【記録メディア転送速度テスト】サンディスク「Extreme Pro SDHC UHS-I」


  • 記録メディアの転送速度を編集部で簡易に計測して掲載するコーナーです。
  • 掲載した結果はテストした個体によるもので、市場におけるすべての製品の性能を保証するものではありません。
  • 記事中の価格や仕様は執筆時のものです。価格は市況により変動する可能性があります。

 サンディスクが2月に発売したSDHCメモリーカード「Extreme Pro SDHC UHS-I」は、45MB/秒の転送速度を謳うUHS-I対応モデル。容量は32GB、16GB、8GBをラインナップし、実勢価格はそれぞれ1万5,000円、7,800円、4,400円前後で推移している。

Extreme Pro SDHC UHS-I

 同社初のUHS-I対応メモリーカード。“Extreme Pro”の銘は、サンディスクがこれまでCFでのみ展開していたシリーズで、SDHCメモリーカードの「Extreme」シリーズに代わって、フラッグシップを担うモデルとなる。

 45MB/秒の最大転送速度は、同じくUHS-Iに対応する東芝製SDHCメモリーカード「Premiugate」シリーズの95MB/秒と比べて数値上50MB/秒の差があるが、2月に実施したサンディスクへのインタビューによれば、「消費電力、そして実際にカメラで使ったときのこれまでの経験から得られる知見、それらのバランスを取ったため」としている。

 UHS-I対応SDHCメモリーカードは現在、東芝とパナソニックから発売されている。8GBの容量を基準に実勢価格を比較すると、東芝の「SD-E008GUX」が9,980円前後、パナソニックの「RP-SDY08GK1X」が7,480円前後となっており、割高感のあるUHS-I対応SDHCメモリーカードの中では、比較的手を出しやすい価格となっている。

 今回の計測には、UHS-I対応のUSB3.0カードリーダーとしてバッファローコクヨサプライ「BSCRA51C3」を使用した。

ニコン「D7000」による書き込みテスト

  • カメラ内のバッファをすべて開放した状態で、RAWデータ(ファイルサイズ約13.8MB)とJPEGデータ(ファイルサイズ約3.5MB)の同時記録で連写し、レリーズ回数を調べた。途中でバッファがフルになってもシャッターボタンを押し続けている。また、パワーバッテリーグリップなどのオプションは使用していない。
  • Exifに記録された撮影時間をもとに、撮影開始から30秒間のレリーズ回数をチェックしている。
  • Exifには0秒以下の記録がないため、1秒間の誤差を考えて5回計測し、その平均枚数を小数点第1位まで掲載している。
  • フォーカスはマニュアル。レンズは装着せず、ボディキャップを装着した。
  • 露出はマニュアルモードで、シャッタースピードは1/2,000秒に固定。

●各カードのレリーズ回数(RAW+JPEG)

製品名容量発売元区分SDスピードクラスUHSスピードクラスレリーズ回数
SDSDXP1-016G-J95(Extreme Pro)16GBサンディスクSDHCClass10Class160.4
SDSDX3-016G-J31A(Extreme)16GBサンディスクSDHCClass10-54.8
LSD8GBDRBJP133(Professional SDHC 8GB)8GBレキサーSDHCClass6-39.4

USBカードリーダーでのテスト

  • 「CrystalDiskMark Ver.3.0.1」の連続書き込みと連続読み出し(Sequential)で5回ずつ計測し、各転送量(KB/秒)の平均を記載した。
  • テスト環境は、Windows 7 Professional、Core i5、メモリ4GB、SATA350GBのノートパソコン。

各カードの転送速度(MB/秒)

製品名容量発売元区分SDスピードクラスUHSスピードクラスWriteRead
SDSDXP1-016G-J95(Extreme Pro)16GBサンディスクSDHCClass10Class140.0640.64
LSD8GBDRBJP133(Professional SDHC)8GBレキサーSDHCClass6-20.1721.75
SDSDX3-016G-J31A(Extreme)16GBサンディスクSDHCClass10-20.0121.81

まとめ

 レリーズ回数では、UHS-Iへの対応が効いているのか、下位モデルを大きく上回る結果となった。計測している最中は短い間隔で規則的にシャッター音が響き、連写が続いているとまでは言わないまでも、感覚的には、連写後の書き込み待ちのストレスがほとんどないであろうことを感じさせる速度だった。

 USBカードリーダーでの計測では、UHS-I非対応の2モデルを引き離し、2倍近くの速度を記録した。今後USB3.0対応のカードリーダーがスタンダードになっていくであろうことを考えると、“高速”を謳うSDHCやSDXCメモリーカードは、UHS-I対応モデルに切り替わっていくことが予想される。

 先に掲載した「USB3.0カードリーダーの実力を試す」でも触れたが、UHS-I対応のSDHC/SDXCメモリーカードを速度面で活かすことを考えたとき、USB2.0では目に見えて力不足で、USB3.0カードリーダーは半ば必須といっていい。

 とはいえ、UHS-I対応機器はメモリーカード、カードリーダーともにまだ割高なのに加え、デジタルカメラも対応機種が少ないことから、現時点では必ずしも導入を急ぐ必要はない。

 しかし、USB3.0カードリーダーの登場により、これまで、ある意味では制限されていた記録メディアの上限速度が本来の実力を発揮できるようになったことで、高速な記録メディアをあえて選ぶ価値がようやく出てきた。今回は正式なテストとして実施していないが、およそ4.5GB、全640ファイルのファイル群の転送時間をそれぞれストップウォッチで計測したところ、Extreme Proが2分6秒、Extremeが3分41秒、Professional SDHCが3分40秒という結果になった。

 パソコンさえUSB3.0に対応していれば、速度面では確実に恩恵を受けられるので、もし必要性を感じるならば、導入を検討してみてもいいのではないだろうか。







2011/4/1 15:11