【年末特別企画】ミラーレスカメラ2011年総まとめ
■ミラーレスカメラを取り巻く状況
レンズ交換式のいわゆる「ミラーレスカメラ」が登場してはや3年。中でも2011年はコンベンショナルなデジタル一眼レフカメラの新製品が少なかったこともあり、店頭での存在感は相対的に高まった。レンズ交換式デジタルカメラにおける国内シェアは3割とも4割ともいわれており、市場での注目度も増す一方だ。
2011年はペンタックスとニコンが相次いでミラーレスカメラに参入した。左はPENTAX Q、右はNikon 1 J1 |
2011年におけるミラーレスカメラのトピックといえば、ニコンとペンタックスの参入だろう。
まずは8月31日、ペンタックスが1/2.3型センサーを採用した「PENTAX Q」を発売(ズームレンズキットは9月15日に発売)。新しい「PENTAX Qマウント」とともに、一部にトイカメラ的表現をも売りとする交換レンズ群をひっさげ、これまで以上にカジュアル路線を意識した製品として登場した。センサーサイズの小ささからか、前評判は冷ややかな反応が多かったものの、画質面での健闘や製品の造り込みの良さ、加えてコンパクトなシステムが受け、現在では既存のミラーレスカメラとは別の魅力が広く受け入れられている。
一方ニコンは、10月20日に「Nikon 1 V1」と「Nikon 1 J1」を投入。ニコンがFマウント以外の新マウントを発表したとあって、発表当初はとかく話題になったものだ。こちらもセンサーサイズを対角1インチと小さめに抑えており、広告展開などから見ても、これまでのニコンユーザーと異なる層をアグレッシブに狙っている様がうかがえる。
2つのブランドに共通するのは、既存のデジタル一眼レフカメラとは別のセンサーサイズを採用したこと。新マウントであるのはもちろん、一気にセンサーサイズまで新規のフォーマットに変更。オリンパスとパナソニックが既存のセンサーサイズ(4/3型)をミラーレスカメラに採用し、ラインナップとともに自社のカメラ戦略を一新したのとは状況が異なる(もっとも両社とも、既存マウントは現在も存続していると主張しているが)。
Nikon 1は「CXフォーマット」(13.2×8.8mm)の撮像素子を採用 | 一方、PENTAX Qのセンサーサイズは1/2.3型だ |
ニコンとペンタックスの小サイズセンサーは、一見すると既存のデジタル一眼レフカメラビジネスとの住み分けを意識した結果に見える。その一方で、例えばニコンのモーションスナップショットや、ペンタックスのトイレンズ展開といったこれまでにない取り組みが、今後どう実を結ぶのか興味深い。既存のカメラユーザーの最大公約的な嗜好にとらわれず、深読みすれば対スマートフォン戦略を含めた新しいデジタルカメラ市場を探っているようにも映る。今後参入が期待されるキヤノンも一眼レフカメラでトップシェアのメーカーだけに、どういう戦略でミラーレスに参入するか楽しみだ。なお富士フイルムは、2012年にミラーレス機を投入することを明らかにしている。
富士フイルムは「Xミラーレス一眼」と呼ばれる機種を2012年初頭に発表する予定だ(FUJIFILM X10の発表会スライドより) | 果たして、2012年にキヤノンはミラーレスカメラに参入するのだろうか?(デジタル一眼レフカメラ「EOS Kiss X5」の発表会で挨拶するキヤノン常務取締役イメージコミュニケーション事業本部長の真栄田雅也氏) |
■機能は着実に進化し選択肢が拡大
そうした中、先行するオリンパス、ソニー、パナソニックは今年も軸をぶらさず着々とシステムの充実を図ってきた。特に交換レンズの数はぐっと多くなり、明るい単焦点レンズなど、趣味性の高い製品への広がりを見せているのはうれしい流れといえる。
先行するメーカーはミラーレスの高級路線を打ち出した。左からOLYMPUS PEN E-P3、ソニーNEX-7、パナソニックLUMIX DMC-GX1 |
また、ミラーレスカメラ全般の成功を受け、ラインナップの多層化が進んだ。先鞭を付けたのは、2010年にエントリークラス「OLYMPUS PEN Lite E-PL1」を投入したオリンパスだが、今年はパナソニックが「LUMIX DMC-GF3」をリリース。前モデル「LUMIX DMC-GF2」から機能を絞り、エントリークラスとして明確なモデルチェンジを果たした。反対に、ソニーはNEX-7で高級路線を打ち出すことに成功。パナソニックも「LUMIX DMC-GX1」という新しいラインを作り出している。オリンパスも「OLYMPUS PEN Lite E-PL3」というミドルクラスを設けることで、「OLYMPUS PEN E-P3」を上位モデルとして強調。既存のデジタル一眼レフカメラと同様、ラインナップにおけるヒエラルキーが明確になってきているのを実感する。
