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“APS-Cハイミドルクラス”3モデルを比較する(実写編)

Reported by 塙真一

 前回の機能編に続き、今回は実写画像を見ながらキヤノン「EOS 7D」、ニコン「D300S」、ペンタックス「K-7」の3モデルについて検証してきたい。デジタル一眼レフカメラの場合、画質チェックといっても、使用するレンズによっても画質が変わってしまうため、なかなか厳密なテストはしにくい。今回の撮影では、EOS 7Dには「EF-S 15-85mm F3.5-5.6 IS USM」を、D300Sには「AF-S DX NIKKOR 16-85mm F3.5-5.6G ED VR」、K-7には「DA 17-70mm F4 AL [IF] SDM」を装着して撮影を行った。

 3モデルとも比較的新しいレンズでAPS-Cサイズのセンサーに特化したイメージサークルを有するレンズとなっているため、ボディとの相性は問題ないはずだろう。画角から考えれば妥当な選択と考えてよいはずだ。

 また、撮影の際は、基本的に絞り優先AEで絞り値を統一し、露出はカメラ任せ、ホワイトバランスのオートのまま撮影を行なっている。

※作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像を別ウィンドウで表示します。


遠景および近中景

 ワイド端で遠景を撮影してみたが、やはり画素数というアドバンテージを持つEOS 7Dがもっとも遠景細部まで描写できている。次いでK-7、D300Sという結果になるが、EOS 7Dの1,800万画素とK-7の1,460万画素には細部の再現性にそれほど大きな違いがあるとは感じない。さすがに、D300Sはこれら2モデルと比べると細部の甘さを感じてしまうが、それでも1,200万画素ならば十分に風景写真も撮れるのではと感じる。

 また、オートホワイトバランス使用時における発色だが、もっとも見た目の記憶に近いのはD300S。EOS 7Dはかなり青空がマゼンタっぽいし、K-7は全体の発色が派手すぎる。ちなみに、K-7はデフォルトのカラー設定が「鮮やか」となっているため、これで撮影をおこなっている。

●遠景

EOS 7D、以下同じ
5,184×3,456 / 1/320秒 / F8 / 0EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:オート / 15mm
D300S、以下同じ
4,288×2,848 / 1/500秒 / F8 / 0EV / ISO200 / 絞り優先AE / WB:オート / 16mm
K-7、以下同じ
4,672×3,104 / 1/160秒 / F8 / 0EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:オート / 17mm
5,184×3,456 / 1/400秒 / F8 / 0EV / ISO200 / 絞り優先AE / WB:オート / 65mm 4,288×2,848 / 1/160秒 / F8 / 0EV / ISO200 / 絞り優先AE / WB:オート / 68mm 4,672×3,104 / 1/100秒 / F8 / 0EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:オート / 70mm

 次に、近景の描写を見るために、K-7のテレ端となる70mmに画角を揃えて青空抜けの白樺を撮った。こちらはD300Sがもっとも忠実に白樺の木を写してくれた。青空抜けという条件ながら、D300Sのシーン認識システムが働いてくれたのか、ピントを合わせた白樺の細部がしっかりと見えるように露出設定が行われた。

●近景

5,184×3,456 / 1/800秒 / F5.6 / 0EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:オート / 65mm 4,288×2,848 / 1/800秒 / F5.6 / 0EV / ISO200 / 絞り優先AE / WB:オート / 70mm 4,672×3,104 / 1/250秒 / F5.6 / 0EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:オート / 70mm
5,184×3,456 / 1/2500秒 / F5.6 / 0EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:オート / 85mm 4,288×2,848 / 1/4000秒 / F5.6 / 0EV / ISO200 / 絞り優先AE / WB:オート / 85mm 4,672×3,104 / 1/1250秒 / F5.6 / 0EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:オート / 70mm
5,184×3,456 / 1/320秒 / F5.6 / 0EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:オート / 85mm 4,288×2,848 / 1/640秒 / F5.6 / 0EV / ISO200 / 絞り優先AE / WB:オート / 85mm 4,672×3,104 / 1/320秒 / F4 / 0EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:オート / 70mm

