岡嶋和幸の「あとで買う」

297点目:日本の写真界に大きな功績を残した写真家の生涯

鳥海早喜「新興写真の先駆者 金丸重嶺」

私のAmazonのショッピングカートには、そのままレジに進むのではなく、「あとで買う」に移して様子見をしているアイテムが沢山あります。それらは値下がりなど何かのタイミングで購入するものもあれば、気持ちが覚めてしまって削除するものも……。この連載では、カメラや写真関連のアイテムを中心に、日々増え続ける私の「あとで買う」の中身をお届けします。いずれも購入前なので使った感想や評価はありませんが、どのような物に興味を持ち、どのような視点で選んでいるのかなど、岡嶋和幸の日々の物欲をお楽しみください。

鳥海早喜「新興写真の先駆者 金丸重嶺」

いろいろな写真家や写真表現と出合うきっかけになるため、フォトスクールの受講生には写真史を学ぶことを勧めています。私自身もまだまだ知らないことだらけなのですが、この本の発売をきっかけに金丸重嶺(かなまる しげね)さんについて興味を持ちました。販売価格は3,520円です。

本のタイトルにもある通り、新興写真を代表する写真家です。新興写真とは1920年代末から1930年代にかけて日本の写真界で起こった、カメラやレンズによる機械性を生かし、写真でしかできないような新しい表現を目指した動向のことです。1932年に玄光社より「新興写真の作り方」という本を出されています。1939年に日本大学芸術学部写真学科の主任となり、新しい写真表現を中心とした写真教育を始められました。本書では、日本の広告写真を牽引し、写真教育の発展に貢献した彼の生涯を辿ることができます。

1967年、福岡県生まれ。東京写真専門学校卒業。スタジオアシスタント、写真家助手を経てフリーランスとなる。作品発表のほか、セミナー講師やフォトコンテスト審査員など活動の範囲は多岐にわたる。写真集「風と土」(インプレス)など、著書多数。主な写真展に「ディングルの光と風」(富士フイルムフォトサロン)、「潮彩」(ペンタックスフォーラム)、「学校へ行こう! ミャンマー・インレー湖の子どもたち」(キヤノンギャラリー)、「九十九里」(エプソンイメージングギャラリー エプサイト)、「風と土」(ソニーイメージングギャラリー)、「海のほとり」(エプサイトギャラリー)などがある。