もうひとつの流れが低価格化だ。かつては存在自体が珍しく、どちらかといえば機能に対して割高な印象があったミラーレスカメラだが(ただし外装などの高級感は価格相当に高かった)、2010年から価格下落の速度が早まっている。前出の高級ラインは、その対抗策のひとつといえるだろう。現在はデジタル一眼レフカメラの低価格機と勝負できるまで価格が下がるのは当たり前。もともとミラーレスは、コスト高の要因である光学やメカ関連の部品が少ないこともあり、価格競争に強い面も持つ。
機能面では、各社がAF速度の高速化を強調するようになった。以前はパナソニックが積極的だったが、今年は「FAST AF」を打ち出したオリンパスや、先幕電子シャッターを採用するソニーもその流れを助長している。加えてニコンは像面位相差AFを採用。いまだ動体については一眼レフカメラに及ばないものの、「動く被写体を撮るなら一眼レフで」という量販店での売り文句が、いつまで用いられるのだろうか。
それでは、各社の2011年冬のラインナップを見ていきたい。
■オリンパス
6月にOLYMPUS PEN E-P3、OLYMPUS PEN Lite E-PL3、OLYMPUS PEN mini E-PM1の3機種を同時に発表したオリンパス。しかも3機種の発売時期が離れているという異例のアナウンスだった。3機種それぞれが新ラインナップを構成、新生PENシリーズを強烈に印象づける発表だった。
3機種のうち、E-P3が従来のE-P2、E-P1の流れを汲む上級機になる。スマッシュヒットとなったE-P1からのボディラインを継承するも、これまであきらめていたストロボを内蔵。着実な進化も見て取れる。グリップを取り外せるギミックも、カスタマイズ性で一目を置かれた初代E-P1の立ち位置を思い起こさせる。
下位の2モデル、E-PL3とE-PM1は実質姉妹機といえる間柄で、最大の違いはE-PL3がバリアングル液晶モニター、E-PM1が固定式液晶モニターを採用することだ。その他、モードダイヤルがE-PM1にないなど、E-PM1はシンプルで小型ボディのエントリークラスとして、かつてのE-PL1を受け継ぐポジションにある。
また、E-PL3のバリアングル液晶モニターは、PENシリーズ初となる。E-330(2006年1月発売)以来、デジタル一眼レフカメラのEシリーズでは積極的にフリーアングル液晶モニターを採用するオリンパスだが、ここにきてマイクロフォーサーズカメラへバリアングル液晶モニターを導入を開始したのは興味深い。
3機種共通の特徴としては、ボディ内手ブレ補正機構の採用が挙げられる。また、EVFは外付けのみ対応。EVFを取り付けるためのアクセサリーポート2には、マクロアームライト「MAL-1」やスマートフォンに画像を転送するための「PENPAL PP-1」など、ユニークなものが揃っている。
加えて新ラインナップでは、動画をMotion JPEGからAVCHDへと変更。また、「世界最速AF」を明言したのも、この新ラインナップからだ。内部的には大きく変わっており、2009年7月に初代E-P1が登場して以降、最も大きなモデルチェンジとなっている。
撮像素子は4/3型ハイスピードLive MOSセンサー。同じく4/3型を採用するパナソニックと異なり、有効画素数は約1,230万画素で2010年から据え置き。その点では新味がなく、高感度画質についても大幅な向上はない。背面モニターはE-P3のみ有機ELで、タッチパネル式になっている。
交換レンズは11種類(同一焦点距離のマイナーチェンジモデルを含む。コンバージョンレンズは含まず)。ズームレンズは18mm相当の広角から600mm相当の超望遠までカバーしており、単焦点レンズも24mm相当、34mm相当、90mm相当と比較的充実。特に今年は「M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2」と「M.ZUIKO DIGITAL 45mm F1.8」を投入し、単焦点レンズの撮る楽しさを訴求した。
