中古カメラのススメ

中古カメラのススメ(第4回)オールドレンズ編

古いレンズの味を堪能!注意するポイントは?

数寄屋橋交差点近く、教会のある建物のなかにレモン社銀座教会店はある。フィルム時代は並行輸入の新品ライカや新品ハッセルをメインとしていたが、デジタルとなってからは中古の取り扱が増している。委託品の取り扱いも多い。

レンズグルメの好物と言えば、もちろんオールドレンズ。中古のカメラや交換レンズの魅力について紹介する「中古カメラのススメ」。

第4回目となる今回は、そのオールドレンズを購入する際の注意点などを見てみることにしよう。お話はレモン社 銀座教会店の佐久間俊夫さんに伺った。

今回お話を伺ったレモン社 銀座教会店の佐久間俊夫さん。「一眼レフ用、レンジファインダー用ともオールドレンズを多数取り揃えております。銀座の数寄屋橋交差点近くですので、ぜひお気軽に遊びにお越し下さい」

オールドレンズとは何か?

カメラ関連のWeb媒体や雑誌など、しばしば“オールドレンズ”の文字を見かける。また、我々のような写真愛好家同士の話しの中でも “オールドレンズ”という言葉を耳にすることが少なくない。では一体オールドレンズとはどのようなレンズのことを指すのだろうか?

「解釈の仕方はいろいろあるかとは思います。大きくは、一眼レフ用の交換レンズの場合ではオートフォーカスレンズが登場する以前のマニュアルフォーカスレンズを、ライカのレンズでは1970年代以前のものを指すと考えていいのではないでしょうか」と佐久間さん。

ショーケースに並ぶ中古の一眼レフ用ニッコール。初期のオートニッコールでも鋭いキレが得られるなど高い描写でこれまでも人気だったが、Dfの登場以降中古市場の動きはより活発になっている

具体的には、一眼レフ用交換レンズでは、キヤノンであればFD以前、ニコンならばAiニッコール以前、ペンタックスではKマウントのMシリーズ以前、ミノルタであればロッコール銘のMD以前をオールドレンズと捉えてよいだろう。

レンジファインダー用交換レンズとしては、Lマウントレンズの場合、近年製造されたものを除きメーカーを問わず全てオールドレンズにセグメントされるといってよい。また、レンジファインダー用のコンタックスレンズや同じくニッコールレンズなどもほぼ全てがオールドレンズといってよいだろう。

ライカレンズが一番人気

そのようなオールドレンズだが、このところのトレンドはどのようなものだろうか?

「まずはミラーレスが登場してからというものオールドレンズの人気は劇的にアップしました。35mmフルサイズであるソニーα7シリーズの登場はそれに拍車をかけるものですね。当店の場合、一番の人気はライカレンズ。こればかりは変わることがありません」とのこと。

ライカのLマウントレンズは価格のこなれたものが多く、オールドレンズ入門用としても最適。ただし、沈胴レンズが多いので、カメラへの装着の際は伸ばしたままの状態にしておくのが好ましいだろう
ライカMマウントレンズもスーパーアンギュロン21mmなどは年代的にいって黒鏡筒でもオールドレンズに当然分類される。なお、同レンズはのミラーレスに装着すると画像周辺部に偽色が現れやすい

ライカでも比較的手に入れやすい価格のものが多いLマウントレンズは特に人気があるという。また、ニコンDfの登場で、Aiニッコールよりも古い一眼レフ用ニッコールレンズの人気も現在のトレンドの1つ。

その多くが1970年よりも前につくられているライカ以外のLマウントレンズもオールドレンズにセグメントされる。国内外のメーカーから多数リリースされているが、人気はやっぱりニコンとキヤノンだ

さらに先般開催されたCP+2015で、リコーイメージングからペンタックスブランドのフルサイズ一眼レフの開発発表がアナウンスされたが、今後Kマウントのマニュアルフォーカスレンズや、タクマーレンズをはじめとするM42マウントの交換レンズの動向も気になるところである。

一眼レフ用のスクリューマウントといえばM42マウント、別名プラクチカマウントだ。国産ではペンタックスやリコー、ヤシカなどからリリースされていた。ペンタックスからフルサイズ一眼レフがリリースされれば、注目度はより高まるはずだ

オールドレンズのチェックポイント

オールドレンズを選ぶときに注意したいことも聞いてみた。

「まずは何と言ってもレンズそのものとなります。カビやキズなど気をつけて選びたいですね。ただし、オールドレンズの場合、多少のレンズのキズやクモリ、ホコリの浸入などは致し方ないと思います。小さなキズはほとんどの場合描写に影響しませんし、クモリで何となく眠い感じがすると思ったら、画像ソフトでコントラストを上げてやるのも手かと思います」という。

古いレンズゆえに新品や新同品のように完璧な状態ではない。小さなキズ、クモリなどであれば、上手に付き合っていく必要がありそうだ。さらに「ヘリコイド(フォーカスリング)をゆっくり回してみた動きにムラが無いか、絞り羽根に油が付着していないかなど確認してみてください」とのこと。

