岡嶋和幸の「あとで買う」

1,011点目:未来が変わる写真の撮り方の本

ワタナベアニ『カメラは、撮る人を写しているんだ。』

ネットショップのカートの中にある「あとで買う」には、様子見をしているなど気になるアイテムがたくさん入っています。この連載では、フォトライフに関連する製品を中心にその中身をお届けします。どのような物に興味を持ち、どのような視点で選んでいるのかなど、日々の物欲をお楽しみください。

ワタナベアニ『カメラは、撮る人を写しているんだ。』

写真家、アートディレクターとして活躍されているワタナベアニさんの新刊です。どのカメラを選ぶか、何を撮るか、どう撮るか、どこを目指すかなど、写真を楽しむ人が常日頃から考えていることについて、そのヒントが書かれています。2020年刊行の『ロバート・ツルッパゲとの対話』同様、写真を始めた青年とプロカメラマンの対話による物語形式になっています。

目次の「いいカメラを買えば、いい写真が撮れるのか」「撮ることは『選ぶ』こと」「ヘタでも成り立つ唯一のアート」「うまくてダメな写真、ヘタだけどいい写真」「日本人ははぜ「ボケ」が好きなのか」「その写真をどれだけ長く見られるか」「模倣と教養の違い」あたりが興味を惹いた項目です。また「誰から学ぶか」「徒弟制度の厳しさ、独学の危うさ」は個人的に特に興味深いテーマといえます。私自身が思いを巡らせていることへの共感であったり、考えていることの答えやヒントがたくさん書かれていそうです。販売価格は1,980円で、Kindle版もあります。

1967年、福岡県生まれ。東京写真専門学校卒業。スタジオアシスタント、写真家助手を経てフリーランスとなる。作品発表のほか、セミナー講師やフォトコンテスト審査員など活動の範囲は多岐にわたる。写真集「風と土」(インプレス)など、著書多数。主な写真展に「ディングルの光と風」(富士フイルムフォトサロン)、「潮彩」(ペンタックスフォーラム)、「学校へ行こう! ミャンマー・インレー湖の子どもたち」(キヤノンギャラリー)、「九十九里」(エプソンイメージングギャラリー エプサイト)、「風と土」(ソニーイメージングギャラリー)、「海のほとり」(エプサイトギャラリー)などがある。