オリンパスZUIKOレンズ 写真家インタビュー
被写体へのときめきを写しとめる…佐藤大史さん
M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PRO
2020年2月20日 12:00
オリンパスのZUIKOレンズを使う写真家に、作品表現でのポイントや使い勝手をお聞きしていく本企画。
今回は写真家の佐藤大史さんに、写真を撮るとき気をつけていることや、撮影機材で重視していることなどを聞きました。レンズ「M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PRO」で撮影された作品も紹介します。
佐藤大史
SATO DAISHI
1985年生まれ。長野県安曇野市在住。日本大学芸術学部写真学科卒業。卒業後、写真家白川義員の助手を務め、2013年独立。「我々の属しているもの」を伝えることを目的に、アラスカなど手つかずの大自然とそこに生きる生き物を撮影している。2017エプソン三好和義賞受賞。SSP会員。
現在、どのような作品を撮られていますか?
1年に3〜4カ月ほどはアラスカに行き撮影をしています。手つかずの自然と、そこに生きる生きものたち、いわば動物写真と風景写真を撮影しています。
中でも美しいと思うのは、数千年・数万年変わらないような大自然の中に、ポツンと野生の生き物が佇んでいる光景。日本では興味を持ったものはなんでも撮りますが、ここ数年は犬の写真や、鹿と猟をテーマに撮っています。
佐藤さんにとって、長野県とはどういった土地なのでしょうか。
長野県には、元々すごく遠いところというイメージがありました。小さな頃に父親に連れられて北アルプスや八ヶ岳に登山で来ていましたが、いつか自分が住む場所になるとは思っていませんでした。
大きな山があり、広い空があるところ。元々はそういったイメージがありましたが、移住してからは、そこに水の流れが加わりました。山に登っても、平野部をドライブしていても、川や湖の存在が文化や慣習、地形や風景を形成する上で大きな影響を与えていることを知りました。
長野県に拠点を移されたきっかけは何でしょうか。エピソードがありましたら教えてください。
小さい頃から父親に連れられて、あちこちの山を登っていました。大学に入ってからは部活で長野県の山によく登るようになったので、長野県自体は少しづつ身近になりました。
白川先生の助手を経て、北アルプスの山小屋での勤務でお金を貯めつつ、フィールドワークを学びました。その頃に安曇野で運転中、遠くの空で雨が降っているのが見え、その横に強い光が注いでいました。「日常の中で晴れと雨が一緒に見えるなんて素敵だな」と思い、移住を決めました。
撮影時に心がけていることはありますか?
もちろん被写体によって異なりますが、“何にときめいているか”、ですね。どのような形でアウトプットする写真なのか、その対象は誰なのかまでを考えることも大事なのですが、“綺麗”や“可愛い”、“かっこいい”や“スゲー!”などといった、まるで子供のようにときめいたままの感覚で撮ることも大事にしています。
お気に入りの撮影場所や、長野での撮影でオススメしたい場所がありましたら教えてください。
お気に入りは、現在住んでいる安曇野の何気ない場所です。安曇野には良くも悪くもシンボリックな撮影場所が少ないので、ドライブや自転車での周遊が一番楽しめると思いますよ。
長峰山の展望台では北アルプスも一望できますので、空の広さを感じるのにも、とてもおすすめです。車でもいけますが、長峰荘という温泉宿のところにある登山口からハイキングで向かうのも、気持ち良いですよ。
交換レンズに求める性能とは?
携行性ですね。どんなにいいレンズでも持ち歩かなければ使えませんので。“軽くコンパクトであること”が撮影のパフォーマンスを上げてくれます。
次に描写力と開放F値。暗いところでも撮る可能性がある場合は、できるだけ明るいレンズを選びます。また、PROレンズの堅牢性も必須の性能です。
M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PROの使用感や描写について、ご感想をお聞かせください。
M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PROは、少し重いかな、と感じることもありますが、その重量は530g程度。35mm判フルサイズ用の同等クラスのレンズと比べても半分程度の重さです。しかも、その描写能力はフルサイズ機を使っていた頃に比べても、高いように感じます。星やオーロラを撮っても画面の周辺に歪みが少なく、周辺まで明るく、キレがある印象がありますね。
また、ゴーストやフレアが少ないのも特筆すべき点です。以前までは満月を入れてオーロラを撮るとゴーストが邪魔をするので躊躇していましたが、このレンズにしてから満月とオーロラを組み合わせた表現も可能になりました。
7-14mm F2.8 PROと一緒に、M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PROも携行されることが多いとのことですが、どのように使い分けていらっしゃるのか、ポイントを教えてください。
写真を撮る時、撮影者は全体を見ているようで一部を見ており、その”一部”の情報を高速で重ねることで”全体”を把握しています。全体を写せるのがワイドレンズだとすると、40-150mmでは一部をクローズアップして写すことができます。
いっぽう、7-14mmは広い風景や奥行きを出したいときに活躍します。また、被写体が生き物であれば、150mmでは細かな表情まで写したり、40mmでは生き物とその背景を写すこともできます。大抵の場合、2台あるボディの片方には40-150mmを付けています。
40-150mmは、35mm判換算で80-300mm相当になるレンズながら、片手で取り回せるサイズ(三脚座を外して760g)なこともあり、遠征ではまさに頼れる相棒。遠くにいる生き物を確認する時にも使えます。
オリンパスのカメラで気に入っている機能は?
何が一番、と聞かれると困ってしまいますが、防塵防滴・耐低温性能には救われることが多いです。数カ月間ほとんどフィールドにいるようなこともあれば、−40度の撮影環境となる場所に行くこともあるので、機材の強靭さは私にはなくてはならないものです。
また、雨風の中でのレンズの付け外しもするので、センサーにゴミがつきづらいことも、とても強力なサポートになります。
次はレンズ群です。オリンパスレンズの色もボディとともに自分とは相性がよいのですが、何といってもキレが良いです。画素数よりレンズのキレが大事だと思っている私にとって、合焦部ははっきりと高解像(開放でもシャープ!)で、遠くの生きものの表情まで写る描写力が魅力です。
告知があればぜひ!
オリンパスプラザ東京・大阪のクリエイティブウォールで開催されるグループ作品展「OM-D E-M1 Mark III 発表記念特別企画9人のプロ写真家による作品展」に出展します。また、5月9日〜17日にかけて、松本市メディアガーデンにて写真展があります。詳細はWebサイトにて。
オリンパスプラザ東京
・会期
2020年2月21日(金)~2020年3月11日(水)
・時間
11時00分~19時00分
・所在地
東京都新宿区西新宿1-24-1 エステック情報ビル 地下1階
・展示
詳細はこちら
オリンパスプラザ大阪
・会期:2回にわたって開催
2020年2月28日(金)~2020年3月5日(木)
2020年3月21日(金)~2020年4月2日(木)
・時間
10時00分~18時00分(最終日は15時00分まで)
・所在地
大阪市西区阿波座1-6-1 MID西本町ビル
・展示
詳細はこちら
デジタルカメラマガジンにも佐藤大史さんが登場!
デジタルカメラマガジン2020年3月号の連載「日本列島 ZUIKO LENSの旅」で、佐藤大史さんによるM.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PROの解説が掲載されています。
本連載は47人の写真家が47の都道府県を巡るというもの。今回、佐藤さんは長野を巡っています。ぜひ、あわせてご覧ください。
制作協力:オリンパス株式会社