カメラ旅女の全国ネコ島めぐり

海外の島国で暮らす島ネコを求めて(ブルネイ・後半)

世界最大級の島、ボルネオ島のブルネイを旅しました。

ブルネイは、ボルネオ島にまたがる3カ国(ほかマレーシアとインドネシア)でもっとも面積が小さな国。

天然ガスや原油が豊富に採れるため、お金持ちの国だと言われます。

治安もよく、綺麗で、なんといってもネコが多いのが嬉しい。ムスリム国家だからか、ネコを愛する人たちを多く見受けられて、ほっこりとする場面にたくさん出会いました。

前回は、ブルネイの首都バンダルスリブガワンの観光で、もっともオススメしたい世界最大の水上集落カンポン・アイールについて記事にしたので、今回はナイトマーケットやモスクなど、ブルネイに来たら見逃せない観光スポットをご紹介します。そこに、ネコはいるのでしょうか?

いざカメラを抱えて!

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【これまでのねこ島めぐり】

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アジア旅の楽しさといえば、ナイトマーケット!

ブルネイは、ガドン・ナイトマーケットと呼ばれるところが、一番規模が大きくて人気。もともとは、屋外の屋台がずらりと並んでいたそうですが、近年整備されて屋内施設にまとめられました。

ほとんど地元の人たちが来ていて、売られているものもローカル色が強いものばかり。

まずは一通り歩いて見学。

ナイトマーケットでは、郷土料理が見られるので楽しいです。

屋台で買って、そばのプラスチックテーブルで食べるのが一般的なようす。

さっそく、ネコさんに出会いました。

マイペースで、人がそばを通ろうが、動じません。

仔猫もいました。

ブルネイは赤道に近い常夏の国。

果物は、バナナの種類が豊富で、ランブータンやパパイヤなど、トロピカル・フルーツがずらりと並んでいます。

ドリアンの強烈な香りがそこら中に漂っていました。

ブルネイ料理といえば、肉より魚らしいのですが、日本と同様に「焼き魚」を食べる文化があり、ずらりと炭火で焼きあがった焼き魚をみるのも楽しいです。

さて、ぐるりと一周して戻ってみると、最初に出会った黒白ネコさんが、無防備すぎる姿で寝ていました。

近づいても、まったく動かず、眠りは深そう。

片足を上げ、お腹をあらわにしたまま、通りすがる人たちに、
「おいおい」と声をかけられたり、ちょんちょんと頭を触られたりしても、まったく動かないというツワモノっぷり!

その様子をパシャパシャと写真に撮ってましたが、いっこうにポージングを変えないので、何か魔法にでもかけられたみたいに、ピタッと時がとまっていました。

もしかして置物だった?

さて、所変わって、ブルネイには有名な「7つ星ホテル」と称される豪華絢爛な「ザ・エンパイア・ホテル」(実際は5つ星)があり、滞在してみました。

オープンして20年余り経ち、それなりに年季は感じるものの、巨大な吹き抜けのホールは圧巻で、優雅な気持ちにさせてくれます。

宿泊者も、他に類をみない多さだったと思います。

そこかしこに使ったゴールドは本物で、お金持ち大国ブルネイの顔を見せてくれました。

ネコはいませんが、写真撮影にはもってこいのフォトジェニックなホテルです。

さて、ホテルを出てモスクに向かいます。

イスラム教国家なので、「ブルネイにはモスクがたくさんあるんだよ」とタクシーの運転手さんが話していましたが、有名なのはオールドモスクとニューモスク。

まずは、通称ニューモスクと呼ばれるジャミ・アス・ハサナル・ボルキア・モスクへ。

現国王の即位25年を祝して建築されたそうです。

青を貴重としたデザインの可愛いモスク。

金色のドームは、なんと純金! 輝き方が違うように思えました。

ブルネイは、医療費や教育費な無料、所得税や消費税などもない資金源豊かな国なのですね。

礼拝堂には、礼拝時間以外ならば観光客も入ることができます。

黒いマントを羽織って(入り口で着用を求められる)、礼拝堂を見学。

さまざまな国のモスクを見てきましたが、ブルネイは「さわやかで綺麗で豪華」という印象。床や柱は大理石。

お、大理石の柱の足元に、ネコがいました。

黒白のハチワレさん。

近づいても逃げず、人馴れしていました。

ここに居ついているのか、マイペースに過ごしているようです。

目線をいただき、パチリ。

あどけない表情が可愛らしい。

暑いので、大理石の床がひんやりとして気持ちよさそう。

抱っこしたら嫌がらなかったので、一緒に撮ってもらいました。
黒マントと同化しております。

まるで王宮のような豪壮なニューモスクは、5,000人収容可能。ブルネイで一番大きなモスクです。約8年がかりで作りあげ、ブルネイの富の象徴とも言える存在です。

次は、市街中心にある、スルタン・オマール・アリ・サイフディン・モスク。通称オールドモスクです。

前国王の時代に完成したモスクで、こちらもニューモスク同様豪華につくられています。イタリアの建築家が設計したようです。
シンプルに、白を基調としていますが、お城のようにも見える美しさ。

やはり、礼拝時間以外なら見学が可能で、諸外国のムスリム観光客が来て、お祈りをしていていました。

ブルネイでは、オールドモスクの尖塔(ミナレット)より高い建物は建造してはいけないと決まっていて、王室の権威を感じます。

たしかに、高層ビルなどみかけません。

オールドモスクの前には人口のラグーンがあって、16世紀の王室御座船のレプリカが浮かぶように設置され、そこまで歩いていくことができます。

ブルネイの空港の横にもインターナショナル・エアポート・モスクがあります。

ブルネイの人は熱心なイスラム教徒で、身近なところにモスクがあって、お祈りの時間はお店がクローズするのも当たり前。

祈る傍にはネコがいるのも、当たり前。

まだまだ観光情報が少なくて、地元の人たちにたくさん聞きながらの旅でしたが、どの人も優しくて、たくさん笑顔をくれました。

ブルネイの正式国名は、「ブルネイ・ダルサラーム」といい、「永遠に平和な国」という意味がつけられています。

その名の通り、ネコを通してみるブルネイは、平和そのものでした。

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というわけで、日本国内外、ネコがいる島を旅してきました。率直に、ネコがいる島がこれほどたくさんあることに驚いています。ネコとの共生については、それぞれの島によって様々な思いがあることも知りましたが、ネコが好きな島の人と出会えたことも事実で、それは私にとって最高に幸せな旅路となりました。

これまで出会ってくれたネコさんたちと、ネコを通して出会えた島の方々、そして長らくこの連載を読んでくださった皆さまに心から感謝申し上げます。

ネコがいる島を巡る私の旅は続きますが、この連載はいったん今回で終了したいと思います。3年間にわたりご愛読ありがとうございました。

小林希

旅作家。元編集者。出版社を退社し、世界放浪の旅へ。帰国後、『恋する旅女、世界をゆくー29歳、会社を辞めて旅に出た』で作家に転身。著書に『泣きたくなる旅の日は、世界が美しい』や『美しい柄ネコ図鑑』など多数。現在55カ国をめぐる。