“商品写真の撮り方 完全ガイド”より

その4「屋外で撮る」

この連載は、MdN刊「商品写真の撮り方 完全ガイド プロがやさしく教えるブツ撮りの手引き」(著者:鈴木知子)から抜粋しています。5回にわたり様々な商品写真の撮り方を紹介しますので、どうぞお楽しみに!

商品写真の撮り方 完全ガイド プロがやさしく教えるブツ撮りの手引き(MdN刊。A5判224ページ。税別2,200円)

人物写真を屋外で撮影する場合、「光線」がポイントになります。「逆光は顔が影になるから、順光で撮影する」というのは大きな間違い。光の方向と影をしっかりと見極めて、魅力的な人物写真が撮れるようにしましょう。

○良い撮影例…太陽が半逆光になるように撮影しています。クリップオンストロボをつけ、日中シンクロをし、顔が明るくなるようにしました。Canon EF24-105mm f/4L IS USM / 絞り優先オート / F4 / 1/200 秒 / ISO100 / AWB
×イマイチな例…太陽が人物の正面から当たる順光での撮影です。顔に立体感がなく、鼻の下や首に黒い影が出ています。光の向きだけではなく、光の強さによっても印象が変わります
クリップオンストロボをカメラにつけ、日中シンクロをしています。

Step 1 背景で写真は変わる

人物撮影では、主役となる人物だけでなく、背景も大切な要素です。背景がごちゃごちゃしていたり、ほかの人物が歩いていたりすると、見る者の視線が主役ではないところに向いてしまいます。

プロポーションよく写すには望遠レンズで撮るのが基本。ただし、望遠レンズは撮影者と人物との距離が離れるので、中望遠くらいが使いやすいでしょう。

背景までピントを合わせると人物が目立たなくなってしまいます。絞りを開けて、背景をぼかすようにします。

75mmレンズを使って、F1.8の絞りで背景を大きくぼかしました。背景をぼかすことで、主役である人物が際立つようになります

Step 2 逆光を使って魅力的に撮る

被写体の後ろに太陽がある状況を「逆光」といいます。顔が影になるため、一般的に逆光写真はNGと思われがちですが、撮影をする際に工夫をすれば、魅力的な写真が撮れる光線です。

逆光で上手に撮るにはいくつかの方法があります。露出補正を+側にして、顔が明るくなるように撮る、ストロボを使って日中シンクロをする、人物の手前からレフ板を当てるなど、これらの方法を状況に応じて使い分けるようにしましょう。

逆光で撮影をすると、顔が暗く写ってしまうことがあります。これが人物撮影において、逆光はNGと思われている要因です
クリップオンストロボを使って日中シンクロ撮影をしました。背景が明るく飛びすぎないようにする場合はこの方法を試してみましょう
露出補正を+側にして撮影しています。人物だけでなく全体が明るくなり、ふんわりとしたやわらかい印象になります

Step 3 晴天では逆光、半逆光を積極的に使う

被写体の斜め後ろに太陽がある半逆光は、とても魅力的な光といえます。白飛びや黒つぶれがなく、肌の質感もきれいなやわらかい写真が撮れるのです。また順光では、人物の前に太陽があるため、まぶしくて目を細めてしまうこともありますが、半逆光ならばまぶしくありません。

また髪の毛が光に照らされ光り輝くのもとてもきれいです。人物撮影では、逆光、半逆光を積極的に使うようにしましょう。また日陰に人物を立たせることで、影のやわらかい写真を撮ることもできます。

髪に光が当たって輝きが加わり、また顔に強い光が当たっていないため、やわらかい雰囲気になります。また肌の色もきれいに出ています

POINT…瞳にキャッチライトを入れる

日中シンクロで撮影すると、瞳にアイキャッチが入るため、いきいきとした表情になります。ストロボだけでなく、レフ板を当てたり、撮影者がハンカチや白い手袋を持っていても光が入ります。外付けストロボには、アイキャッチパネルが装備されているものも多いので活用しましょう。

日中シンクロをしたストロボによって、瞳にアイキャッチが入っています

鈴木知子