 これに対し、K-7はわずかにアンダー目、EOS 7Dはさらにアンダー目となった。K-7とEOS 7Dはコントラストも高めだ。ピント位置はどれも画面中央の白樺に合わせているのだが、K-7とEOS 7Dは青空を中心に露出決定しているのかもしれない。これくらい近景になると、画素数の違いはほとんど影響ないといってよいだろう。

 今度は、遠くの山並みに見える白樺林を撮影したもの。こちらもK-7のテレ端に画角を合わせて撮影を行なっている。こちらの写真もD300Sは明るめの露出となり、次いでK-7、EOS 7Dと少し暗めの露出となった。ただし、今回の写真ではD300Sは少し明るすぎる印象で、白樺の木の明るさでいえばK-7くらいが見た目の印象というところだろうか。

●中景

3,456×5,184 / 1/500秒 / F8 / 0EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:オート / 85mm 2,848×4,288 / 1/500秒 / F8 / 0EV / ISO200 / 絞り優先AE / WB:オート / 85mm 3,104×4,672 / 1/200秒 / F8 / 0EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:オート / 70mm

 解像については、やはりEOS 7Dが高く、細かな枝の重なり具合もよくわかる。D300Sもなかなか健闘している。K-7は少し細部がざらざらとしてノイジーな印象となってしまっているのが気になるところだ。

 参考までにEOS 7DとD300Sは85mmのテレ端で撮ったものも掲載している。カメラ本体の話ではなくなってしまうが、70mmと85mmでは遠景を撮ってもずいぶんと寄れる度合いが違うことが分かっていただけるだろう。

 ほかにもいろいろなシーンで撮り比べてみると、さまざまな特徴が見られる。たとえば、テレ端で氷の固まりを撮ってみた近景の写真では、EOS 7Dは氷の質感やひび割れなどの再現力が飛び抜けて高い。D300SとK-7は氷の表面がのっぺりとしてしまっている。これだけの近景なので画素数の違いというよりも、絵づくり、画像処理エンジンの処理法などによるものと思われる。

 露出に関しても、遠景の風景や青空抜けの写真などでは比較的明るめの結果となっていた、D300Sが、氷や湖面に落ちる木々などの写真では暗めに写り、逆にEOS 7DとK-7はこれらが明るめの露出となった。どのカメラもシーンによって露出のばらつきはあるし、それぞれのマルチパターン測光の得意不得意もあるということだ。このあたりは、機種ごとの優劣というよりは、自身のカメラであればしっかりと癖をつかんでおけばよいというレベルだろう。

●テレ端の遠景(参考)

EOS 7D
5,184×3,456 / 1/400秒 / F8 / 0EV / ISO200 / 絞り優先AE / WB:オート / 85mm
D300S
4,288×2,848 / 1/160秒 / F8 / 0EV / ISO200 / 絞り優先AE / WB:オート / 85mm

ピクチャースタイル、ピクチャーコントロール、カスタムイメージなどの絵づくり

 3モデルともに仕上げのテイストを変更できる機能を搭載している。EOS 7Dは「ピクチャースタイル」、D300Sは「ピクチャーコントロール」、K-7は「カスタムイメージ」と名付けられたものだ。

 EOS 7Dに搭載されるピクチャースタイルは、スタンダード、ポートレート、風景、ニュートラル、忠実設定、モノクロの6種類。それぞれの項目について、シャープネス、コントラスト、色の濃さ、色あいが微調整でき、さらにモノクロについてはフィルター効果と調色の調整も可能となっている。また、PCソフト「Picture Style Editor」でオリジナルのピクチャースタイルを作成したり、Web上からピクチャースタイルファイルをダウンロードしてカメラに登録しておくこともできる。ピクチャースタイルの変更用に専用のボタンが用意されているため、ピクチャースタイルの変更は至って簡単。

