新製品レビュー

FUJIFILM X-Pro2(外観・機能編)

待望のモデルチェンジ。カメラ好きに嬉しい多数のギミック

富士フイルムからXシリーズが登場して早5年。その間の同シリーズの発展は目覚ましく、特に色乗りがよく鮮鋭度の高い絵づくりから愛用するプロやアマチュアは少なくない。そのXシリーズのなかでもレンズ交換式の初号モデルであり、シリーズのトップエンドでもある「X-Pro1」がモデルチェンジを果たした。

新しい「FUJIFILM X-Pro2」の基本スタイルはX-Pro1から変更がないものの、各デバイスは徹底した見直しが図られている。今回は「外観・機能編」として、その概要を紹介していきたい。

なお、X-Pro2の発売は3月上旬、掲載時点での実勢価格はボディ単体が税込21万5,450円だ。

X-Pro1のイメージを継承した外観

まずは外観を見ていこう。ボディシェイプは基本的に先代X-Pro1から大きくは変わらない。大柄なボディは好き嫌いの分かれるところであるが、ホールディング性を考えると悪くないといえる。

特にカメラ正面にあるグリップの張り出しは先代より少し大きくなり、ホールド性が向上している。操作部材などの形状やレイアウトなどを細かく見ていくと、カメラ前面部のAF補助光ランプは円形から四角形になり、マイクの穴はカメラ上部に移動した。グリップ上部のフロントコマンドダイヤルは新しく加わったものである。これについては後ほど詳細を記す。

カメラ上部に関しては、操作部材のレイアウトに変更は無いが、カメラレンズの断面図を象ったメーカーロゴが無くなったのはちょっと寂しく感じられる部分だ。

X-Pro1ではトップカバーにレンズ断面を模したロゴが入っていたが、X-Pro2では省略されてしまった。個人的には寂しく感じる。

カメラ背面については大きく手が入る。まず液晶モニターがボディの左端に移動し、X-Pro1では液晶モニター左側に並んでいたドライブ/AE/AF(ゴミ箱と兼用)の各ボタンは廃止された。

ドライブモードボタンはセレクター(十字キー)の上ボタンと兼用で、ゴミ箱ボタンは独立してセレクターと液晶モニターの間に設置される。また、兼用であったAF-LとAE-Lボタンはそれぞれ独立したものとする。

注目は新たに搭載されたフォーカスレバーだ。いわゆる小型のジョイスティックで、その名のとおりAF測距点の選択用である。これの操作感についても後ほど記述したい。

キーデバイスを一新

肝心のキーデバイスについては、まずイメージセンサーが新開発の「X-Trans CMOS III」となった。APS-Cセンサーで、有効2,430万画素である。これまで同タイプのイメージセンサーは先代のX-Pro1や「X-T1」などに搭載された有効1,630万画素が最大画素数なので、飛躍的に増したことになる。この画素数であれば特段不足を感じるようなことはないはずだ。

撮像素子には新開発のAPS-Cサイズ・有効2,430万画素のX-Trans CMOS IIIセンサーを搭載する。独自のカラーフィルター配列で、光学ローパスフィルターレス構造としている。

カラーフィルターの配列に関しては従来通り。一般的なBayer配列に比べて配列パターンの繰り返し周期が長い独自配列で、光学ローパスフィルターレスながらモアレや偽色の発生が起きにくい点をアピールしている。感度は通常でISO200からISO12800、拡張でISO100相当のLからISO51200相当のH2まで選べる。

感度設定ダイヤルの「H」には、ISO25600相当のH1もしくはISO51200のH2のいずれかを割り当てる。

新開発といえば、画像処理エンジンも新しい。「X-Processor Pro」と名付けられた画像処理エンジンによりコマ速は最高8コマ/秒を実現。6コマ/秒である先代モデルにくらべ、画素数が増大しているにも関わらずこのコマ数を実現できた事は素晴らしい。ちなみに従来比で約4倍の処理速度を実現しているという。

さらに、この画像処理エンジンはAFおよび各種レスポンスの向上にも寄与。特にシャッタータイムラグは0.05秒を実現しており、「アドバンストハイブリッドマルチビューファインダー」を表示遅延のないOVFにすると、シャッターチャンスを見逃すようなことはもはや皆無といってよいほどである。

画像のアスペクト比はデフォルトの3:2のほか、16:9と1:1が選択可能。それぞれL/M/Sサイズから選択できる。
RAWフォーマットは非圧縮とロスレス圧縮から選択が可能。いずれも14bit。

機能も操作性も進化したAF

AF測距点は通常で77点、最大273点が選択可能。そのうちの画面中央部49点を像面位相差エリアとし(通常時)、先のX-Processor Proの持つ高い処理能力により、フラッグシップモデルに相応しい高速AFを実現する。

フォーカス点数は77点と273点から選択が可能。デフォルトでは77点だが、実際の使用では不足を感じるようなことはなかった。

実際、AFスピードはストレスのないもので、選択したAF測距点と重なる被写体に瞬時にピントを合わせる。さらにコンティニュアスAF時、8コマ/秒のAF追従連写が可能だ。一眼レフ並みとはいかないものの、穏やかな動きの被写体であればしっかりと捕捉し続けてくれる。

