写真家4人の「ニコン COOLPIX P900」インプレッション

超望遠2,000mmで “巨大な月+ランドマーク” が実現!

都市風景:山下裕之さん「クレーターまでしっかり写って感動ものでした」

世界最高、光学83倍ズームレンズを搭載する「COOLPIX P900」。35mm判換算で何と2,000mm相当の望遠撮影ができるとあって、発売時から大きな話題を呼んでいます。

2,000mm相当という、一眼レフカメラではほとんど実現不可能な望遠世界。その撮影に挑戦するべく、4名の写真家が名乗りをあげてくれました。

「都市風景」「自然風景」「ポートレート」「スナップ」……ジャンルも違うさまざまな被写体を、COOLPIX P900はどう切り取ったのでしょうか。

今回は「夜景」の山下裕之さんの作品を見せてもらいながら、その使用感を聞いてみましょう。(編集部)。

作品写真:山下裕之 状況写真:編集部 人物写真:加藤丈博

COOLPIX P900 / 1/20秒 / F6.5 / ISO 100 / 357mm(2,000mm相当)
COOLPIX P900 / 1.3秒 / F8 / ISO 100 / 71.4mm(400mm相当)

最初にこのカメラを見たとき、どんな印象を受けましたか?

最初の印象は、でっかいレンズだなー!と思いました。外観はシンプルでスタイリッシュ、見た目は一眼レフカメラのようで存在感もあり、持ちやすそうなグリップとマットな仕上がりの黒いボディは、男子的にカッコ良く感じました。

いままで、600mmを超えるような超望遠撮影をしたいと思ったことはありますか?

600mmを超える撮影をしたいと、特に月を撮りたいと以前から考えていました。月と言っても月面のクレーターがはっきりと分かるような写真です。満月もキレイですが、三日月のように月が欠けている過程も撮影したいと思っていました。

山下裕之(やましたひろゆき):1970年熊本県生まれ。1996年、オーストラリア大陸をオフロードバイクで横断。帰国後、写真家の相原正明氏に師事、アシスタントを経てフリーとなる。現在は主に深夜の都市風景を作品として撮影している。

COOLPIX P900でその願いはかないましたか?

初めて月にレンズを向けた時は、「こんな簡単に撮影ができるなんて!」と正直驚きました!特に2,000mmで使用した時は、月面クレーターの表情が、はっきりと写っていて、感動ものでした。

COOLPIX P900 / 5秒 / F5.6 / ISO 100 / 143mm(800mm相当)
同じ場所で広角端に。こんなに離れ場所から撮っています。

ニコン一眼レフカメラに比べて操作性はどうでしょう。

一眼レフカメラを使ったことがある人にとって、操作性はとてもシンプルで簡単です。初心者の人でも、ある程度は直感的に操作ができると思います。またシャッタースピードや露出のマニュアル設定があるのは、細かい露出設定が出来てとても嬉しいですね。

5段分の手ブレ補正が搭載されています。効果はいかがでしたでしょうか。

広角撮影時は、手ブレ補正の効果はあまり実感できませんが、200mmを超えた頃からその威力を感じます。手持ち1,000mm以上の撮影で、その効果はバツグンに出てきます。日が当たる日中での撮影なら、2,000mmの手持ちでも十分に対応できる、手ブレ補正の効果でした。

液晶モニターがバリアングル式です。使い勝手はいかがでしたか?

これが非常に便利でした。特に三脚使用時には、自分に見やすい角度にモニターを、自由に変えて撮影していました。またモニターが被写体側からも確認できるので、自分撮りでも便利ですね。、

EVFは使われましたか? 撮影時における液晶モニターとの役割分担は?

EVFもよく使用しました。じっくり風景や動画などを撮影する時は、液晶モニターを多く使用しますが、EVFを使用する時は、動きの早いスポーツやペットなどの動物を撮影する時には、カメラと体が一体になる感じでいいですね。特に望遠で寄って撮る時は、非常に被写体を追いやすくて便利でした。

クイックバックズームボタンやサイドズームレバーは便利でしたか?