 D300Sに搭載されるピクチャーコントロールは、スタンダード、ニュートラル、ビビッド、モノクロームの4種類。それぞれに輪郭強調、コントラスト、明るさ、色の濃さ(彩度)、色合い(色相)が調整できるようになっている。モノクローム用にはフィルター効果と調色の調整も可能だ。また、PCで「Picture Control Utility」を使い、カメラ内にオリジナルのピクチャーコントロールを保存しておくこともできるし、Web上から風景、ポートレートの2種類のピクチャーコントロールをダウンロードすることも可能。このあたりはEOS 7Dとほぼ同じだが、ダウンロードできる拡張用のファイルはちょっと数が少なめだ。

 K-7のカスタムイメージは、鮮やか、ナチュラル、人物、風景、雅(MIYABI)、ほのか、モノトーンの7種類が用意される。それぞれに彩度、色相度、キー、コントラスト、シャープネス度の調整項目があり、モノトーン時にはフィルター効果と調色の設定が行えるようになっている。K-7は残念ながら、Web上からファイルをダウンロードしたり、ソフトウエアでオリジナルファイルを作成するような機能は搭載されていない。その代わりといってはなんだが、あらかじめ搭載されている雅(MIYABI)とほのかはかなり特徴のある絵作りとなっている。

 個別の設定ごとの写真だが、まずは初期設定となるモードでの写真をみてみたい。EOS 7DとD300Sはスタンダード、K-7は鮮やかだ。D300Sのスタンダードに比べるとEOS 7Dのスタンダードはかなり彩度、コントラストともに高めとなっている。このクラスのカメラならば忠実設定くらいをスタンダードとしてもよいのではと感じる。

 また、K-7は鮮やかが初期設定だが、これは彩度、コントラストが高め。しかも朱色の橋が赤くなってしまっているのも気になる。オートホワイトバランスでの撮影のためかとも考えられるが、空の色を見る限り、どうやらこの手の色が赤めに出る傾向のようだ。

 D300Sはピクチャーコントロールが4種類と少ないが、どれも名前から想像されるとおりの絵作りが行なわれるため、使いやすく感じる。EOS 7Dは設定を変えるとかなり大きく絵作りを変えてくる。彩度やコントラストだけでなく特定色の明度なども調整するようだ。ただ、ニュートラルはもう少しコントラストを抑えめにしたほうが良いのではと感じる。また、写真からはわかりにくいが、ポートレート設定などは肌の色合いと明度を絶妙にコントロールしてくるのでおもしろい。

 K-7もコントラスト、彩度、明度を積極的に動かしている。ただし、初期設定が鮮やかとなっていることからも分かるように、どちらかといえば、彩度、コントラスト高めがこのカメラの絵作り思想のようだ。シャープネスまでを落とさなくてもよいが、もう少し彩度とコントラストは控えめなほうが中上級者には喜ばれるのではないだろうか。また、雅(MIYABI)とほのかは、ほかの2モデルにはない大胆な仕上がりとなる。どちらも最近の流行ともいえる絵作りなので、撮影時に大胆な仕上がりを求めたい人には楽しめる設定かもしれない。

 ただ、どのカメラも各仕上がり設定時に彩度、コントラスト、シャープネスなどのパラメーターを調整することができるので、初期の状態が気にくわなければ、自分好みの設定に変更してしまえばよいということになる。その点でいえば、EOS 7DとD300Sはカメラ本体での調整以外に、ソフトウエアでじっくりと自分流の仕上がり設定を作ることができ、より高度な調整が可能といえるだろう。

 ちなみに、個人的にはD300Sのピクチャーコントロールが一番使いやすいと感じた。理由は設定変更時の明度の変化量が少なく、露出のコントロールがしやすいと感じるからだ。D300Sくらいの仕上がり具合で、K-7くらい豊富なバリエーションを持っていてくれたら一番ありがたいのだが。

●EOS 7D

※共通設定:5,184×3,456 / 1/250秒 / F8 / 0EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:オート / 15mm

スタンダード ポートレート 風景
ニュートラル 忠実設定 モノクロ

●D300S

※共通設定:4,288×2,848 / 1/400秒 / F8 / 0EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:オート / 16mm