これらのレンズは、同じくマイクロフォーサーズシステム規格を採用するパナソニックのボディでも使用できる。パナソニックボディでは手ブレ補正のアシストが得られず、ボディ内でのレンズ収差補正も完全な互換性がないというウィークポイントはあるものの、それぞれのラインナップにないレンズを相互運用できるのは魅力的だ。
●OLYMPUS PEN E-P3
・実勢価格
- E-P3(本体のみ):8万1,100円前後
- E-P3レンズキット(本体+M.ZUIKO DIGITAL 14-42mm F3.5-5.6 II R):8万5,200円前後
- E-P3ツインレンズキット(本体+M.ZUIKO DIGITAL 14-42mm F3.5-5.6 II R 17mm F2.8+M.ZUIKO DIGITAL 17mm F2.8):10万3,900円前後
●対応レンズ:マイクロフォーサーズマウントレンズ ●手ブレ補正:ボディ内 ●撮像素子:4/3型(17.3×13.0mm) ●有効画素数:約1,230万 ●アンチダスト:有 ●感度:ISO200-12800 ●記録メディア:SDXC/SDHC/SDメモリーカード ●動画記録:AVCHD(1,920×1,080/60i)など ●背面モニター:タッチパネル式3型約61万ドット固定式 ●EVF:別売(VF-2:約144万ドット、VF-3:約92万ドット) ●シャッター速度:60-1/4,000秒、バルブ ●ストロボ:別売 ●連写速度:約3コマ/秒 ●撮影可能枚数:約330枚 ●外形寸法:約122×61.9×34.3mm ●重量:約369g(バッテリーと記録メディアを含む)
●OLYMPUS PEN Lite E-PL3
・実勢価格
- E-PL3(本体のみ):6万900円前後
- E-PL3レンズキット(ボディ+M.ZUIKO DIGITAL 14-42mm F3.5-5.6 II R):6万800円前後
- E-PL3ダブルズームキット(ボディ+M.ZUIKO DIGITAL 14-42mm F3.5-5.6 II R+M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F4-5.6 R):8万1,300円前後
●対応レンズ:マイクロフォーサーズマウントレンズ ●手ブレ補正:ボディ内 ●撮像素子:4/3型(17.3×13.0mm) ●有効画素数:約1,230万 ●アンチダスト:有 ●感度:ISO200-12800 ●記録メディア:SDXC/SDHC/SDメモリーカード ●動画記録:AVCHD(1,920×1,080/60i)など ●液晶モニター:3型約46万ドット上下可動式 ●EVF:別売(VF-2:約144万ドット、VF-3:約92万ドット) ●シャッター速度:60-1/4,000秒、バルブ ●ストロボ:着脱式(同梱) ●連写速度:約3コマ/秒 ●撮影可能枚数:約300枚 ●外形寸法:約109.5×63.7×37.3mm ●重量:約313g(バッテリーと記録メディアを含む)
●OLYMPUS PEN mini E-PM1
・実勢価格
- E-PM1(ボディのみ):4万9,300円前後
- E-PM1レンズキット(ボディ+M.ZUIKO DIGITAL 14-42mm F3.5-5.6 II R):6万3,400円前後
- E-PM1ツインレンズキット(ボディ+M.ZUIKO DIGITAL 14-42mm F3.5-5.6 II R+M.ZUIKO DIGITAL 17mm F2.8):6万7,000円前後
●対応レンズ:マイクロフォーサーズマウントレンズ ●手ブレ補正:ボディ内 ●撮像素子:4/3型(17.3×13.0mm) ●有効画素数:約1,230万 ●アンチダスト:有 ●感度:ISO200-12800 ●記録メディア:SDXC/SDHC/SDメモリーカード ●動画記録:AVCHD(1,920×1,080/60i)など ●液晶モニター:3型約46万ドット固定式 ●EVF:別売(VF-2:約144万ドット、VF-3:約92万ドット) ●シャッター速度:60-1/4,000秒、バルブ ●ストロボ:内蔵 ●連写速度:約3コマ/秒 ●撮影可能枚数:約300枚 ●外形寸法:約109.5×63.7×34mm ●重量:約265g(バッテリーと記録メディアを含む)
■ソニー
2010年にNEX-5が大ヒットしたソニー。今年はNEX-7、NEX-5N、NEX-C3の3機種を発表し、ラインナップを刷新した。ただし、レンズ交換式デジタルカメラのほとんどを生産するタイ工場が洪水で被災したため、NEX-7の発売が2012年1月27日までずれ込んだ。NEX-5Nについては代替生産もあり、比較的購入しやすい状況になっている。