シャッター速度の最高速は、新ユニットの採用で1/4,000秒から1/8,000秒へとアップ。同社のXFレンズには魅力的な大口径レンズがいくつかライナップされているので、ベース感度ISO200の本機では、そのようなレンズで少しでも絞りを開いて撮影したいときなど重宝しそうだ。

シャッターはメカシャッター(4秒〜1/8,000秒)のほか、電子シャッター(1秒〜1/32,000秒)およびメカ+電子シャッター(4秒〜1/32,000秒)が選択できる。

幕速の高速化によりシンクロ速度も1/160秒から1/250秒にアップし、シャッターの耐久性能も15万回を達成する。さらにシャッターレリーズ時に発生する振動と音に関しても、制御シーケンスの見直しや使用部材の最適化などにより、同様にフラッグシップの名に恥じないものとした。シャッターのキレのよさはさらに増している。

細かくても見逃せない進化点たち

そのほか、これまで底面のバッテリーボックスにあったメモリーカードのスロットは、ボディ右側面に独立して配置されるとともに、ダブルスロット化(共にSDXC/SDHC/SDカード用)された。いずれもユーザーニーズに応えたもので、特にダブルスロット化はありがたく感じられる。

メモリーカードスロットはボディ側面のダブルスロットになった(共にSDXC/SDHC/SDカード)。富士フイルムの本気度を感じさせる部分だ。

液晶モニターは従来と同じ3型ながら、123万ドットからより高精細な162万ドットに。MFで緻密なピント合わせを行うときなど、使い勝手はさらに向上している。

忘れてならないのが、「アドバンストハイブリッドマルチビューファインダー」における従来モデルからの進化点だ。X-Pro1では非搭載としていた視度調整機能を内蔵。近視および遠視のユーザーは以前のように視度調整レンズを別途用意しなくて済むので、随分と楽になるはず。何より視力は体調や時間帯などによっても変化することがあるので、正常な視度のひとでもファインダーの視認性は向上するはずだ。アイポイントは14mmから16mmとなり、メガネをかけたときにもより見やすくなっている。

視度補正機構を備える。X-Pro1にはなく、コシナ製の視度補正レンズを必要としていた。ある意味、大きく進化したところ。

OVF時に画面右下に小型のEVFを表示する「エレクトロニックレンジファインダー」もX-Pro1になかった機能である。これまでOVFではピントが本当に合っているかどうか、撮影後のポストビューを見るまで分からなかっただけにうれしい機能だ。

OVF選択時、画面右下に小型のEVFを表示させると、同時にファインダーの隅に液晶表示用の遮光板が現れる。細かなギミックが見ていて楽しいカメラでもある。

右下にEVFが出てくると、画面が遮られてしまうのでは?という心配もあるかもしれないが、元々レンズの鏡筒で影になりやすい部分なので、心配する必要は無い。AF測距点の位置に合わせて小型EVFの表示エリアも変わるのはありがたく思える部分である。

なお、MFの際に使える「デジタルスプリットイメージ」もこの小型EVFに表示されるが、従来のモノクロ画像からカラー画像に変更されており、視認性は向上している。

EVFに関しては236万ドットの液晶パネルを新たに採用。144万ドットであった先代モデルにくらべ、より緻密にライブビュー画像を再現する。加えて表示速度を最大85fpsとし、動体等の残像現象を大きく低減させているのも特徴。レリーズ後のブラックアウトタイムも150msへと大幅に短縮されるなど、格段に使い勝手は向上している。

ファンクションボタンは全部で6つ。好みの機能を割り当ておけば、より撮影が快適に楽しめるはずだ。

覚えておきたい独特の操作

操作感については、前述したように新たに備わったフロントコマンドダイヤルとフォーカスレバーに注目したい。フロントコマンドダイヤルは露出補正ダイヤルを「C」にセットした際、このダイヤルで露出補正が行える。コマンドダイヤルのほうが補正しやく感じているひとにとって朗報といえるものだ。ちなみに露出補正の範囲は、露出補正ダイヤルの場合は±3EVまでで、コマンドダイヤルでは±5EVまで。

新たに設置されたフロントコマンドダイヤル。基本的にはアナログ操作がメインの本モデルだが、露出補正ダイヤルをCポジションに合わせると、このダイヤルで±5EVの露出補正が調整できる。
露出補正ダイヤルをCポジションに合わせたところ。フロントコマンドダイヤルでの露出補正が可能となる。露出補正ダイヤル単体での補正範囲も、X-Pro1の±2EVから±3EVに拡大している。

フォーカスレバーはカメラを構えた際、右手親指で操作しやすい位置にあり、AF測距点の選択を行う。ニコンのデジタル一眼レフなどはマルチセレクターで同様にAF測距点を選べるが、操作感はどこかもっさりとした印象であるのに対し、本モデルの場合はレスポンスが極めてよく直感的。特にスナップのような撮影では、素早く被写体と重なるAF測距点を選ぶことができる。しかも中央に真っすぐ押しこむと、AF測距点が画面中央部に戻るのも便利な部分。積極的に活用したい機能といえる。

