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キヤノンEOS-1D Mark IVでショートフィルムを撮る

Reported by 近藤勇一

EOS-1D Mark IV / EF 24-70mm F2.8 L USM / 4,896×3,264 / 1/500秒 / F5.6 / 0EV / ISO100 / WB:マニュアル / 35mm
サムネイルをクリックすると、EOS-1D Mark IVで撮影した静止画像を開きます。(Digital Photo Professionalで現像し、Photoshop CS3でレタッチ。撮影:野下義光)

 キヤノンが2009年12月に発売したデジタル一眼レフカメラ「EOS-1D Mark IV」は、秒間10コマの連写性能を備え報道やスポーツ撮影のプロに向けたカメラだ。本機は、「EOS-1D」シリーズではじめて動画撮影機能「EOSムービー」を搭載したモデルでもあり、動画撮影でもボディの信頼性や防塵防滴性能を活かすことができる。

 撮像素子のサイズはAPS-H相当。記録できる動画のフォーマットは、1,920×1,080ピクセル(30fps、25fps、24fps)、1,280×720ピクセル(60fps、50fps)、640×480ピクセル(60fps、50fps)。圧縮形式はMPEG-4/AVC(H.264、MOV)。音声はリニアPCMで、外部ステレオマイクも接続できる。

 今回のショートフィルムで撮影と編集を担当した映像作家の近藤勇一氏と、撮影のコーディネートを行なった写真家の野下義光氏による対談も掲載した。(編集部)

【ショートフィルム】

 

※掲載したショートフィルムは、EOS-1D Mark IVで撮影したHD動画をアップルの動画編集ソフト「Final Cut Pro 6」で編集した。撮影時のフレームレートは24(23.98)fpsだが、モデルが走っているシーンと雪を巻き上げているシーンのみ60(59.94)fpsで撮影し、2.5倍のスローモーションとした(いわゆるオーバークランク)。オーバークランクシーンのフレームレート変換と動画全体のリサイズには、同じくアップルの動画合成ソフト「Shake 4.1」を使用している。なお、撮影時のピクチャースタイルはニュートラル。編集で色調整などは行なっていない。また、掲載したFLVファイルは撮影時と同じ24(23.98)fpsとしている。

※掲載したFLVファイルは640×360ピクセル。ビットレートは約2Mbpsとした。そのため、オリジナル映像には無かった画質の低下が見られる点をご了承いただきたい。なお、本編に使用した未加工のオリジナル動画ファイルを記事末に掲載した。

モデル:森仁奈@プロダクションノータイトル
撮影協力:プチホテル ゾンタック(長野県上田市菅平高原)

●プロ機の防塵防滴性能を活かした絵作り

野下:動画企画第3回は、いわずと知れたキヤノンの高速連写フラッグシップの最新機「EOS-1D Mark IV」です。

近藤:今回のEOS-1D Mark IVというのは、今までずっと野下さんが使ってきたEOS 1Dというカメラの最新機なんですよね!?

野下:その通りです。8年ほど前でしょうか、近藤さんと初めてお仕事させていただいた時に使っていたのが初代のEOS 1Dでした。以来ずっとEOS 1Dシリーズは代を重ねて主力機にしてきました。もっとも、今回のEOS-1D Mark IVは今のところは導入していませんが。

近藤:ほかの写真家の方々とも仕事をする機会が多いですが、けっこう皆さん使っていますよね。さすがに野下さんほどムチャな使い方をしている人は見かけませんが(笑)。

野下:海に水没させたりですか(笑)。あれは、海面すれすれのアングルで撮っていただけですよ。ちょっと大きな波が来たときのリアクションも狙ってカメラもろとも頭から波を被っただけです(笑)。

近藤:そのとき自分も波間でビデオ撮影を行なっていたのですが、波しぶきだけでまず1台ダウンしました。もちろん水没はさせなかったのですが……。続いてあのロケは異常に湿度も高かったので、さらに1台テープヘッドが不調になりダウン。携行したビデオカメラを3台中2台もダウンさせてしまいヒヤヒヤしながら撮影をしているのに、その横で野下さんは平然とカメラを水没させつつ撮影を続けている(笑)。プロ仕様スチルカメラのタフさには感心したものです。

野下:EOS 1Dでそうしたタフさはずっと健在です。そのタフさが今回、雪玉をカメラに直接ぶつけるというシーンに活かせましたよね。それとこのEOS-1D Mark IVでは、2つの記録メディアに同時に同一のデータを書き込ませる冗長性を動画記録にも持たせていますよ。

近藤:それは非常に頼もしく、信頼感の高い機能ですね。

野下:そうですよね。動画の方が静止画よりもスタッフも予算も桁違いに大きい場合が多いですよね。もちろん静止画も信頼性第一ですが、規模から言って動画の方がより高い信頼性が必要ですよね。

近藤:それは確かにそうです。前回のパナソニック「LUMIX DMC-GF1」はもちろんでしたが、キヤノン「EOS 7D」もいわゆる民生機なので、どこまで信頼していいのか一抹の不安はありました。でもEOS-1Dならメディアへの冗長記録や、長年に渡って私の周りの写真家の方々も使っていますし、野下さんみたいに水没試験まで目撃していますので(笑)、信頼できる要素は大いにありますね。

●雪のシーンには「高輝度側階調優先」機能

野下:EOS 7Dと比べて画質はいかがでしたか?