スタンダード ニュートラル ビビッド
モノクローム

●K-7

※共通設定:4,672×3,104 / 1/125秒 / F8 / 0EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:オート / 17mm

鮮やか ナチュラル 人物
風景 ほのか
モノトーン

ダイナミックレンジ関連

 シャドーの黒ツブレやハイライトの白トビ抑をえるための機能として、EOS 7Dには「オートライティングオプティマイザ」と「高輝度側・階調優先」の2種類の項目が用意されている。オートライティングオプティマイザは、シャドー部を若干明るめに補正する機能で、しない、弱め、標準、強めの4種類が用意される。一方、高輝度側・階調優先はハイライト側の階調再現性を向上させる機能。高輝度側・階調優先はカスタムメニューから設定できるが、これをオンにすると最低感度はISO200からとなり、同時にオートライティングオプティマイザの設定が自動的にオフとなる。

 D300Sには「アクティブD-ライティング」が搭載されるが、こちらは1つの項目で白トビ、黒ツブレを抑えるというもの。設定は、しない、弱め、標準、強め、より強め、オートの6種類から選べるようになっている。設定内容によってAEによる露出も自動調整され、最適な効果が得られるように働くのが特徴だ。

 K-7では「D-Range」設定で設定変更ができるが、変更項目はハイライト補正のオン、オフとシャドー補正のオフ、弱、中、強の4種類を組み合わせ行なう。こちらもD300Sと同様、設定内容によってAEの露出が変わってくる。また、「ハイライト補正」をオンにすると最低ISO感度はISO200となる。また、今回は撮影を行なわなかったが、1度に3回のレリーズを行ない、カメラ内で合成を行うHDR撮影機能も搭載されている。

 それぞれのカメラで設定を変えながら撮影を行なってみた。まず、EOS 7Dだがオートライティングオプティマイザの強度に応じて、着実にシャドー部が明るくなってくれる。また、高輝度側・階調優先をオンにすると、確かにハイライト中心の階調再現がおこなわれるが、露出も1/3段ほどアンダー目に撮影されているので、そのせいもあるのではと思ってしまう。

●EOS 7D

※共通設定:3,456×5,184 / 1/500秒 / F8 / 0EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:オート / 35mm

オートライティングオプティマイザ:しない オートライティングオプティマイザ:弱め オートライティングオプティマイザ:標準
オートライティングオプティマイザ:強め 高輝度側・階調優先:する(オートライティングオプティマイザ:しない)

 D300Sでも、もちろんアクティブD-ライティングの強度によってシャドーの出方は変わってくるが、同時にハイライトの白トビ補正も行なうため、やや効果にばらつきがあるように感じた。今回の例では、弱めから標準にするとシャドーが持ち上がるのだが、さらに強めにすると今度はシャドーが落ちて、ハイライトが抑えめになっている。標準と強めでは露出も1/3段違うので、このあたりの結果だと思うが、シャドーとハイライトを同時に補正するというところに気難しさがあるように思う。

●D300S

※共通設定:2,848×4,288 / 1/200秒 / F8 / 0EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:オート / 35mm

アクティブD-ライティング:しない アクティブD-ライティング:弱め アクティブD-ライティング:標準
アクティブD-ライティング:強め アクティブD-ライティング:より強め アクティブD-ライティング:オート

 K-7はハイライト補正のオン、オフと、シャドー補正のオフ、弱、中、強を組み合わせて設定できるのだが、ハイライト補正をオン、オフどちらかに固定したまま、シャドー補正の強度を変えていくと確かにシャドーの出方が分かってくるし、逆に、シャドー補正の強度を固定したまま、ハイライト補正のオン、オフを変更するとハイライトの再現性が変わってくる。見妙な違いではあるが、ハイライトとシャドーの両方を調整でき、その結果が的確に現れているという意味では、非常に優れていると感じる。

●K-7

※共通設定:3,104×4,672 / 1/250秒 / F8 / 0EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:オート / 33mm

