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オリンパス・ペンE-P2の「i-FINISH」を試してみる

Reported by 本誌:折本幸治

M.ZUIKO DIGITAL ED-14-42mm F3.5-5.6を装着したE-P2

 大ヒットしたマイクロフォーサーズ機「E-P1」の上位機種というふれこみで登場したのが、ご存知「E-P2」だ。改めてE-P1にないE-P2独自の主な要素を列挙すると、次の通りとなる。

  • ボディカラー
  • EVF(VF-2)やマイクセット(EMA-1)への対応
  • 新アートフィルター(ジオラマ、クロスプロセス)の搭載
  • 新機能「i-FINISH」の搭載
  • HDMIコントロールの搭載
  • 動画モードでのマニュアル露出

 基本的なスタイリングは変わらず、撮像素子、画像処理エンジン、液晶モニター、ボディ内手ブレ補正機構、超音波防塵フィルターといった主要な装備にも変更はない。となると、E-P1からの買い増し&買い替え希望者にとって、上記の違いが重要になる。

 何を重視するかは人それぞれだが、そのうち今回は新機能「i-FINISH」に着目してみた。


i-FINISHとは

 i-FINISHのすべてを説明するのは難しい。ユーザーインターフェイス的には従来の「仕上がり」に含まれるもので、「VIVID」、「NATURAL」、「FLAT」、「PORTRAIT」に加わる新しい「仕上がり」という位置付けになる。ただし、従来の「仕上がり」が定量的な処理だとすれば、i-FINISHは撮影画像ごとに分析を行ない、撮影画像ごとに効果をバリアブルに変化させるところが特徴だ。

i-FINISHは「仕上がり」の中から選べる ライブコントロールからも選択可能
もちろん、スーパーコンパネからも呼び出せる

 i-FINISHを開発したのは、オリンパス株式会社の研究開発センター。そのうちデジタル技術開発本部が手がけている。デジタルカメラは通常、オリンパスイメージング株式会社の分掌になるが、i-FINISHについてはオリンパス株式会社の研究組織が手がけたという。

 デジタル技術開発本部の高田勝啓副部長によると、これまでの「仕上がり」はあくまでもフィルムの置き換えであり、近年オリンパスが注力しているアートフィルターは暗室技術に属する。それらに対してi-FINISHは、従来の表現でいえば、記憶色を再現する技術のひとつになる。実際には複雑な処理をしており、「記憶色の再現」という表現では説明が足りないだろう。

 人は、そのときの自分の感動を収めるために写真を撮る。しかし出来上がった写真を見ると、そう簡単には感動が表現できていないものだ。なぜ感動を再現できないのか、撮ったとき感動を思い出させるような仕組みができないものかと取り組んだのが、i-FINISH開発の端緒だったという。その成果を初めて搭載したのが、E-P2というわけだ。

 i-FINISHの効能をもう少し具体的に説明すると、撮影画像の主要被写体をカメラが識別し、同時に主要被写体を際立たせるように処理を行なう。その際すべての色を変化させるのではなく、撮影に合わせて適切な範囲を見極めて処理する。主要被写体は人物以外でも有効。画像全体が一様に高彩度になるのではなく、一例としては、より鮮やかだと好ましい部分だけ鮮やかになり、人肌やシャドウはそのまま、というものだ。

 あまりにもカメラ任せなのが気に入らない場合は、「強」、「標準」、「弱」の3段階で効果を指定できるので、撮影を繰り返しながら好みにあわせた設定を見つければよい。「強」、「標準」、「弱」の違いは、撮影前のライブビューでも視認できる。

i-FINISHの効果は3段階。デフォルトは「標準」 さらに3つのパラメーターを設定可能だ

 また「強」、「標準」、「弱」のそれぞれに、「コントラスト」、「シャープネス」、「彩度」の各パラメーターを指定可能。カメラが行なった処理が気に入らなければ、微調整も行なえるというわけだ。正直、触れるパラメーターが多すぎる気もするが、「コントラスト」、「シャープネス」、「彩度」については従来の仕上がりも同様に用意されているので、その流れを汲んだというところだろう。

 なお、i-FINISHでは主に彩度情報の変更を行なっているが、同時にコントラストも変えているとのこと。また、肌色を少し明るくするなど、明度に関する処理も行なっているようだ。


実写サンプル

 それでは実際の撮影画像を見ていただこう。それぞれ「仕上がり」を変化させ、i-FINISHについては「強」、「標準」、「弱」を撮り比べている(仕上がりのうちモノトーンは割愛)。そのほかのパラメーターは触っていない。

  • 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像(緯度・経度情報のみ削除)を別ウィンドウで表示します。