近藤:まったく同じ状況で試していないので何とも言えませんが、先のEOS 7Dでの撮影と今回の1Dでの撮影に関して言えばハッキリした違いは感じられませんでした。EOS 7Dもそうでしたが、ハイライトがよく粘りますね。ピーカンの雪景色なのに雪の質感も飛ばずにしっかりと出ています。

野下:実は、雪景色のシーンは「高輝度側階調優先」という機能を使っていたんですよ。この機能は、若干眠い描写になるので個人的には静止画には用いていません。静止画の場合はRAWで撮って現像や後処理で雪の質感も出せますが、動画だとこのカメラではRAWで撮れないので敢えて使ってみました。

近藤:なるほど、そうだったんですか。動画ではコントラストも適度で問題なかったですよ。ビデオカメラではいつも雪の質感と肌の明るさの両立には困難を感じていました。この企画では露出はいつも野下さんにお任せしていますけれど、どうやって合わせているのですか?

野下:長年培った勘と経験からカメラ任せです(笑)。カメラ任せといっても、任せられるようなフレーミングでの露出にしています。EOSの分割測光はかなり優れていますからね。ただ動画だと中央重点平均測光になってしまうので静止画のモードで分割測光にして、一応念のため静止画を撮ってヒストグラムとハイライト警告も確認していました。

野下:今回は、雪に8mmフィルムの映像を投影させたシーンがありましたね。

近藤:あれは昔からアイディアとしてはあったのですが、なかなかやる機会が得られなかったのと、ビデオカメラの高感度性能からしてまだ厳しいかと思い、ずっと見送って来ました。

野下:EOS 7Dでも高感度性能の良さを体験していましたしね。

近藤:そのEOS 7Dよりもさらに高感度性能は高いということを聞いていましたので、今回はまさに試すにはちょうど良いと思いました。8mm映写機の光って結構暗いんですよ。中には大会場用のクセノンライトの8mm映写機も存在しますが、ほとんどの8mm映写機がハロゲンライトであまり明るくない。なので今回もダメもとで試したのですが、カメラを手にしたらEOS-1D Mark IVの液晶モニター上ですでに見た目以上に綺麗に明るく表示されているのには驚きました。

野下:ビデオカメラだとまだ厳しいですか?

近藤:私が使っているパナソニック「AG-HVX200」(2005年発売)では正直辛いです。でもビデオカメラもかなり進化してきてますので最新機種ならかなり健闘しますよ。でもEOS-1D Mark IVの方がやはりきれいだと思いますね。ほかに暖炉のシーンも炎だけの明るさで撮りましたが、これなども数年前では考えられなかった状況です。(背後の緑は撮影用照明ではなく、近くの非常口の誘導灯がもれているものです)

●高い信頼性が映像制作分野に適する

野下:ピントについてはいかがでしたか?

近藤:前回のEOS 7Dでの撮影時は結果がどうなるのか全く未知数だったので非常に不安でしたが、一度編集を仕上げた事もあって今回はあの時ほどの不安はありませんでした。相変わらず現場ではカメラ単体だけだと正確にピントが合っているのかイマイチわかりませんが、ライブビューのAFで問題ないという経験値も加えるとなんとかなります。でも最初から劇場のフルスクリーンで公開することが決まっている場合や、クライアントのニーズに細かく応えていく必要がある場合には、やはり相応の機器やスタッフは必要でしょう。

 でもそこまでのクオリティを要求しない現場であれば、カメラ単体でも十分使えます。その場合、ピントは固定が基本になりますが、ピント固定でもパンと組み合わせると空間の立体感が増しますし、静物を撮るのであればピントのキメをあえてつくらず、ボケはじまりのピン送りでボケ終わりとすれば、精細にモニタできずとも絵はしっかり作れます。また、レンズのボケ足がきれいなので、仮にボケてしまってもボケたなりに見栄えのする映像は撮れる可能性が高いので、あまり不安がらずに不発覚悟で色々撮ってみると良いと思います。実際、私自身、前回のEOS 7Dと今回のEOS-1D Mark IVと実はかなり不発ショットも撮っていますが、編集で削っています(苦笑)。

野下:撮像素子のサイズはEOS 7Dよりもさらに大きいのですが、ボケ足はいかがでしたか?

近藤:EOS-1D Mark IVの方がより万能かもしれませんね。EOS 7Dと同様に十分なピントの深さも得られるしEOS 7D以上のボケも得られますし。でもこれ以上大きいとEOS 7Dの回でも話したように、使える状況が特殊な場面のみになってしまいそうです。

野下:ということは、業務使用を前提とした映像機器としてのデジタル一眼レフカメラはEOS-1D Mark IVが最高ですか?

近藤:まだまだごく一部のデジタル一眼レフカメラしか経験はありませんが、やはり最高峰といえるのではないか思います。先日、映像制作に携わっている旧友と話す機会がありましたが、彼の現場でも着実にデジタル一眼レフカメラの使用が広まっているそうです。EOS-1D Mark IVは、このクラスのハイビジョン映像機器としては非常に安価でありながら、それでいてプロ仕様機として高い信頼性を持っています。いずれ映像分野でのデジタル一眼レフカメラの標準機になるかもしれませんね。

【オリジナル動画】

サムネイルをクリックすると、本編で使用したカット(一部)のオリジナルファイルをダウンロードします。
EOS-1D Mark IV / 1,920×1,080ピクセル / 24(23.98)fps / 34秒 / 約164MB / QuickTime(H.264)形式





1969年栃木県生まれ。小学生時代に父の8ミリカメラで撮影を始め、怪獣映画監督を夢見る。しかし何故かアイドル映像制作の日々に(苦笑)。女は最強の怪獣と解釈するに至る。アイドルものを中心としたビデオ撮影・編集に加え、企業VPなどのCGを担当するほか、ショートムービーも制作し「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭」の常連監督でもある。個人ブログ「機脈社」はこちら

2010/3/25 13:08