ハイライト補正:しない、シャドー補正:しない ハイライト補正:する、シャドー補正:しない ハイライト補正:する、シャドー補正:弱
ハイライト補正:する、シャドー補正:中 ハイライト補正:する、シャドー補正:強 ハイライト補正:しない、シャドー補正:弱
ハイライト補正:しない、シャドー補正:中 ハイライト補正:しない、シャドー補正:強

 ただ、正直なところ、どのカメラも細かな設定を使い分けるというのは至難の業という気がする。それはカメラの液晶モニターで最適な結果を見分けることが困難だと感じるからだ。ハイライトとシャドーがどこまで残ってくれるかを調整できるというのはとても便利な機能なのだが、使いこなしは難しいという結論だろうか。

 また、これらの機能を利用しても、根本的にダイナミックレンジが拡張するわけではないので、本当のディープシャドーが持ち上がってくれることは少なく、中途半端なシャドー部が持ち上がってきたりする。そうすると、ただなんとなく眠たいだけの絵になってしまうことがあるので、注意が必要だ。また、どのカメラも、シャドーを持ち上げる際、ノイズも一緒に持ち上がってきてしまう傾向がある。取扱説明書にも書かれていることだが、念のため記しておきたい。

ISO感度

 EOS 7Dの撮影感度はISO100〜6400。それに加え、ISOオートと拡張感度のISO12800が装備される。D300SはISO200〜3200。拡張感度としてISO100相当とISO6400相当が搭載される。K-7はISO100〜3200で、カスタム設定を行なうことでISO6400が使用可能となる。

 感度関連の設定でいえば、高感度ノイズリダクション機能が搭載されるが、今回はどの程度ノイズリダクションが働いているのかを見るためにも、高感度ノイズリダクションの標準設定と、ノイズリダクションオフの2種類の設定で撮影を行なってみた。

 まず、曇天の橋を撮った写真で、ノイズリダクションを標準(中)に設定した場合の各カメラ、各感度を見比べてみると、ダントツにノイズが少ないのはD300Sだ。これはISO200からでも違いがわかるし、ISO800以上になるとどんどん顕著になってくる。

 EOS 7DではISO6400も一応常用感度となってはいるが、拡張感度となるD300SのISO6400のほうがノイズは少ない。確かに、D300Sのほうがノイズリダクションの効きが強く、細い線などは見えにくくなっているが、それでもノイズ量と解像のバランスを考えれば、D300Sのほうが高画質と感じる。K-7は残念ながら、ISO400までは健闘しているといえるが、それ以上の感度になるとほかの2モデルのノイズ量とは別次元にいってしまう。

 高感度のノイズは、使用目的と被写体や撮影者の許容度によって評価は変わってくるが、仮にD300SでISO1600までが許容範囲だとしたら、EOS 7DではISO800まで、K-7ではISO400までがOKというところだろうか。

 ノイズリダクションのオン、オフに関してだが、EOS 7DではISO800からノイズを減らし出してはいるが、思いのほかカラーノイズが多いと感じる。おそらく解像との兼ね合いで、ノイズリダクションの効き具合を決めているのだろうが、ISO1600でもかなりノイジーであると感じる。

●EOS 7D

※共通設定:5,184×3,456 / F8 / 0EV / 絞り優先AE / WB:オート / 50mm

・高感度ノイズ低減:しない

ISO100 ISO200 ISO400
ISO800 ISO1600 ISO3200
ISO6400 ISO12800

・高感度ノイズ低減:標準

ISO100 ISO200 ISO400
ISO800 ISO1600 ISO3200
ISO6400 ISO12800

 一方、D300Sの高感度ノイズリダクションはISO3200までは実にうまくノイズを抑えている。というよりも、ノイズリダクションをオフにした画像をみても、ずいぶんとノイズが少ないものだと驚かされる。拡張感度となるISO6400でもノイズリダクションによってずいぶんとノイズ量は減っているが、さすがに細部の再現性には無理が感じられる。

