岡嶋和幸の「あとで買う」

771点目:レンズ前にかざすと幻想的な描写になるフィルター

七工匠「7Artisans スプリットディオプター」

ネットショップのカートの中にある「あとで買う」には、様子見をしているなど気になるアイテムがたくさん入っています。この連載では、フォトライフに関連する製品を中心にその中身をお届けします。どのような物に興味を持ち、どのような視点で選んでいるのかなど、日々の物欲をお楽しみください。

七工匠「7Artisans スプリットディオプター」

今回はレンズ前に手持ちでかざして使用するフィルターです。この製品の作例写真を見たとき、30年以上前の助手時代を思い出しました。ガラス板につや消しスプレーなどでムラを作り、それを手持ちでレンズ前にかざして撮影することがあったからです。今は便利なアイテムがたくさん登場していますが、ソフトフォーカスはストッキングで自作するなど昔はあれこれ工夫をしたものです。画像処理でも多彩な表現が可能ですが、個人的にはアナログのエフェクトが好きです。

この製品は美しいボケや幻想的な光を演出できます。透過率の高い光学ガラスを採用することで、色の再現性を損なうことなく魅力的な雰囲気に仕上げられます。手持ち式なので思いもよらぬ傑作が偶然に生まれるかもしれません。ポートレートやネイチャーに限らず、いろいろな撮影ジャンルで楽しめるでしょう。

販売価格は4,200円前後で、屈折度の異なる2モデルが選べます。効果の弱い「HSD-1」(屈折度+1)は50~105mm、効果の強い「HSD-2」(屈折度+2)は35~85mmが推奨レンズとなっています。2つとも購入し使い分けるのも良いでしょう。

1967年、福岡県生まれ。東京写真専門学校卒業。スタジオアシスタント、写真家助手を経てフリーランスとなる。作品発表のほか、セミナー講師やフォトコンテスト審査員など活動の範囲は多岐にわたる。写真集「風と土」(インプレス)など、著書多数。主な写真展に「ディングルの光と風」(富士フイルムフォトサロン)、「潮彩」(ペンタックスフォーラム)、「学校へ行こう! ミャンマー・インレー湖の子どもたち」(キヤノンギャラリー)、「九十九里」(エプソンイメージングギャラリー エプサイト)、「風と土」(ソニーイメージングギャラリー)、「海のほとり」(エプサイトギャラリー)などがある。