新たに設けられたフォーカスレバー。いわゆるジョイスティックで、AF測距点を直感的に選択することができる。

アドバンストハイブリッドマルチビューファインダーの使い勝手も従来以上だ。カメラ前面のファインダー切り換えレバーの操作で、瞬時にOVF(光学ビューファインダー)とEVF(電子ビューファインダー)が切り換わる。OVF時に画面右下に小型のEVFを表示させるのもこのレバーの中央にあるボタンを押して行うが、同様にストレス無く切り換わる。

さらにレバーを引いたまましばらくすると、OVFの倍率が0.6倍と0.36倍に切り換わるほか、中央のボタンを押すと、装着しているレンズ以外のフレームも表示する。いずれもファインダーから目を離すことなく操作が可能だが、このレバーを使いこなすことがX-Pro2を使いこなすための要のひとつといってよい。

アドバンストハイブリッドマルチビューファインダー内の様子。こちらはEVF
OVF(光学ビューファインダー)
OVF右下に小さくEVF表示。ファインダーの使いこなしがこのカメラの撮影の肝といえる。

懐かしのISO感度ダイヤルと、モノクロの「ACROS」モード

ダイヤル操作でユニークに思えるのが、ISO感度の設定方法。シャッターダイヤルの外周を上方向に引き上げ、ダイヤルの小窓に表示される感度を見ながら行うのだが、この行為は往年の写真愛好家にとっては涙ものだろう。なぜならMF時代のフィルム一眼レフなどによく採用されていた方法だからだ。高ISO感度になると数字が読みづらくなるのはご愛嬌だが、嬉しいギミックとして素直に歓迎したい。

シャッターの最高速は1/8,000秒に。ISO感度の設定は往年のフィルムカメラのようにシャッターダイヤルの外周を引っ張り上げて設定する(写真はISOオートを選択した状態)。ストロボ同調速度は最高1/250秒。

そのほかとしてはフィルムシミュレーションに新たに「ACROS」が加わった。より滑らかな階調と適度に引き締まった黒が特徴のモノクロモードだ。さらにフィルムの持つ独特の粒状感を再現する「グレイン・エフェクト」も搭載。これらを組み合わせれば、まんま銀塩モノクロ写真の雰囲気である。グレインの強さは強/弱から選べるのもうれしい。次回の実写編ではACROSモードとグレイン・エフェクトを使用した作例を掲載するつもりだが、デジタルカメラでもフィルムライクな表現を楽しんでいるユーザーには、ぜひ活用してみてほしい両機能である。

フィルムシミュレーションに新たに搭載された「ACROS」。同名のモノクロフィルムをイメージした仕上がりが得られる。
銀塩フィルムの持つ独特の粒状感を再現する「グレイン・エフェクト」も新しい機能。効果の強さは強/弱/切から選べる。
ACROS作例(試作機で撮影のため、拡大しません)

グッとまとまりのよくなった1台

カメラ好きの琴線に触れる部分が多く、さらに手堅くまとまったカメラである。X-Pro1ではチグハグな部分の多かった操作感についても、ほとんど解消されたいへん使いやすく感じる。

細かなところまで神経を使ってきたなと思わせるのが、カメラ底部の三脚ネジ穴。先代モデルでは適当に開けたとしか思えないような場所にあったが、本モデルではしっかりと光軸上に配置する。一見どうでもよいと思われることかも知れないが、光軸上にあることで三脚にセットした際のアングル微調整が違和感なく行え、何より設計者のカメラに対する造詣の深さや愛着の度合いを伺い知ることができる。

レンズ光軸上に設置された三脚ネジ穴。個人的にはこのようなことにこそこだわりを持ってほしく思える。

もちろんXシリーズ特有の定評ある絵づくりはしっかり継承しており、大いに作品づくりに活躍しそうである。20万円を越す価格帯のモデルだが、ミラーレスカメラとして最強で最高に面白いカメラに仕上がったように思える。

バッテリーは先代と同じNP-W126を使用。フル充電からの撮影可能枚数は、EVF使用時で約250枚、OVF使用時で約350枚(いずれもCIPA準拠)。
バッテリーチャージャーが付属する。ACコンセントとの接続はケーブルを用いる。
インターフェースは上からマイクロHDMI端子、マイクロUSB端子、マイク/リモートレリーズ端子。
Wi-Fi機能も搭載する。専用アプリ「FUJIFILM Camera Remote」をインストールしたスマートデバイスと連携し、リモート撮影や画像の転送などが可能。

大浦タケシ

(おおうら・たけし)1965年宮崎県生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業後、二輪雑誌編集部、デザイン企画会社を経てフリーに。コマーシャル撮影の現場でデジタルカメラに接した経験を活かし主に写真雑誌等の記事を執筆する。プライベートでは写真を見ることも好きでギャラリー巡りは大切な日課となっている。カメラグランプリ選考委員。