“プロはこう使う。キヤノン EOS 7D Mark II”より

旋回する航空機を撮る

まるで空撮したような写真に!

この連載は、インプレス刊デジタルカメラマガジン別冊ムック「プロはこう使う。キヤノン EOS 7D Mark II」から抜粋しています。3回にわたり、同書の柱である「航空機」、「野鳥」、「鉄道」の撮り方からシチュエーションを1つずつ紹介します。どうぞお楽しみに!

デジタルカメラマガジン別冊ムック「プロはこう使う。キヤノン EOS 7D Mark II」(インプレス刊。税別2,000円、電子版税別1,800円)
キヤノンEOS 7D Mark II
チャーリィ古庄氏。同書で航空機撮影のテーマを担当

成田国際空港へ向けて旋回するシーンを茨城県稲敷市より超望遠レンズで撮影。反対側の翼が見えて、車輪も収納されたままなので、まるで上空から空撮したような美しい絵が撮れる。

560mm(896mm 相当)/ EF200-400mm F4L IS USM エクステンダー1.4× / シャッター優先AE(F9、1/1,250秒、-0.3EV) / ISO200 / WB:オート

航空機の動きに注目して空撮に見える仕上がりに

  • 難易度:5(最高5)
  • レンズ:超望遠
  • 光:順光
  • 季節:1年中
  • シャッター速度:高速
  • 絞り:開ける

初心者には難易度が高いが、上級者が好む一風変わった撮影方法が旋回である。超望遠としっかりした大型三脚、フリーになっても安定感のある雲台と、少々高価な機材が必要になるが、飛んでいる姿を美しく撮ることができる。

ベストタイミングは気温が高くない日。暑い日は目に見えない大気の揺らぎが出てしまい、シャープな写真が撮れない場合が多い。夏場なら大気の揺らぎが少ない朝方の時間帯がオススメだ。

撮影位置は離陸や着陸のために旋回する場所という制約がある。そのため、近くて空港から数km、遠いと20km 先という場合もあり、場所の選択が難しい。さらに航空機がやって来るタイミングが分からないので無線機があったほうが良い。

機体が来たらゆっくりと追いかける。ただし、着陸機の場合、航空機は機首を下げたような姿勢になることがある。そのまま撮影すると落ちて行くイメージになってしまうため、旋回を狙うときは水平は無視して構わない。空が背景になるため、まったく問題がない。機体の角度が優美に見えるように自分で航空機の角度をコントロールしながら撮影すると良いだろう。

AFセッティング

AIサーボAFでも良いのだが、1枚1枚しっかりとシャッターを切りたかったので、ここではワンショットAFをチョイスした
ゆっくりと旋回するため、ドライブモードは低速連続撮影。超望遠で画角が狭いため、落ち着いてフレーミングしながらゾーンAFでピントを合わせる

NG Cut:同じ位置から撮影しても翼の見え方で失敗に。

メイン作例と同じ位置、同じ日、ほぼ同じ時間に撮影。その違いは右旋回か左旋回かだ。着陸コースの旋回指示は管制官次第なので、この機体は旋回する位置が悪く「ただの飛んでいる航空機」という写真になった。ある意味“他力本願”な撮影だが、それも含めて成功すれば、メインカットのような旋回に巡り合える。チャンスが少なくても、モノにしたときの喜びは格段に大きいのだ。

560mm(896mm相当)/ EF200-400mm F4L IS USM エクステンダー1.4× / シャッター優先AE(F7.1、1/1,250秒、-0.3EV) / ISO200 / WB:オート

旋回写真は狙える空港が決まっている?

旋回シーンはどこの空港でも撮影できるわけではない。一例として挙げると、成田の南風時に茨城県稲敷市、伊丹空港の離陸機を空港西側数km先から、または新千歳空港の北側で北風の離陸機を狙うなどの候補がある。しかし、航空機が来ないときは「ただの超望遠レンズを持った怪しい人」に見られる場合があるので住宅街などでは誤解されないように注意したい。

季節を問わず、ほぼ北西方向に離陸する伊丹空港は離陸後の旋回がもっとも狙いやすい空港だ

チャーリィ古庄