“商品写真の撮り方 完全ガイド”より

その1「デジタルカメラ」の撮り方

この連載は、MdN刊「商品写真の撮り方 完全ガイド プロがやさしく教えるブツ撮りの手引き」(著者:鈴木知子)から抜粋しています。これから計5回、様々な商品写真の撮り方を紹介しますので、どうぞお楽しみに!

商品写真の撮り方 完全ガイド プロがやさしく教えるブツ撮りの手引き(MdN刊。A5判224ページ。税別2,200円)

デジタルカメラは形状や色など種類が数多くありますが、ここではシルバーボディのレンズ交換式ミラーレスカメラを撮影しました。複雑な形状ですが、ライトの位置を見極めて立体感が伝わるような写真を目指しましょう。

○良い撮影例…それぞれの面の明るさを変えることで、形状がしっかりと伝わるように撮影しています。レンズへの映り込みも注意しなければなりません。Canon EF24-105mm f/4L IS USM / マニュアル / F22 / 1/125 秒 / ISO100 / AWB
×イマイチな例…レンズの映り込みが気になります。レンズの全面に白が映り込むように、レンズの手前まで白い紙を立ち上げるようにしましょう
外部ストロボ2灯でトップと斜め45度くらいの位置からライティングしています。

Step 1 形状、立体感をライトで表現する

カメラは、細かい部品があるものの、ベースは四角い形状です。正面からの撮影カットは、カメラの中央にレンズがくるようにアングルを決めましょう。

ライトは外部ストロボで傘をつけたトップ光と、斜め前方45度くらいの位置からトレーシングペーパー越しに当てています。シルバーの質感や形状、立体感を、すべての面の明るさを変えることで表現するようにします。一番明るい面はトップ面になるように、ライトの光量バランスを変えましょう。

斜め前方45度くらいの位置からライトを直接当てている状態です。この時点ではトレーシングペーパーをつけていないので、レンズに室内が映り込んでいます

Step 2 トップライトを加え、バランスを調整

前方からのライトの位置を決め、トレーシングペーパーでディフューズしたあとトップライトを入れます。このように四角い形状の被写体は、トップ面が一番明るくなるような露出バランスにしましょう。

トップライトはストロボに傘をつけ、「天トレ」といわれる天井にトレーシングペーパーを貼り、ディフューズします。被写体は前面とトップ面の間にロゴが入った斜めの面があるので、前面と明るさの差が出るようにコントロールしましょう。

全体のライティングが決まったら、レンズの映り込みを確認します。ここでは床面からレンズの下まで、白い紙をアールにして映り込ませています
トップ面と斜めの面の明暗差がないため、メリハリがなく立体感が乏しい印象になっています。トップライトの位置を変えて調整します
トップ面を明るくするため、トップライトの位置を動かしました。斜めの面と明暗差をつけることで、立体的に見えるようになります。またレンズを明るくするために、レフ板を映し込みました

Step 3 レンズの映り込みをつくる

カメラボディはシルバー、レンズ面はブラックなので、レンズ面の見え方がどうしても暗くなってしまいます。レンズ面に白い紙を映し込みましょう。白いレフ板を立てれば白が映り込み、明るく表現することができます。

気をつけなければならないのは、床面とレフ板の境界も映り込んでしまうこと。これは、白ケント紙を床からレフ板まで立ち上げるようにアール状にすることで、境界線を修正することができます。レンズへの映り込みをつくることでカメラ前面にも影響があるので、全体のバランスを見ながら位置を決めましょう。

レンズの映り込みを修正しました。レンズだけでなく、カメラの前面も明るくなっているのがわかるはずです。それぞれの面の明るさを変え、形状が明確になりました

POINT…映り込みを黒にすると、ボディに影響する

レンズへの映り込みを黒い紙にすると、黒く締まり重厚な雰囲気になります。ただしカメラボディの前面にも影響するため、被写体の顔となる部分が暗くなってしまいます。レンズに映り込まない位置でレフ板を当てるなど工夫をするようにします。

レンズに黒い紙を映し込むとカメラボディの前面も暗くなってしまいます。黒い紙を使う場合は、レフ板で明るくなるように調整しましょう

鈴木知子