※共通データ:E-P2 / M.ZUIKO DIGITAL ED-14-42mm F3.5-5.6 / 約5.3MB / 3,024×4,032 / 1/400秒 / F8 / 0EV / ISO100 / WB:晴天 / 14mm
仕上がり:i-FINISH(強) 仕上がり:i-FINISH(標準) 仕上がり:i-FINISH(弱)
仕上がり:VIVID 仕上がり:NORMAL 仕上がり:FLAT 仕上がり:PORTRAIT

 i-FINISHの空の鮮やかさが印象的。実際のところ、現場の空の色は忘れたが、イメージとしてはi-FINISHで撮影した写真が、その場の感動を思い起こさせてくれる。ただし、さすがに「強」は青が鮮やか過ぎ、個人的にはやりすぎに感じる。


※共通データ:E-P2 / M.ZUIKO DIGITAL ED-14-42mm F3.5-5.6 / 約5.0MB / 3,024×4,032 / 1/60秒 / F5.4 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 39mm
仕上がり:i-FINISH(強) 仕上がり:i-FINISH(標準) 仕上がり:i-FINISH(弱)
仕上がり:VIVID 仕上がり:NORMAL 仕上がり:FLAT 仕上がり:PORTRAIT

 人肌に対する変化を見た。VIVIDでは肌色の彩度が上がっているが、i-FINISHでは果物以外に変化が見られない。


※共通データ:E-P2 / M.ZUIKO DIGITAL ED-14-42mm F3.5-5.6 / 約4.2MB / 4,032×3,024 / 1/2.5秒 / F5.6 / +0.7EV / ISO100 / WB:オート / 42mm
仕上がり:i-FINISH(強) 仕上がり:i-FINISH(標準) 仕上がり:i-FINISH(弱)
仕上がり:VIVID 仕上がり:NORMAL 仕上がり:FLAT 仕上がり:PORTRAIT

 i-FINISHとVIVIDは、イチゴの赤が鮮やか。白熱灯による黄色の色かぶりが強いのはVIVID。i-FINISHの3つは、イチゴをブーストしながらも、色かぶりによる見苦しい黄色を上手く中和している印象だ。


※共通データ:E-P2 / M.ZUIKO DIGITAL ED-14-42mm F3.5-5.6 / 約5.4MB / 4,032×3,024 / 1/5秒 / F4.5 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 26mm
仕上がり:i-FINISH(強) 仕上がり:i-FINISH(標準) 仕上がり:i-FINISH(弱)
仕上がり:VIVID 仕上がり:NORMAL 仕上がり:FLAT 仕上がり:PORTRAIT

 ほぼすべて赤系統の色が占めるシーン。どうなるかと思ったら、しっかり違いが出ていた。i-FINISH(強)とVIVIDは同程度の彩度ながら、i-FINISH(強)はコントラストが強い。


※共通データ:E-P2 / M.ZUIKO DIGITAL ED-14-42mm F3.5-5.6 / 約4.9MB / 4,032×3,024 / 1/1.3秒 / F5.6 / -0.7EV / ISO100 / WB:オート / 16mm
仕上がり:i-FINISH(強) 仕上がり:i-FINISH(標準) 仕上がり:i-FINISH(弱)
仕上がり:VIVID 仕上がり:NORMAL 仕上がり:FLAT 仕上がり:PORTRAIT

 高彩度な被写体がなく、主要被写体が不明確なシーン。コントラストが若干変化しているものの、彩度にあまり違いはない。PORTRAITが明るいのはほかのサンプルと同じだ。


※共通データ:E-P2 / LUMIX G VARIO 14-45mm F3.5-5.6 ASPH. MEGA O.I.S. / 約4.7MB / 3,024×4,032 / 1/400秒 / F8 / 0EV / ISO100 / WB:晴天 / 45mm
仕上がり:i-FINISH(強) 仕上がり:i-FINISH(標準) 仕上がり:i-FINISH(弱)
仕上がり:VIVID 仕上がり:NORMAL 仕上がり:FLAT 仕上がり:PORTRAIT

 上記と同じく低彩度のシーン。雪の青味に若干の違いが見られるものの、基本的にi-FINISHはNORMALに近い。


まとめ

 サンプルの数が少ないとはいえ、i-FINISHの目的と傾向がおおよそわかっていただけたと思う。とりわけ空の青空が強調されるので、旅行などでの記念撮影や、本格的な風景写真などにも使えそうだ。全体の彩度をあげつつ、人肌は変化させない機能が最近のRAW現像ソフトによく見られるが、それと同等、あるいはより好ましい結果が撮影時に得られる印象。個人的にはi-FINISH(標準)で撮っておけば、ほぼ問題ないと感じる。

 なお今回はJPEGでしか試していないが、E-P2のRAWならi-FINISHをパソコン上で適用できる(OLYMPUS Master 2最新版が必要)。また、さらに現実離れした鮮やかな色調が欲しければ、アートフィルターの「ポップアート」を試す方法もある。

 現在E-P2は、i-FINISHを唯一使用できる機種になる。E-P1にはない機能なので、人によってはE-P2を選ぶ理由のひとつになるかもしれない。



本誌:折本幸治

2010/1/25 16:40


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