シリーズフラッグシップという位置付けになるNEX-7は、これまでのラインナップにない上位モデル。最新の有効2,400万画素CMOSセンサーをはじめ、有機ELタイプのEVF、内蔵ストロボ、Aマウント機と同じアクセサリーシューなど、従来機にない装備を誇る。また、外観も幾分カメラらしさを強調したものとなり、他のNEXシリーズに比べ、独特な方向性を持つモデルとなっている。
NEX-5の後継機となるNEX-5Nは、撮像素子を有効1,620万画素のものに変更。高感度性能が強化されると同時に、先幕電子シャッターによるレスポンス向上、さらに3型バリアングル液晶モニターはタッチパネル化を果たしている。極限まで絞り込まれたボディシェイプは健在。さらにホワイトボディが追加されるなど、カラーバリエーションが充実した。
エントリークラスを受け持つNEX-C3は、当初より女性向けとして展開。流行のカメラ内デジタルフィルターを盛り込んだ新インターフェイス「マイフォトスタイル」を採用するなど、簡単かつ自由な写真表現が可能な機能と操作系にこだわっている。3機種の中では最も早く発売されたこともあり、ダブルズームキットで5万円を切るなど価格も安い。
いずれも撮像素子サイズはAPS-Cサイズ相当。他のメーカーと比べて大きく、その分高感度画質については有利だ。特に発売中のNEX-5Nの高感度画質は定評があり、ミラーレスカメラとしては群を抜いている。その代わりレンズが大きく、ボディとのアンバランス感がいまだ気になるとの声は良く聞く。
NEXシリーズが採用するEマウント用の交換レンズは、ソニー製が7本、タムロン製が1本(コンバージョンレンズを除く)。そのうち「E 50mm F1.8 OSS」は執筆時時点、タイ洪水の影響で発売日未定となっている。2010年まで3本しかなかったEマウントレンズだが、今年は望遠ズームレンズ「E 55-210mm F4.5-6.3 OSS」やマクロレンズ「E 30mm F3.5 Macro」が登場。遅れていたカールツァイスブランドの「Sonnar T* E 24mm F1.8 ZA」も出荷が始まるなど、昨年の状況から大きく変化した。
また、初のサードパーティ製となるタムロン「18-200mm F3.5-.6.3 Di III VC」にも注目したい。
●NEX-7
・実勢価格
- NEX-7(ボディのみ):13万円前後の見込み(店頭予想価格、2012年1月27日発売)
- NEX-7レンズキット(ボディ+E 18-55mm F3.5-5.6 OSS):14万5,000円前後の見込み(店頭予想価格、2012年1月27日発売)
●対応レンズ:Eマウントレンズ ●手ブレ補正:レンズ内 ●撮像素子:APS-Cサイズ(23.5×15.6mm) ●有効画素数:約2,430万 ●アンチダスト:有 ●感度:ISO100-16000 ●記録メディア:SDXC/SDHC/SDメモリーカード、メモリースティック PRO-HGデュオ ●動画記録:AVCHD(1,920×1,080/60p)など ●液晶モニター:3型約92万ドット上下可動式 ●EVF:内蔵(約236万ドット) ●シャッター速度:30-1/4,000秒、バルブ ●ストロボ:内蔵 ●連写速度:約10コマ/秒 ●撮影可能枚数:約350枚 ●外形寸法:約119.9×66.9×42.6mm ●重量:約350g(バッテリーと記録メディアを含む)
●NEX-5N
・実勢価格
- NEX-5N(ボディのみ):6万1,800円前後
- NEX-5Nズームレンズキット(ボディ+E 18-55mm F3.5-5.6 OSS):6万9,800円前後
- NEX-5Nダブルレンズキット(ボディ+E 18-55mm F3.5-5.6 OSS+E 16mm F2.8 ):7万4,400円前後
- NEX-5Nダブルズームレンズキット(ボディ+E 18-55mm F3.5-5.6 OSS+E 55-210mm F4.5-6.3 OSS+E 16mm F2.8):10万8,700円前後