●D300S

※共通設定:4,288×2,848 / F8 / 0EV / 絞り優先AE / WB:オート / 50mm

・高感度ノイズ低減:しない

ISO100 ISO200 ISO400
ISO800 ISO1600 ISO3200
ISO6400

・高感度ノイズ低減:標準

ISO100 ISO200 ISO400
ISO800 ISO1600 ISO3200
ISO6400

 K-7はISO1600からノイズリダクションの効果が見られ、オンとオフの画像に明確な違いが見ある。ノイズリダクションによりカラーノイズを消しているところは、カラーノイズを残す処理を行なっているEOS 7Dと違うところ。

●K-7

※共通設定:4,672×3,104 / F8 / 0EV / 絞り優先AE / WB:オート / 53mm

・高感度NR:OFF

ISO100 ISO200 ISO400
ISO800 ISO1600 ISO3200
ISO6400

・高感度NR:中

ISO100 ISO200 ISO400
ISO800 ISO1600 ISO3200
ISO6400

 次に、夜景を撮った画像だが、こちらを見ると、EOS 7DとD300Sとでは良い勝負という印象を受ける。夜空というノイズが目立ちやすいシーンだが、EOS 7DのISO800以上ではカラーノイズが目立ってくるが、ノイズひとつひとつの大きさは小さい。これに対し、D300Sは、カラーノイズこそ抑えているものの、ノイズブロックが大きく、階調が飛んでしまっているように見える箇所が目立ってくる。ここでも、K-7は残念ながら、他の2モデルと比べてしまうと、かなりノイジーな結果となってしまった。

●EOS 7D

※共通設定:5,184×3,456 / F8 / 0EV / 絞り優先AE / WB:オート / 35mm

・ノイズ低減:標準(長秒ノイズ低減有り)

ISO100 ISO200 ISO400
ISO800 ISO1600 ISO3200
ISO6400 ISO12800

●D300S

※共通設定:4,288×2,848 / F8 / 0EV / 絞り優先AE / WB:オート / 35mm

・高感度ノイズ低減:標準(長秒ノイズ低減有り)

ISO100 ISO200 ISO400
ISO800 ISO1600 ISO3200
ISO6400

●K-7

※共通設定:4,672×3,104 / F8 / 0EV / 絞り優先AE / WB:オート / 36mm

・ノイズ低減:標準(長秒ノイズ低減有り)

ISO100 ISO200 ISO400
ISO800 ISO1600 ISO3200
ISO6400

連写

 このクラスのカメラは、連続撮影速度と枚数に優れているのも特徴。EOS 7Dは約8コマ/秒で最大126枚(JPEG、ラージ/ファイン)の連写が可能。

 D300Sもマルチパワーバッテリーパック「MB-D10」を使用すれば約8コマ/秒の連写となるが、カメラ本体のみでは約7コマ/秒で最大44コマ(JPEG、L/FINE)となる。ちなみに、カタログに記載されている連続撮影可能枚数100コマはJPEG、L/NORMAL時のものだ。

 K-7は約5.2コマ/秒で最大約40コマ(JPEG、L/S.ファイン)の連写が可能だ。

 各カメラのドライブモードを連写モードにし、AFモードをコンティニュアスAFに設定し、向かってくる電車を連写してみた。シャッター速度優先AEで1/250秒にセットし、K-7のテレ端となる70mmに各カメラをセットし撮影している。

 一点だけ先にお断りしておくが、カメラを取っ替え引っ替えしながら撮影を行なった結果、電車の種別(各停や快速など)を統一できていなかったことに後から気がついた。肉眼では同じような速度に見えていたが、厳密には速度が違った可能性もある。このため、同じ区間での撮影でも電車の速度の違いによって、撮影枚数などにばらつきがでてしまっている可能性があることを念頭においていただきたい。

 さて、撮影を行なった結果としてはやはり8コマ/秒の連写が可能なEOS 7Dがもっとも快適な撮影ができた。シャッターを切っているときの音やミラーのアップダウンが明らかに早く、撮っていて気持ちいい。連写速度的にはD300Sも7コマ/秒なので、電車などを連続撮影する分には、それほど撮影枚数に違いはでなかった。ただ、全体的な動作の軽快感からかEOS 7Dのほうがずいぶんと早いように感じる。EOS 7DもD300SもどちらもコンティニュアスAFの食い付きは良く、向かってくる電車ならほぼ直近までピントを追い続けてくれる。

