“プロはこう使う。キヤノン EOS 7D Mark II”より

野鳥が飛び立つ瞬間を撮る

ゾーンAF+高速連写を活用

この連載は、インプレス刊デジタルカメラマガジン別冊ムック「プロはこう使う。キヤノン EOS 7D Mark II」から抜粋しています。3回にわたり、同書の柱である「航空機」、「鉄道」、「野鳥」の撮り方からシチュエーションを1つずつ紹介します。

デジタルカメラマガジン別冊ムック「プロはこう使う。キヤノン EOS 7D Mark II」(インプレス刊。税別2,000円、電子版税別1,800円)
キヤノンEOS 7D Mark II
戸塚学氏。同書で野鳥撮影のテーマを担当

夕方、コハクチョウが飛び立つ瞬間を狙う。逆光のためオート露出だと背景によって露出が変わる。マニュアル露出で固定すると、翼と水しぶきが光輝く写真が撮れた。

700mm(1,120mm相当)/ EF500mm F4L IS II USM+EXTENDER EF1.4× III / マニュアル露出(F5.6、1/1,600 秒)/ ISO400 / WB:オート

ゾーンAFで大きめに網を張り水面から羽ばたく一瞬を連写

  • 難易度:1(最高5)
  • レンズ:超望遠
  • 光:斜光
  • 季節:1年中
  • シャッター速度:高速
  • 絞り:開ける

飛び立つ瞬間のシーンを撮りたいがために、ひと昔前は石をぶつけるような困った人が多かった、しかし、野鳥がどういうときに飛ぶのかが分かれば、この撮影はそれほど難しくはない。飛ぶときは風上に向かって飛び、水鳥の場合、ハクチョウなどの大型の鳥は、滑走路が必要になる。そのため、進行方向にスペースを作ることがポイントとなる。さらに、飛び立つ前には首を伸び縮みさせたり(猛禽類の場合はフンをする)などのサインが必ずあるので見逃さないようにしたい。

逆光や背景がごちゃごちゃしている場所では、レンズを大きく振るたびにオート露出だと明るさが変わって失敗する危険性が上がる。露出はマニュアルで決めてしまうと良いだろう。動きを止めたい場合は絞りを開放にして、できるだけ速いシャッター速度を確保したい。それでクリアできない場合は、躊躇なくISO感度を上げよう。高感度に強いEOS 7D Mark IIの実力が遺憾なく発揮される場面だ。また、ISO感度を上げて、1〜2段絞り込むのもありだろう。そのぶん、被写界深度を稼げるので超望遠レンズ利用時には有利となる。

AFセッティング

ゾーンAFはコハクチョウなどの大きな鳥の動きを逃さない。翼が一番手前に来ると、ピントをもっていかれることがあるので、しっかり顔付近に合わせよう
AIサーボAF+ゾーンAFで被写体を面でとらえて、カスタマイズしたCase 1でピントを外さないようにする。水しぶきと翼の動きを止めるために高速連写を選択

NG Cut:構図を作るときは余裕をもつことも大事

エサを狙っていたダイサギを撮影していたとき、突然飛び立った。反射的にシャッターボタンを押したが、残念ながら顔や翼がフレームからはみ出してしまった。エサをとるシーンを狙っていたので露出やシャッター速度は問題ないのだが、肝心の構図がダメ。飛び立つ瞬間のシーンは、必ず進行方向にスペースを空けることが重要になる。そうすることで安定感のある構図が得られる。

700mm(1,120mm相当)/ EF500mm F4L IS II USM+EXTENDER EF1.4× III / 絞り優先AE(F8、1/5,000 秒、-0.3EV)/ ISO800 / WB:オート

ブレ防止のためにビーンズバッグや枕を活用

野鳥は人の姿を見ると逃げてしまう。では、どうやって近付けばいいのか? 答えのひとつは人のシルエットが見えないようにすることだ。車が「動くブラインド」として使えるのだ。ただし、車内で三脚を使った場合、意外と揺れるので窓から撮影するときは、ビーンズバッグを利用しよう。持っていない場合はソバ殻の枕でも代用可能。これは野鳥撮影では常識的なスタイルなのである。

意外に思うかもしれないが、窓枠に載せたソバ殻の枕や小豆で作ったビーンズバックだと安定感がある