●対応レンズ:Eマウントレンズ ●手ブレ補正:レンズ内 ●撮像素子:APS-Cサイズ(23.5×15.6mm) ●有効画素数:約1,610万 ●アンチダスト:有 ●感度:ISO100-25600 ●記録メディア:SDXC/SDHC/SDメモリーカード、モリースティック PRO-HGデュオ ●動画記録:AVCHD(1,920×1,080/60p)など ●液晶モニター:3型約92万ドット上下可動式 ●EVF:別売(FDA-EV1S:約235万ドット) ●シャッター速度:30-1/4,000秒、バルブ ●ストロボ:同梱 ●連写速度:約10コマ/秒 ●撮影可能枚数:約430枚 ●外形寸法:約110.8×58.8×38.2mm ●重量:約269g(バッテリーと記録メディアを含む)
●NEX-C3
・実勢価格
- NEX-C3ズームレンズキット(ボディ+E 18-55mm F3.5-5.6 OSS):4万5,900円前後
- NEX-C3ダブルレンズキット(ボディ+E 18-55mm F3.5-5.6 OSS+E 16mm F2.8):4万8,300円前後
- NEX-C3ダブルズームレンズキット(ボディ+E 18-55mm F3.5-5.6 OSS+E 16mm F2.8+E 55-210mm F4.5-6.3 OSS):8万4,800円前後
●対応レンズ:Eマウントレンズ ●手ブレ補正:レンズ内 ●撮像素子:APS-Cサイズ(23.5×15.6mm) ●有効画素数:約1,620万 ●アンチダスト:有 ●感度:ISO200-12800 ●記録メディア:SDXC/SDHC/SDメモリーカード、モリースティック PRO-HGデュオ ●動画記録:MPEG-4(1,280×720/30p)など ●液晶モニター:3型約92万ドット固定式 ●EVF:非対応 ●シャッター速度:30-1/4,000秒、バルブ ●ストロボ:着脱式(同梱) ●連写速度:約2.5コマ/秒 ●撮影可能枚数:約400枚 ●外形寸法:約109.6×60×33mm ●重量:約283g(バッテリーと記録メディアを含む)
■ニコン
今のところミラーレス機としては最後発でスタートしたニコン。ボディはEVFを内蔵した「Nikon 1 V1」とEVFを省いた「Nikon 1 J1」の2機種。両モデルはコンパクトデジタルカメラからのステップアップユーザーをターゲットにしたとあって、操作系をシンプルにしている。比較的オート撮影を重視したパッケージと見ることができよう。
とはいえ“イチ”から開発を行ない満を持して投入したNikon 1は、同社最新のテクノロジーを満載する。一例を挙げれば、レンズ交換式デジタルカメラでは初にして唯一の「撮像面位相差AF」を採用した。世界最速のAF性能を謳っており、AF追従での連写速度は10コマ/秒と、デジタル一眼レフカメラに勝るとも劣らない。フォーカスポイントも世界最多の73点を誇っている。なお、AF固定であれば60コマ/秒の撮影も可能だ。
Nikon 1では新たな映像体験も提供する。シャッターボタンを押すだけで静止画とフルHD動画を撮影し音楽と組み合わせて再生する「モーションスナップショット」や連写した中からカメラが自動的にベストショットを選んでくれる「スマートフォトセレクター」がそれだ。今までに無い映像表現を楽しみたい。
撮像素子は、両機種とも新開発の有効1,010万画素1インチセンサーを搭載した。13.2×8.8mmで、1/1.7型より大きくマイクロフォーサーズよりは小さい。ミラーレス機としては撮像素子が小さい方だが、その分レンズも小さく作れ、ボディと合わせた携帯性の高さを訴求する。
両機種の大きな違いだが、EVFを搭載しているのはNikon 1 V1のみ。それから内蔵ストロボを搭載しているのはNikon 1 J1のみとなっている。そのほか、液晶モニターの解像度、メカニカルシャッターの有無、バッテリー容量などが異なるポイントだ。EVFを使いたいならNikon 1 V1だが、ストロボも内蔵していてより手軽にという向きにはNikon 1 J1が適しているように思う。Nikon 1 J1は5色から選べるのもいい。
レンズは新マウントの「1 NIKKOR」。「1 NIKKOR 10mm F2.8」(パンケーキ)、「1 NIKKOR VR 10-30mm F3.5-5.6」(標準ズーム)、「1 NIKKOR VR 30-110mm F3.8-5.6」(望遠ズーム)、「1 NIKKOR VR 10-100mm F4.5-5.6 PD-ZOOM」(高倍率ズーム)の4本が現在のラインナップだ。レンズキットで購入すれば、ボディと同じ色のレンズが手に入るのも他社にはない魅力だ。