 これに対し、K-7はなぜか不本意な連写となった。AF-Cモードで連写を行うと、1枚目の撮影がスタートしたあとも、AFによるピント合わせが完了するまではシャッターが落ちないようで、結果的に2コマ/秒くらいの速度でしか撮影されなかったのである。メモリーカードを変えてみたりしたが、結果は同じ。ところが、AF-Sにすると、5.2コマ/秒の連写が可能なのである。取扱説明書を読んでみたが、AF-Cでピント優先ではなく速度優先にする方法が書かれていなかったので、これが仕様なのかもしれない。

●EOS 7D

※共通設定:3,456×5,184 / 1/250秒 / F8 / 0EV / ISO400 / シャッター優先AE / WB:オート / 70mm

●D300S

※共通設定:2,848×4,288 / 1/250秒 / F8 / 0EV / ISO400 / シャッター先AE / WB:オート / 70mm

●K-7

※共通設定:3,104×4,672 / 1/250秒 / F8 / 0EV / ISO400 / シャッター優先AE / WB:オート / 70mm

まとめ

 これまでEOS 7D、D300S、K-7の機能編、画質編をまとめてきたが、それぞれ一長一短はあるというのが正直なところ。

 まず、EOS 7Dについてだが、ファインダーは従来の同社のハイアマチュアモデルと比べて格段に見やすくなったのが嬉しいところ。機械としての質感もずいぶん向上しており、シャッターフィーリングも良好。また、液晶モニターの見やすさも手伝ってライブビュー時のMFも快適だし、フルHDの動画も撮れる。ただし、撮影感度がISO6400(拡張でISO12800)となっているわりには、高感度のノイズが思いのほか多いのが残念だと感じた。

 D300Sは、なんといっても操作性の良さと癖のない画質がいい。発色は好きずきもあるだろうが、デジタル一眼レフカメラの中上級機としてはこれくらい落ち着きのある絵の方がよいのではと感じる。高感度の画質もノイズが少なく、解像度にも不満はない。旧モデルとなるD300からそれほど大幅な変更があったわけではないという意味では、よく言えば完成度が高い、悪く言うと目新しい魅力がないというところだろうか。

 K-7は、何よりも小型軽量が魅力だ。約100%視野率のファインダーを搭載するモデルとしては驚くほど小さくて軽い。毎日持って歩くなら、最低でもこれくらいの軽さであってほしいものだ。また、ボタン類などの操作性に関してもよく考えられている。慣れてしまえば使いやすいカメラといえるだろう。残念なのは少し癖の強い発色。この発色が好きと思える人にはいいが、無難とは言い難い発色だし、コントラストも少し強すぎる印象だ。

 それぞれに魅力と不満を覚えた今回のテスト撮影だったが、どれも使い込んで癖を覚えれば、メインの一台として使えるだけの性能、機能を持ったカメラであることは間違いない。少なくとも、エントリー一眼レフカメラとは一線を画す操作感、高級感、機能を有するモデルたちであるといえよう。

【2009年12月30日】K-7のAF-Cでの連写について、「ピントが合うまでシャッターが切れず、2コマ/秒くらいの速度でしか撮影できない」との記述に対し、補足を行ないました。

【2009年12月27日】初出時、D300Sの連写サンプルの撮影データに「1/4,250秒」との表記がありましたが、正しくは1/250秒になります。






塙真一
(はなわ しんいち)東京都出身。人物をメインの被写体とするフリーランスのフォトグラファー。カメラ誌に写真や記事を寄稿するほか、週刊誌などのグラビア撮影などを行なう。また、海外での肖像写真、街風景スナップにも精を出す。デジタルカメラを使って撮影した写真での写真展も多数開催。日本写真家協会(JPS)会員。

2009/12/25 21:03


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