クイックバックズームボタンは、動きの速い被写体をファインダーから見失った時や、超望遠で撮影したい被写体を探す時に、素早く引きの画角にして確認できるのは、とても便利でした。

サイドズームレバーは、グリップ側にあるズームレバーを細かい間隔でズームメモリー設定している場合に、サイドズームレバーで大まかなところまでズームができるため、ストレス無くズーム操作ができました。

左のボタンがクイックバックズームボタン。右がサイドズームレバー。

シャッターボタン脇のFnボタンは使われましたか? 何を割り当てましたか?

Fnボタンはよく使いましたね。被写体の色を微妙に調節したい時は、ホワイトバランスにを設定したり、明るさが頻繁に変わる場所ではISO感度を設定したりと。とてもありがたい機能でした。

動画記録もできます。超望遠での動画記録に魅力を感じますか? どのような作品・使い方が考えられますか?

動画撮影も行いましたが、超望遠での動画撮影はとても楽しかったです。公園の池で羽を休める鴨や、芝生の上で日向ぼっこしている野鳥などを撮影したのですが、2,000mm近くで撮影すると、鳥に気づかれること無く、毛づくろいや食事のシーンを細かく観察ができ、教育的な資料教材として十分に活用できると思います。

Wi-Fi・NFCが搭載されています。どのようなシーンで活用されましたか?

撮影している時は、スマートフォンや10インチのタブレットで、Wi-Fi・NFCを活用させて頂きました。カメラの液晶モニターでは確認しづらいものを、大画面のタブレットでピントの確認や、三脚使用時にブレ防止に、リモコンシャッター代わりに使えるのは。とても便利でした。SNS、メールなどで近況や状況の写真をすぐにアップしたい人にもオススメですね。

GPSによる位置情報記録に魅力を感じましたか?

デジタルになって、ついつい沢山写真を撮ってしまうことがありますが、「あれっこの写真どこだっけ?」などということがよくあります。その時にView NXなどのソフトを使うことによって、正確な位置やルートを確認できるのは、撮影後の写真編集にとても便利ですね。

一眼レフカメラのサブ機として使ってみたいですか? どのようなユーザーにおすすめできますか?

このカメラのユーザーは幅広いと思いますが、私的には旅行などに持っていくには最適なカメラだと思います。

広角から超望遠まで1台のカメラでカバーでき、ボディが軽量なので長期の旅行や、持ち運びが多い人には、非常にありがたいと思います。

また友達や家族での使用時にも楽しい機能として、バリアングルモニターを使って、一緒にいる友達との記念写真や、素敵な背景をバックしたセルフィー撮影が、簡単にできるところは嬉しいですね。

動物園やピクニックなどで超望遠を活かし、動物たちを観察してみるのも面白いですね。バードウォッチングや、動物の表情や手元などの細かい仕草を、観察撮影してみてはいかがでしょうか。

今後COOLPIX P900で撮影したい被写体や撮影ジャンルがあれば教えて下さい。

このカメラには、沢山の遊べる機能がついていますが、多彩なエフェクトを使用した写真も撮ってみたいですし、わざと画像を荒くしたモノクロ撮影にも向いている様な気がします。

そして撮影したい被写体は動物ですね。2,000mmというこの超望遠が使えるカメラで、動物園の動物や、自然環境の中での野鳥。または普通に街の中で生活している野良猫や野鳥などを、静止画だけではなく動画で撮影してみたいですね。身近な生きものでも、意外と表情や仕草をじっくり目にすることはないですからね。

そういったことでこの超望遠が使えるカメラは、子どもにも大人にも好奇心が高まる、興味深い多彩なカメラだと思いました。

COOLPIX P900 / 0.5秒 / F8 / ISO 100 / 89.2mm(500mm相当)

デジタルカメラマガジン最新号にもCOOLPIX P900が登場!

「デジタルカメラマガジン2016年4月号」では、山下裕之さんをはじめ、COOLPIX P900に挑戦した写真家4名による作品とテクニックが紹介されています。前人未到の2,000mm相当による撮影をぜひご覧ください!

デジタルカメラマガジン
2016年4月号

デジカメWatch編集部