-10VAではランニングコストの低さが評価されつつも、A3対応モデルであったため本体価格の高さなどがネックになったとしており、A4プリントに限定したEV-30VAでは、コンパクト化に加えて本体価格もエプソンダイレクトショップで4万9,980円に抑えた。

同時発表のEP-879Aと比較すると、1カ月にLサイズの写真44枚以上、またはA4の写真9枚以上印刷する場合にEP-30VAのほうが安くなるということで、大量の印刷をするユーザーほどメリットがある。

実際、同じくV-editonのEP-10VAを利用するユーザーは、通常のプリンターに比べてプリント量が約130%増加し、プリント全体に占める写真印刷の割合も約15%から約29%に伸びていたという。

ディスプレイに表示された写真の色と実際のプリントの色をマッチングさせるために、実際の画像の色見本を印刷する「補正一覧印刷」機能も搭載。モニターのカラーマッチングをしなくても色見本から選んで印刷をすれば、自分の希望した色に近い印刷ができる。

エコタンク搭載モデルをカジュアルに

エコタンク搭載のEP-M570Tでは、本体サイズのコンパクト化、デザインの刷新、メモリカードスロットの新設、低価格化を図り、ユーザーの要望に応えた。

本体サイズは横幅で70mm小さくなり、設置面積も27%低減。本体とタンクを一体感のあるデザインにしたことで、見栄えが良くなった。

エコタンクを搭載したことで、ユーザーが気兼ねなくプリントできるようになったとしており、国内初のエコタンク搭載モデル「EW-M660FT」(2月4日発売)の利用者ではプリント量が約140%増加し、インクカートリッジの交換も一般的なプリンターが年30回だったところ、エコタンク搭載モデルでは13カ月目で一度インクを注入する程度で済んでいるという。

課題をクリアして市場を活性化させる

家庭用プリンター市場は縮小傾向で、現時点で前年比92〜93%程度と低調だ。

エプソン販売株式会社の佐伯直幸社長は新モデルについて、「21年目の新たな挑戦としてさらなる小型化を達成したモデル」とアピール。

エプソン販売株式会社の佐伯直幸社長

プリンター利用の不満点であるランニングコストや設置の問題といった課題を解決することで、「気兼ねなく使える」ことを重視して、最大の年末商戦に向けて市場を活性化していきたい考えだ。

新たなCMキャラクターには、タレントの吉田羊さんが起用された。