ネットワーク対応デジカメ「CEREVO CAM」を使ってみる

Reported by 本誌:鈴木誠

CEREVO CAM(ブラック)

 Cerevoが15日より出荷を開始した「CEREVO CAM」(セレボカム)は、無線LANアクセスポイントや3Gモデムを通じて撮影画像の自動アップロードを行なえるデジタルカメラ。価格は1万9,999円。

 販売は直販の「Cerevo Store」および楽天市場で行なう。Amazon.co.jpでも入荷次第販売を開始するとしている。カラーはホワイトに加え、Cerevo Storeでは限定1,000台のブラックも用意する。

 CEREVO CAMは、デジタルカメラ本体と専用の画像管理サービス「CEREVO LIFE」で構成されている。CEREVO LIFEでは、ブラウザベースでの画像レタッチや、写真共有サイトなどへの画像送信が行なえる。今回は一般販売前のCEREVO CAMをお借りし、実際に試用してみた。

 撮像素子は900万画素のCMOSセンサーを採用し、レンズは35mm判換算で42mm相当の固定焦点。フォーカスはパンフォーカスのみ。感度はISO100~1600。有効範囲4mのストロボを備える。

セットアップからアップロードまで

この二次元バーコードをCEREVO CAMで撮影すると設定完了

 まず撮影の前に、CEREVO LIFEのアカウント作成および無線LANアクセスポイントの登録を行なう。PCでアカウントを作成し、アクセスポイントのESSIDとネットワークキーを入力すると、それらを二次元バーコードに変換したものが表示される。

 CEREVO CAMは初回起動時に二次元バーコードの撮影を求めるため、PCに二次元バーコードが表示されたらCEREVO CAMの電源を入れればよい。バーコードの撮影後、アップロードテストのために「試し撮り」の指示が出る。そこで撮影した画像が正しくCEREVO LIFEへアップロードされると、基本設定は完了だ。

 では、いよいよCEREVO CAMを操作してみよう。CEREVO CAMはゲーム機のコントローラーのようなボタン配置をしており、撮影画面から「←」を押すと各種操作メニューの画面に入る。メニュー画面では、「↑」「↓」キーで選択項目を移動し、「→」で決定、「←」でキャンセルとなっている。

CEREVO CAMの撮影画面CEREVO CAMのメニュー画面

 撮影時は、露出補正、ホワイトバランス、ストロボのオンオフを設定可能。露出補正は本体右手側の「・」ボタンを押しながら左手側の上下キーで変更。1/2段ずつ±3EVまで補正できる。露出補正の設定はメニューなど別の画面に移動するとリセットされる。

 また、ホワイトバランスは同じく右手側の「‥」ボタンを押すことでオート、昼光、曇天、白熱灯、蛍光灯の順に切り替わり、この設定は電源を切っても保存される。操作に迷ったときは「→」ボタンで操作ガイドを確認できる。

撮影時の操作ガイド再生画面は拡大スクロールに対応

 ホワイトバランスとストロボの設定操作において、画面上のアイコン配置と対応するボタンの配置が逆になっているため、間違ったボタンを押してしまうことがよくあった。露出補正も、十字キーで直接操作できたほうが便利なように感じる。撮影時の「↑」「↓」キーには何もアサインされていないのだから、ここを利用しない手はないだろう。

アップロード先の「CEREVO LIFE」でできること

 こうして撮影した画像がネットワーク経由でCEREVO LIFEへアップロードされる。アップロードが完了した画像は、本体で閲覧するためのサムネイル画像を残して自動で削除される。これにより、いざという時の記録メディアの容量不足を回避できるという。

 アップロード先のCEREVO LIFEでは、画像の編集(レタッチ)と外部サービスへの送信が行なえる。レタッチは使いたい機能のボタンを選ぶだけのシンプルなものだが、ブラウザベースでiPhone 3GのWebブラウザからも利用できた。

CEREVO CAMのアップロード画面CEREVO LIFEの画面。撮影時間ごとに画像が並ぶ
iPhone 3GのWebブラウザでレタッチを行なっているところ

 機能は「切り取り」、「左回転」、「右回転」の編集機能に加え、エフェクトの「白黒」、「ブラー」、「エッジ」、「コントラスト」、「シャープネス」を用意。エフェクトの適用量は調節できない。レタッチにあたり、オリジナル画像のコピーに処理を施す「コピーして適用」と、適用後の画像のみが残る「上書きで適用」を選択できる。

 なお、CEREVO CAMで縦位置撮影した画像はCEREVO LIFE上で自動的に回転し、正しい向きで表示される。自動アップロードで撮ったままの画像を公開することも多いと思われるだけに、嬉しい点といえる。

 外部サービスへの送信は、各サービスのログイン情報などをCEREVO LIFE上で登録しておくことにより自動化できる。mixiフォトの場合、指定した名前でアルバムが自動作成され、そこに画像が貯まっていく。mixi日記では、CEREVO LIFE上のダイアログに入力したタイトルと本文で新しい日記が投稿される。

mixiフォトにアップロードしたところmixi日記はCEREVO LIFEから投稿できる

ファームウェアアップデートで動画記録に対応予定

 画像の保存形式はJPEGのみで、サイズをLARGE(3,488×2,616ピクセル)、MIDDLE(2,304×1,728ピクセル)、QUICK(640×480ピクセル)から選択可能。マイクとスピーカーを内蔵しており、ファームウェアアップデートで動画記録に対応する予定という。発表時にはRAWデータの記録も検討するとのことだった。対応メディアはmicroSDカード。microSDHCカードには非対応。