レンズにカビが発生したり、ヘリコイドのオイルが抜けてしまっていたら、当然修理することになる。「それもレンズ代の一部とあらかじめ考えておくとよいと思います。馴染みの修理屋さんをつくっておくと、何かと相談に乗ってくれますし、オールドレンズユーザーとして考えたときこれほど心強いことはありません」と語る。

広々とした店内には中古のカメラ、交換レンズがショーケースにずらりと並ぶ。一部のメーカーとなるが、新品のカメラ・レンズも取り扱っている。また、中古の時計や万年筆、鉄道模型なども取り扱っているので飽きるようなことがない

レンズ選びの注意点

オールドレンズに関わらず一眼レフカメラよりもミラーレスカメラのほうが遥かに装着できる交換レンズは多いが、そのようなミラーレスでも装着できないオールドレンズはあるのだろうか?

「沈胴レンズは気をつけてほしいですね。カメラに装着した状態で沈胴させると鏡筒がマウント内部に当ったり、こすれたりすることがあります」と佐久間さん。

そのほかとしては、後玉が突出したレンズやレンズガードの大きいレンズなども、ミラーレスであっても装着できないことがあるとのこと。さらに、そのようなレンズの場合、装着できたとしてもシャッター幕に当たることもあるので注意が必要だ。

一眼レフでは、例えばキヤノンEFマウントにマウントアダプターを介してM42マウントレンズやニッコールレンズを装着したときなどミラーと干渉することがあるので、こちらも留意したい。

問題なくカメラに装着でき撮影が行えても、レンズによっては描写に影響する場合も。ミラーレスにMマウントの広角レンズなどを装着したとき、撮影した画像の周辺部が赤や青の色かぶりが発生することがあるからだ。

いわゆる偽色(ぎしょく)の発生だが、画像修正ソフトなどを使用しても完全に取り去ることは難しい。それはそれでレンズの味として楽しむか、モノクロに画像を変換して発生した偽色を色目立たなくするよいだろう。

“委託品”とは?

今回取材したレモン社 銀座教会店には多くの中古カメラ、中古レンズがショーケースに並ぶ。その中には「委託品」と書かれたアイテムも多数見受けられる。前回も簡単に記しているが、この委託品についても伺った。

「委託品とは、お客さまからお預かりして、店頭で販売しているものです。そのため、状態がどうであれ、私どもで修理やメンテナンスなどは基本的に行いません。つまり現状での販売となります」とのこと。

カメラ・レンズを売りたい場合、お店に買い取ってもらえれば即現金化できるものの、下取り価格は低く抑えられてしまう。しかし委託品とすれば、手数料がかかる下取りの場合よりも多くのお金を手にすることができる。

そのため、委託品で自分のカメラ・レンズを売る写真愛好家も少なくないのだ。ただし、委託品は売れないかぎりお金が売り手側に入らないというデメリットもある。気になるのは保証であるが……。

「委託品には保証はございません。そのため、販売員とよく相談した上でお決めになられるとよいかと思います」。

オールドレンズとなれば、特にミラーレスカメラで使う場合、マウントアダプターは必須だ。

「当店では特に高品質といわれるマウントアダプターの取扱を行っています。具体的には日本製であるRAYQUAL(宮本製作所)、中国製のKiponとなります。安いもののなかには、精度的に芳しくないものも少なくありません。なるべく名の通ったものを使用するようにしてください」とのこと。

ちなみにレモン社では、オールドレンズを購入する際、デモ用のマウントアダプターに装着をしてみることも可能だ。

ずらりと並ぶマウントアダプター。レモン社ではRAYQUALとKiponをメインに扱う。オールドレンズの購入の際、デモ用のマウントアダプターに装着して試してみることもできる。

自分のカメラ持ってショップを訪れよう!

カメラや写真をはじめて日の浅い人には、オールドレンズは敷居が高く感じられるかも知れない。しかし、欲しいレンズや使ってみたい焦点距離があるのであれば、遠慮せずにカメラショップを覗いてみてほしい。量販店とはお店の雰囲気は異なるものの、店員は皆、親切丁寧にアドバイスしてくれるはずだ。

また、オールドレンズを購入すると決めたら、自分のカメラをぜひ持参するようにしよう。実際にレンズを装着し操作感や描写など確認してみるのが何より確実だからだ。

編集協力:株式会社玄光社 カメラファン
取材協力:株式会社レモン社(カメラファン加盟店)

大浦タケシ

(おおうら・たけし)1965年宮崎県生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業後、二輪雑誌編集部、デザイン企画会社を経てフリーに。コマーシャル撮影の現場でデジタルカメラに接した経験を活かし主に写真雑誌等の記事を執筆する。プライベートでは写真を見ることも好きでギャラリー巡りは大切な日課となっている。カメラグランプリ選考委員。