サンディスク、最大転送速度100MB/秒のCFとUHS-I対応の「Extreme Pro SDHC」を国内発表


 サンディスクは2日、最大転送速度100MB/秒のCF「Extreme Pro」と、最大45MB/秒のSDHCメモリーカード「Extreme Pro SDHC UHS-I」を発表した。

Extreme Pro CF 128GBExtreme Pro SDHC UHS-I

 CFの発売時期は3月。店頭予想価格は15万円前後の見込み。

 SDHCメモリーカードは2日より出荷を開始しており、2月6日前後には店頭に並ぶ予定としている。32GB、16GB、8GBをラインナップし、店頭予想価格は32GBが2万3,000円前後、16GBが1万2,000円前後、8GBが6,000円前後の見込み。

 CFは、同社製CFのフラッグシップ「Extreme Pro」シリーズの最新モデル。1月6日の海外発表当初、2011年第1四半期の発売を予告していた。

 新たにUDMA mode7に対応することで最大転送速度100MB/秒を謳うほか、容量を128GBに大容量化した。また、20MB/秒の転送速度を保証する「VPG」(ビデオパフォーマンスギャランティー)にも対応している。

 同社製CFのExtreme Proラインではこのほか、64GB、32GB、16GBをラインナップしている。ただし、現状では128GB以外の製品はUDMA mode6までの対応となっている。

 SDHCメモリーカード「Extreme Pro」は、SDHCメモリーカードの新ラインナップとなるフラッグシップモデル。1月18日に海外発表。国内発売については「後日発表する」としていた。

128GBのExtreme ProのみUDMA mode7に対応するExtreme Pro SDHC UHS-Iは同社初のUHS-I対応SDHCメモリーカードとなる

 またサンディスクは同日、新製品記者説明会を都内で開催した。

 記者説明会ではサンディスク株式会社マネージングディレクターの青柳マテウ氏が登壇。開会挨拶の中で、2010年のメモリー市場について「とても良い年だった」と振り返る。

 サンディスクは2010年度の決算において、法人向け製品売り上げが過去最高に及んだことを発表している。また同氏によれば、コンシューマー市場においても、2010年はデジタルカメラの高画素化、HD動画の標準化、スマートフォンの普及が進行したことで、メモリーカードの売れ行きが好調だったという。

マネージングディレクターの青柳マテウ氏リテールイメージング製品マーケティングディレクターのスーザン・パーク氏

 新製品のプレゼンテーションについては、同社リテールイメージング製品マーケティングディレクターのスーザン・パーク氏が担当。Extreme Pro SDHC UHS-Iを中心に説明した。

 同氏はExtreme Pro SDHC UHS-Iの主な特徴として、UHS-Iへの対応、パワーコア・コントローラー、インテリジェント・データ・ディテクションを挙げ、それぞれについて解説した。

 Extreme Pro SDHC UHS-Iは、同社製SDHCメモリーカードとして初めてUHS-Iに対応した製品。UHS-I対応のメリットとしては、バス速度の高速化により、パフォーマンスが向上する点。体感上、ショット間の待ち時間が少ないとした。

 パワーコア・コントローラーは、CFのExtreme Proシリーズにも搭載しているメモリーコントローラー。Extreme Pro SDHC UHS-Iにおいては、4つのメモリーダイに同時アクセスする「クアッドコア・プロセッシング」(4段積層プロセッシング)技術を採用しており、処理速度は従来の2倍としている。主に読み出し・書き込み速度の高速化に寄与する。

 インテリジェント・データ・ディテクションは、メモリー領域に書き込むデータのサイズから静止画もしくは動画を判別し、保存領域を分ける技術。データ書き込み効率の向上などにより、書き込み速度が向上するとしている。