他社に比べるとレンズの本数はまだ少ないが、大口径単焦点レンズやマクロレンズなど7本の開発を発表している。これらは順次投入されるとのことなの今後の充実に期待したい。ニコンといえば伝統の「Fマウントレンズ」があるが、Nikon 1でもマウントアダプター「FT1」(22日発売)を使えば多くのFマウントレンズが使用可能。これまでのFマウントユーザーも注目のシステムだ。
●Nikon 1 V1
・実勢価格
- Nikon 1 V1(ボディのみ):9万円前後の見込み(店頭予想価格12月22日発売)
- Nikon 1 V1薄型レンズキット(ボディ+1 NIKKOR 10mm F2.8):7万5,600円前後
●対応レンズ:Nikon 1マウントレンズ ●手ブレ補正:レンズ内 ●撮像素子:CXフォーマット(13.2×8.8mm) ●有効画素数:約1,010万 ●アンチダスト:有 ●感度:ISO100-6400 ●記録メディア:SDXC/SDHC/SDメモリーカード ●動画記録:H.264(1,920×1,080/60)など ●液晶モニター:3型約92万ドット固定式 ●EVF:内蔵(約144万ドット) ●シャッター速度:30-1/4,000秒、バルブ ●ストロボ:別売 ●連写速度:約10コマ/秒 ●撮影可能枚数:約400枚 ●外形寸法:約113×76×43.5mm ●重量:約383g(バッテリーと記録メディアを含む)
●Nikon 1 J1
・実勢価格
- Nikon 1 J1(ボディのみ):6万円前後の見込み(店頭予想価格、12月22日発売)
- Nikon 1 J1標準ズームレンズキット(ボディ+1 NIKKOR VR 10-30mm F3.5-5.6):4万9,400円前後
- Nikon 1 J1ダブルズームキット(ボディ+1 NIKKOR VR 10-30mm F3.5-5.6+1 NIKKOR VR 30-110mm F3.8-5.6):7万1,100円前後
- Nikon 1 J1ダブルズームキットピンクスペシャルキット(ボディ+1 NIKKOR VR 10-30mm F3.5-5.6+1 NIKKOR VR 30-110mm F3.8-5.6):7万1,100円前後
●対応レンズ:Nikon 1マウントレンズ ●手ブレ補正:レンズ内 ●撮像素子:CXフォーマット(13.2×8.8mm) ●有効画素数:約1,010万 ●アンチダスト:無 ●感度:ISO100-6400 ●記録メディア:SDXC/SDHC/SDメモリーカード ●動画記録:H.264(1,920×1,080/60)など ●液晶モニター:3型約46万ドット固定式 ●EVF:無し ●シャッター速度:30-1/16,000秒、バルブ ●ストロボ:内蔵 ●連写速度:約10コマ/秒 ●撮影可能枚数:約230枚 ●外形寸法:約106×61×29.8mm ●重量:約277g(バッテリーと記録メディアを含む)
■パナソニック
パナソニックはミラーレスカメラで先行しているだけに、レンズの充実ぶりは目を見張る。最新のパワーズーム対応モデルも含めて全13本あり、超広角から超望遠までを揃える。マクロレンズ、大口径標準単焦点レンズ、魚眼レンズ、3Dレンズまであり、より表現の幅が広がるだろう。もちろんマイクロフォーサーズ組であるオリンパス製レンズが使えるのもいい。
最新モデルLUMIX DMC-GX1の登場により、EVF非内蔵のフラットなタイプ2モデルとEVFを内蔵したシューティングスタイルモデルが2機種というラインナップが完成した。
フラットなタイプは、ハイアマチュア向けのDMC-GX1とエントリー向けのDMC-GF3を用意。DMC-GX1は、こだわりのユーザーにも応える操作性や高級感を持つ。DMC-GF3には無いホットシュー、モードダイヤル、エラストマー製のグリップなどを搭載し、より“撮ること”を意識したデザインとなっている。LUMIX Gでは初めてとなる電子水準器(2軸)の搭載もポイントだ。一方のDMC-GF3は、コマンドダイヤルやホットシューを省略するなど思い切ったパッケージングで、ストロボを内蔵しながらも従来機より小型軽量化を図った。タッチパネルを搭載するのもDMC-GX1との違い。DMC-GX1とは対照的な柔らかな曲線のボディが特徴的だ。