レンズとストロボ電源のオンオフに使用する「CEREVO」ボタン(左)、レリーズに使用する「…」ボタン(右)。ストラップホールも備える

 以下に実際にCEREVO CAMで撮影した画像を掲載する。すべてCEREVO LIFEからダウンロードした無加工のLARGEサイズ。レンズのせいか画素数ほどの精細感はなく、いわゆるトイデジカメクラスの画質といえる。

 ちなみに4枚目の画像は撮影時にカメラを回転し、意図的に歪めたもの。CEREVO CAMはメカシャッターを搭載しないため、シャッターボタンを押してすぐにカメラを動かすと画が歪んでしまう。これを逆手に取って「ぐにゃり写真」を狙うのも面白いかもしれない。

 CEREVO CAMの電源は、内蔵のリチウムイオンポリマー電池(交換不可)。CIPA準拠の連続撮影可能枚数は300枚。充電は付属のACアダプターもしくはUSBポートから行なえる。本体サイズは120×16×60mm(幅×奥行き×高さ)、重量は117g(内蔵充電池を含む)。

microSDメモリーカードスロット充電および3G通信機器との接続に使用するUSB端子

 通信方式はIEEE 802.11n ドラフト2.0およびIEEE 802.11b/g準拠の無線LANのほか、イー・モバイル端末のUSB接続にも対応。通常の撮影およびアップロードに加え、撮影とともにアップロードを開始する「ライブアップロード」を利用できる。その際、画像サイズは「QUICK」に限定され、ストロボを利用できないなどの制限が加わる。

 ※12月17日時点のイー・モバイル対応機種はD22HW、D12HW、D02HW、D01HWの4機種。Cerevoでは今後ファームウェアアップデートで対応機種の拡充を行なうとしている。

“無言”の電池切れに注意

CEREVO CAMのメニューから自動アップロードのタイミングを確認することができる

 接続環境にもよるが、LARGEサイズの画像アップロードを眺めていると、やはり時間がかかる。そこで、時間がかかるならカメラを使用していないときにアップロードしてしまおうというのが「自動アップロード機能」のようだ。

 自動アップロードのタイミングは、無線LANに接続できた時刻を学習し、アップロードが可能と思われる時間帯に自動的に行なうとしている。具体的なタイミングはメニュー内の「自動アップロード時刻予想」で確認できる。

 画像を送る外部サービスにもよるが、例えばmixiにアップロードした画像は長辺最大640ピクセル、容量100KB程度に圧縮されてしまう。割り切って使うのであれば、最初からMIDDLEやQUICKのサイズで撮影するのも手かもしれない。


設定メニューから「WiFi AP追加」を選んだところ。CEREVO CAM本体からはアクセスポイントを追加できない

 ちなみに、自動アップロードを行なう際、周囲に登録済みの無線LANアクセスポイントがない場合はリトライを繰り返す仕様になっている。そのため、翌朝にCEREVO CAMを立ち上げようとすると、電池残量に関するメール通知もないままCEREVO CAMが電池切れになっていたことがあった。このような場合や、飛行機など電波をオフにしなければならない場所で自動アップロードを行ないたくない場合は「microSDメモリーカードを抜いておく」が対処方法だそう。

 また、パスワードのかかっていない公開アクセスポイントが存在しても、CEREVO LIFEで事前に登録しなければ接続は行なえない。カメラのメニューから「WiFi AP追加」を選択しても、CEREVO LIFEのURLと操作手順が表示されるのみというつれないものだった。いずれは接続可能なアクセスポイントを自動で探してアップロードしてくれるようになるのだろうか。


ソフトウェア的な進化に期待

 細かい部分で至らなさは感じるが、とにかく撮ったまま放っておけばWeb上に画像が貯まっていくのは面白い。これまでは撮影者が選んだ写真を公開するのが一般的だったが、CEREVO CAMにおいては「ありったけの写真から閲覧者が自由に見る」というアプローチができる。これはネットワーク接続が前提となっているからこその楽しみであり、Eye-Fiが提唱する世界に近い。

 CEREVO CAMの機能とメニューの中身はシンプルにまとまっているため、少し触っていれば階層構造はすぐに理解できる。しかし、ボタン配置や操作感など、ユーザーの「慣れ」に多くを頼っているように感じる部分があるのも確かだ。

 とはいえ、現状で気がかりな点の多くがソフトウェアに起因する部分である。同社ではCEREVO CAMの仕様を一部公開し、ユーザーアプリケーションの登場を期待するという考えも発表時に明らかにしている。ファームウェアアップデートやCEREVO LIFEのバージョンアップなどで“進化”する可能性を秘めていることこそが「ネットワーク対応」の最大の強みだろう。

CEREVO CAM一式製品箱底面のシールには「Designed in Akihabara JPN」の文字




本誌:鈴木誠

2009/12/24 00:00