写真展開催を目指して、女子美術大学の写真部員が奮闘中!

9月、オリンパスプラザ東京でのグループ展を目指し、女子美術大学とオリンパスがコラボレーション。

講師に“街角写真家”佐々木啓太氏を迎え、去る7月7日に撮影会を行ないました。その後7月25日に、撮影会での写真の講評会を女子美術大学の杉並キャンパスで開催。その講評会にお邪魔してきました。

講師の佐々木啓太さんを囲んで。明るく元気で、和気あいあいとした女子大生らしい空気が、部員の皆さんの写真にも反映されていたのが印象的でした
校内に貼られた、撮影会や部員紹介など、写真部の活動を報告する「しゃしんぶん」。もちろん写真部員の手作り
オリンパスからは、E-PL3などのデジタルカメラが写真部員全員に貸し出されました

撮ることから見ることまで。写真についての丁寧な解説

女子美術大学の写真部は、四年生大学、短期大学部合同となっており、現在の部員数は四年制大学から8名、短期大学部から4名参加の合計12名。

写真に関しては、ほぼ初心者が多く、7月7日の撮影会で、初めてレンズ交換式のカメラを使用したという人も。

この日は、撮影会後の写真の「講評会」ということで、講師の佐々木啓太さんが、写真を撮るときの心構えや、写真の見方、また、今後の写真展での写真の見せ方について、丁寧に座学を行なわれました。

佐々木さんの話しに耳を傾ける写真部の皆さんの表情は真剣そのもの。質問も飛び交いました
熱心にノートをとっていた写真部員の皆さん。美大生らしく、イラストを交えた書き込みなども見られました

写真展に向け、「とにかくたくさん写真を撮ること」「心が動いたときにシャッターを押すこと」「うまくなることよりも、自由に撮ることが大切、いまの自分にしか撮れない写真がある」ということを佐々木さんが丁寧に解説。

「誰でも撮れるようなものは、誰かに任せておけばいい。その時々のチャンスを活かして、その時にしか撮れない写真を」という言葉には、大いに納得した様子でした。

また、写真を“見る”ときには、大きすぎず、小さすぎないA4サイズ程度の大きさでプリントするのがオススメと、佐々木さんが実際にプリントしたものを並べると、その場にいた全員が身を乗り出し、パソコンで見ている自分の写真とは印象が違うこと、また、プリントして初めて気付くことなど、一同が感心していました。

A4サイズのプリントで見る佐々木さんのモノクロ、カラーの作品。部員の皆さんの、写真の見方が変わっていく瞬間が垣間見えました

初心者にも分かりやすい、カメラのレクチャーも

写真部員とはいえ、初心者も多く、露出や色味の調整、交換レンズなどについても解説がありました。

レンズを変えることで、撮影の幅が広がるということが、とても新鮮だったようです。

この日、佐々木さんが持参したオリンパスのボディキャップレンズ「BCL-1580」は、その薄さや斬新さも手伝って、部員の皆さんに大人気。

貸し出し機材である自身のカメラに実際に取り付けてみるなど、とても盛り上がっていました。

佐々木啓太さんが実際に使用するボディキャップレンズを披露
実際にボディに取り付け、液晶モニターを見て驚くなど、一気に場が沸いた瞬間でした

ひとりひとりの作品に対し、細やかな講評

座学を一通り終え、講評会に入ると、この日の講評会に参加した写真部員8名が、自身の写真作品を3点セレクトし、その作品ひとつずつに、佐々木さんが講評を行ないました。

「写真には、その人が表れる」「人ごみが苦手など、自分自身のイヤだと思うことをあえてすることはなく、自分自身のいいところ、好きなところを伸ばしていけばいい」「人を撮るときにも、いい表情を探して、何度も撮ってみる」「寄ったり引いたりして、いいアングルを模索する」など、各作品に対して、写真として面白いところ、もっとよくなりそうなポイントなどをアドバイス。

講評にはMacとプロジェクターが活躍していました。カラーの作品を、モノクロに変換して再度見る、組み合わせてあらためて見るなど、デジタルならではの講評会となりました。

講評会は、画像管理ソフトAdobe Bridgeを使用し、プロジェクターに各作品を投影して行われました。自身の作品を大きな画面で見ることで、新たな発見も多かったようです
女子美術大学では、学生ひとりにつき、1台のMacを所有。講義でも使用するそうです。自分の作品をパソコンでセレクトするのは、デジタル時代ならではの様子でした

講師を務めた、佐々木啓太さん、また、現在、写真部の部長を務めている望月香菜さんと、副部長の岡崎里美さんに、感想を伺ってみました。

講師・佐々木啓太さん

「“熱い”のです。季節ではなくみんなの気持ちが。その真剣なまなざしに負けないように伝えること。それが今の自分に唯一できることです。最後は、楽しむ気持ちも忘れずに、かな(笑)。女子美写真部の今後の活動にご期待下さい」

部長・望月香菜さん

「写真が好きで、自分のカメラを手に入れたので、他の人と作品を共有できる場を求めて、写真部に入部しました」

「オリンパスから貸し出して頂いたカメラは、多機能で使いこなすにはもう少し時間がかかりそうですが、これまでよりもいい作品を撮れるようになったと思います。また、自分の作品を講評して頂けて、写真に対するモチベーションが上がりました。自分の気に入った作品が好評価だったのがとても嬉しかったです」

副部長・岡崎里美さん

「写真に触れる機会はあまりなく、新しいことにチャレンジしてみようと、写真部に入りました。授業で初めて一眼レフを使用し、一気にハマりましたね」

「これまで自分が使ってきたカメラと違い、機能も豊富で、フィルターも多数搭載されているオリンパスのカメラは、軽く、コンパクトで持ち運びにも便利だと思いました。これから使っていくなかで、もっとカメラに慣れていければと思います」

「良い写真を見極める方法、またパソコンの画面で見るときと、プリントしたものを見た時の感じ方の違いなど、普段の活動では気付かずにいたことを知ることができ、貴重な機会だったと思います」

写真に対してとても貪欲で、熱心な部員の皆さんたち。佐々木さんにも積極的に疑問をぶつけている姿はすがすがしくもありました。

9月20日から開催予定のグループ展のテーマは「KAGE」。

陰と影、どちらの意味での写真を撮ってもいいという意味で、英字にしたそうです。

初心者とは思えぬセンスで、素敵な写真作品を撮影している部員の皆さんが、今回の講評を受け、これからどんな作品を生み出していくのか、とても楽しみです。

その成果は写真展で見られます。どうぞご期待下さい。

(2013/8/19)
笠井里香
出版社の編集者として、メカニカルカメラのムック編集、ライティング、『旅するカメラ(渡部さとる)』、『旅、ときどきライカ(稲垣徳文)』など、多数の書籍編集に携わる。2008年、出産と同時に独立。現在は、カメラ関連の雑誌、書籍、ウェブサイトを中心に編集、ライティング、撮影を務める。渡部さとる氏のworkshop2B/42期、平間至氏のフォトスタンダード/1期に参加。