EVF内蔵モデルは、LUMIX Gシリーズのフラッグシップ機DMC-GH2とEVF搭載ながら小型化を図ったDMC-G3の2機種。DMC-GH2はセンサー出力60コマ/秒のフルHD(1080/60i)で撮影が可能なほか、操作性もデジタル一眼レフカメラライクな、前後ダイヤル、モードダイヤル、AFモード切替ダイヤルといったパーツを配置。対するDMC-G3は、子どもなどをメインに撮影するヤングファミリー向けという位置づけとして軽量化を進めた機種だが、撮像素子はDMC-GH2とほぼ同じの約1,600万画素で、EVFも上位モデルに迫る約144万ドット相当品を採用。動画も、60i記録ではないもののAVCHDのフルHD記録が可能となっている。DMC-GH2ともども、ミラーレスカメラでは珍しいフリーアングル液晶モニターを搭載している。
●LUMIX DMC-GH2
・実勢価格
- DMC-GH2(ボディのみ):6万8,400円前後
- DMC-GH2標準ズームレンズキット(ボディ+LUMIX G VARIO 14-42mm F3.5-5.6 ASPH. MEGA O.I.S.):7万5,800円前後
- DMC-GH2レンズキット(ボディ+LUMIX G VARIO HD 14-140mm F4-5.8 ASPH.):11万4,800円前後
●対応レンズ:マイクロフォーサーズマウントレンズ ●手ブレ補正:レンズ内 ●撮像素子:4/3型(17.3×13.0mm) ●有効画素数:約1,605万 ●アンチダスト:有 ●感度:ISO160-12800 ●記録メディア:SDXC/SDHC/SDメモリーカード ●動画記録:AVCHD(1,920×1,080/24p)など ●液晶モニター:3型約46万ドットフリーアングル式 ●EVF:内蔵(約153万ドット相当) ●シャッター速度:60-1/4,000秒、バルブ ●ストロボ:内蔵 ●連写速度:約5コマ/秒 ●撮影可能枚数:約330枚 ●外形寸法:約124×89.6×75.8mm ●重量:約444g(バッテリーと記録メディアを含む)
●LUMIX DMC-GX1
・実勢価格
- DMC-GX1(ボディのみ):6万2,700円前後
- DMC-GX1パワーズームキット(ボディ+LUMIX G X VARIO PZ 14-42mm F3.5-5.6 ASPH. POWER O.I.S.):9万3,300円前後
- DMC-GX1ダブルレンズキット(ボディ+LUMIX G VARIO 14-42mm F3.5-5.6 ASPH. MEGA O.I.S.+LUMIX G 14mm F2.5 ASPH.):8万4,000円前後
●対応レンズ:マイクロフォーサーズマウントレンズ ●手ブレ補正:レンズ内 ●撮像素子:4/3型(17.3×13.0mm) ●有効画素数:約1,600万 ●アンチダスト:有 ●感度:ISO160-12800 ●記録メディア:SDXC/SDHC/SDメモリーカード ●動画記録:AVCHD(1,920×1,080/60i)など ●液晶モニター:3型約46万ドット固定式 ●EVF:別売(DMW-LVF2:約144万ドット相当) ●シャッター速度:60-1/4,000秒、バルブ ●ストロボ:内蔵 ●連写速度:約4.2コマ/秒 ●撮影可能枚数:約310枚 ●外形寸法:約116.3×67.8×39.4mm ●重量:約318g(バッテリーと記録メディアを含む)
●LUMIX DMC-G3
・実勢価格
- DMC-G3(ボディのみ):5万1,100円前後
- DMC-G3レンズキット(ボディ+LUMIX G VARIO 14-42mm F3.5-5.6 ASPH. MEGA O.I.S.):5万1,100円
- DMC-G3ダブルズームキット(ボディ+LUMIX G VARIO 14-42mm F3.5-5.6 ASPH. MEGA O.I.S.+LUMIX G VARIO 45-200mm F4-5.6 MEGA O.I.S.):6万2,900円前後
●対応レンズ:マイクロフォーサーズマウントレンズ ●手ブレ補正:レンズ内 ●撮像素子:4/3型(17.3×13.0mm) ●有効画素数:約1,600万 ●アンチダスト:有 ●感度:ISO160-6400 ●記録メディア:SDXC/SDHC/SDメモリーカード ●動画記録:AVCHD(1,920×1,080/60i)など ●液晶モニター:3型約46万ドットフリーアングル式 ●EVF:内蔵(約144万ドット相当) ●シャッター速度:60-1/4,000秒、バルブ ●ストロボ:内蔵 ●連写速度:約4コマ/秒 ●撮影可能枚数:約370枚 ●外形寸法:約115.2×83.6×46.7mm ●重量:約382g(バッテリーと記録メディアを含む)