過去10年間のサンディスク製SDメモリーカードのあゆみ処理速度を従来の2倍とした「クアッドコア・プロセッシング」
静止画と動画の保存領域を区別する「インテリジェント・データ・ディテクション」
「洗濯機に入れて3サイクル回す」という耐水性能実験に耐えたという空港などにおけるX線検査の影響を受けないとする
UHS-I対応の現行機種としてニコンD7000を挙げたD7000を用いた連写テストを実施。20秒間レリーズボタンを押しっぱなしにするというもので、結果はExtreme Pro SDHCが39回、Ultra SDHCが21回
連写性能を試せるコーナーも用意していた

 国内の販売戦略に関しては、同社リテールイメージング製品マーケティングディレクターの大木和彦氏が解説した。

 まず、今後の高速記録メディアラインナップについて説明。SDカードのラインナップは、SDHCメモリーカードの「Extreme SDHCカード」と「Extreme HDビデオ SDHCカード」を統合。3月をめどに一本化するという。一方、CFは、現行のExtreme Proシリーズに128GBの新製品をそのまま追加する形とした。

 続いて、同社のSDHCメモリーカードの価格設定基準についても解説。HD動画記録に対応するデジタルカメラの平均価格の約10%を想定売価としているという。「ハードあってのカードなので、ハードに対して親和性の高い価格をつけることによって、まずはUHSマーケットを普及させていきたい」とした。

リテールイメージング製品マーケティングディレクターの大木和彦氏CFは最上位に128GBのExtreme Proを追加
SDHCは、現行2ラインあるExtremeシリーズを、3月より1ラインに統合する

 また同氏は、HD動画記録に対応したデジタルカメラの市場比率に関するデータを開示し、「今後は大容量記録メディアの需要が拡大する兆しがある」と分析する。

 同社ではHD動画記録対応デジタルカメラ利用者のうち約27%が動画主体で利用しているとし、約74%のユーザーが5分未満の短時間撮影にとどまるとのデータを提示した。「多くのユーザーがデジタルカメラでショートムービーを撮っている。ただし、運動会や学芸会など、長時間の動画は従来通りデジタルビデオカメラで撮っているのではないか」(大木氏)

 そのようなユーザー動向を踏まえ、1回の動画撮影を5分とし、記録メディア容量の4分の3を動画に使い、残りを静止画撮影に使用した場合、4GBで記録可能な動画撮影は4回と少なくなることから、「HD動画記録機能を搭載するデジタルカメラでは大容量の記録メディアが必要」と話した。

HD動画対応デジカメ平均価格の約10%を想定売価とするHD動画記録に対応したデジタルカメラの比率が上昇している
HD動画記録対応カメラ所持者のうち、動画主体の使い方をしているのは全体の約27%という約74%のユーザーが5分以下の動画を撮影しているとの調べ
将来的に「コンパクトデジカメには16GB以上、一眼レフには32GB以上」と勧める可能性もあるとしている初期に購入した記録メディアの容量が大きい方が、追加購入した記録メディアに同容量を選ぶ割合が高い

 また、記録メディアの容量と満足度の関係についても言及。デジタルカメラと記録メディアを同時に購入した顧客に対して調査を行なった結果、低容量の記録メディアを購入した顧客よりも、大容量の記録メディアを購入した顧客の方が、追加購入する際に同じ容量を購入する比率が高いことから、「大容量の記録メディアの方が満足度が高い」と分析。このことから、フルHD動画や3D動画の活用が進むにつれ、今後も記録メディアの高速化と大容量化が進行することを予想した。

SDカードの国内市場では、数量ベースで2GBと4GBが大多数を占めるサンディスクでは、金額ベースで8GBが4GBを上回っている
2011年のメモリーカード市場予測

 大木氏は質疑応答で国内での販売戦略について問われた際、「お客様が買いやすいところで商品が売られていることが重要。一番大切なことは急な需要にも耐えられるよう『供給』をしっかりさせること」とコメントし、入手しやすさを確保することの重要性に触れた。

 また、国内シェアの目標について問われると「数量ベースでの割合を高く維持し続けることが目標。確実に1位であり続けることがミッションと考えている」と回答した。



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2011/2/3 12:27