岡嶋和幸の「あとで買う」

248点目:ライカと出合い人生が変わった写真家の作品集

アンドレ・ケルテスの写真集「Postcards from Paris」

私のAmazonのショッピングカートには、そのままレジに進むのではなく、「あとで買う」に移して様子見をしているアイテムが沢山あります。それらは値下がりなど何かのタイミングで購入するものもあれば、気持ちが覚めてしまって削除するものも……。この連載では、カメラや写真関連のアイテムを中心に、日々増え続ける私の「あとで買う」の中身をお届けします。いずれも購入前なので使った感想や評価はありませんが、どのような物に興味を持ち、どのような視点で選んでいるのかなど、岡嶋和幸の日々の物欲をお楽しみください。

アンドレ・ケルテスの写真集「Postcards from Paris」

アンドレ・ケルテスはハンガリー出身の写真家です。小型カメラの特性を生かした作風で、アンリ・カルティエ=ブレッソンやブラッサイなどの写真家に影響を与えたことでも知られています。

フランスのパリで過ごした1925年からの3年間は撮影した写真をポストカードサイズにプリントし、カフェのテーブルで広げて友人たちに見せたり、離れた家族に送ったりしたそうです。それらを一堂に集めた初めての展覧会「André Kertész: Postcards from Paris」がシカゴ美術館で現在開催中で、本書はそれにあわせて刊行されたものです。

約250点の作品が収録されていて、販売価格は7,000円前後。フォトスクールの模倣の課題でケルテスの作品を選ぶ人は多く、生徒さんがよく題材にするエレガントでシンプルな静物写真も含まれています。シカゴ美術館のYouTubeチャンネルではこの展覧会のレクチャー動画のほか、ケルテスのインタビュー動画も見ることができます。

1967年、福岡県生まれ。東京写真専門学校卒業。スタジオアシスタント、写真家助手を経てフリーランスとなる。作品発表のほか、セミナー講師やフォトコンテスト審査員など活動の範囲は多岐にわたる。写真集「風と土」(インプレス)など、著書多数。主な写真展に「ディングルの光と風」(富士フイルムフォトサロン)、「潮彩」(ペンタックスフォーラム)、「学校へ行こう! ミャンマー・インレー湖の子どもたち」(キヤノンギャラリー)、「九十九里」(エプソンイメージングギャラリー エプサイト)、「風と土」(ソニーイメージングギャラリー)、「海のほとり」(エプサイトギャラリー)などがある。