●LUMIX DMC-GF3
・実勢価格
- DMC-GF3(ボディのみ):4万1,200円前後
- DMC-GF3パンケーキキット(ボディ+LUMIX G 14mm F2.5 ASPH.):4万4,400円前後
- DMC-GF3電動ズームレンズキット(ボディ+LUMIX G X VARIO PZ 14-42mm F3.5-5.6 ASPH. POWER O.I.S.):6万200円前後
- DMC-GF3ダブルレンズキット(ボディ+LUMIX G VARIO 14-42mm F3.5-5.6 ASPH. MEGA O.I.S.+LUMIX G 14mm F2.5 ASPH.):4万8,200円前後
●対応レンズ:マイクロフォーサーズマウントレンズ ●手ブレ補正:レンズ内 ●撮像素子:4/3型(17.3×13.0mm) ●有効画素数:約1,210万 ●アンチダスト:有 ●感度:ISO160-6400 ●記録メディア:SDXC/SDHC/SDメモリーカード ●動画記録:AVCHD(1,920×1,080/60i)など ●液晶モニター:3型約46万ドット固定式 ●EVF:無し ●シャッター速度:60-1/4,000秒、バルブ ●ストロボ:内蔵 ●連写速度:約3.8コマ/秒 ●撮影可能枚数:約340枚 ●外形寸法:約107.7×67.1×32.5mm ●重量:約264g(バッテリーと記録メディアを含む)
■ペンタックス
ペンタックスのレンズ交換式ミラーレスカメラは、今のところPENTAX Qのみ。小型一眼レフカメラ「Auto110」をデジタル時代に復活させたという意欲的な製品だ。ミラーレスカメラ最小のボディながら、所有欲をくすぐるカメラらしいたたずまいや、がっちりしたボディの剛性感や質感に惚れた人も多いのではないだろうか。
撮像素子のサイズは1/2.3型。Nikon 1のCXフォーマットより小さく、一般的なコンパクトデジタルカメラと同等となる。それでいて画質は、コンパクトデジタルカメラを超えるクオリティ。機能にしても、同社のデジタル一眼レフカメラとほぼ遜色ないボリュームが盛り込まれている。また、小サイズセンサーで不利となるボケ量については、(まだ完全ではないものの)デジタル処理でカバーするといった工夫も見られる。
レンズラインナップもユニークだ。主軸となる標準単焦点レンズ「PENTAX-01 STANDARD PRIME」と標準ズームレンズ「PENTAX-02 STANDARD ZOOM」は、PENTAX Qの画質を引き出すための高品質シリーズと位置づけられている。
面白いのは残りの3本。「PENTAX-03 FISH-EYE」「PENTAX-04 TOY LENS WIDE」「PENTAX-05 TOY LENS TELEPHOTO」のいずれも、マニュアルフォーカス、レンズシャッターなし、絞り固定という制限の強い仕様であり、その代わり小型軽量かつ低価格、そしてトイカメラ的な描写を特徴としている。特に6,000円~1万円という販売価格については、気軽にレンズ交換をして欲しいというペンタックスの想いを感じる。
現時点でPENTAX Qは、デジタル一眼レフカメラの置き換えにミラーレスカメラを考えている人にお勧めできない製品かもしれない。しかし、システム全体を通して感じられる洒落っ気がわかる人にとって、これほどツボにハマるミラーレスカメラもないだろう。
●PENTAX Q
・実勢価格
- PENTAX Qレンズキット(ボディ+PENTAX-01 STANDARD PRIME):5万4,100円前後
- PENTAX Qダブルレンズキット(ボディ+PENTAX-01 STANDARD PRIME+PENTAX-02 STANDARD ZOOM):7万3,800円前後
●対応レンズ:Qマウントレンズ ●手ブレ補正:ボディ内 ●撮像素子:1/2.3型 ●有効画素数:約1,240万 ●アンチダスト:有 ●感度:ISO160-6400 ●記録メディア:SDXC/SDHC/SDメモリーカード ●動画記録:H.264(1,920×1,080/30p)など ●液晶モニター:3型約46万ドット固定式 ●EVF:無し ●シャッター速度:30-1/2,000秒、バルブ ●ストロボ:内蔵 ●連写速度:約5コマ/秒 ●撮影可能枚数:約230枚 ●外形寸法:約98×57.5×31mm ●重量:約200g(バッテリーと記録メディアを含む)
2011/12/19 00:00