新製品レビュー

PENTAX K-3 II(外観・機能編)

手ブレ補正とAFが進化 新機能も豊富なフラッグシップ

PENTAX K-3 II 16-85WRレンズキット

リコーイメージングの一眼レフカメラ「PENTAX K」シリーズの最新作として「PENTAX K-3 II」が登場した。2013年に発売された「PENTAX K-3」の後継であり、基本デザインを受け継ぎながら撮影機能の強化を図っている。

進化のポイントは、手ブレ補正とAFの性能を高めたこと。新機能としては、センサーシフトによって高精細な画像を生成するリアル・レゾリューション・システムを搭載。新たにGPSや電子コンパスも内蔵する。

発売は5月22日。価格はオープン。掲載時点の実勢価格は、ボディキットが税込13万円前後、18-135WRレンズキットが税込19万円前後、16-85WRレンズキットが税込21万円前後となっている。今回のレビューでは、その外観と機能をお伝えしよう。

内蔵ストロボを省いてGPSユニットを搭載

ボディは、ペンタプリズム部が突き出たオーソドックスな一眼レフスタイルとなる。前モデルK-3との外見上の違いは少ない。目立った変更といえるのは、天面にあったポップアップ式のストロボが省かれ、代わりにGPSユニットを内蔵し、それにともなって天面の形状がわずかに変化したこと。

オールドレンズも含めた多彩なKマウントレンズを、手ブレ補正対応で利用できることはこれまでどおりの魅力だ
背面ボタンのレイアウトは前モデルを踏襲。前モデルでは液晶の下部にあったRICOHのロゴはなくなった

またストロボのポップアップボタンはGPSボタンに変更され、上部の側面にはGPSランプが追加された。ボタンを押してGPSをオンにするとランプが点灯し、もういちど押すとオフになる。

ボディサイズは、幅と奥行きは変わらず、高さは天面の膨らみによって2.5mm増した。それでも中級以上の一眼レフとしては比較的小さなボディだ。重量は15g軽量化し、本体のみで約700g。手に取ると、パーツがぎっしりと詰め込まれたような凝縮感が伝わってくる。

ホットシューの前面がやや盛り上がっているので、市販の外部フラッシュやアクセサリーによっては装着できない場合がある
底面には、オプションのバッテリーグリップ用の接点などを装備。リコーイメージングの社名は小さく記されている

外装は主にマグネシウム合金製。これまでと同じく防塵・防滴構造であり、-10度の耐寒性能も備える。アウトドア派にはありがたいポイントだ。深くて滑らかな凹凸があり、ラバーによってしっくりと手になじむグリップ部の感触も心地いい。

右側面にSDカードスロットがあり、その下のカバー内にはケーブルスイッチ端子がある
左側面には、シンクロソケットのほか、割り当てのカスタマイズが可能なRAW/Fxボタンなどを備える
コマンダーとしても使える内蔵ストロボが省かれたことは、個人的には少々残念。フラッシュよりもGPS重視の人にはありがたいだろう

コンティニュアスAFでの追従性が向上

モデルチェンジのポイントのひとつは、AF性能が進化したこと。中央25点のクロスタイプを含むワイド27点測距のAFセンサー「SAFOX 11」自体は同じだが、AFアルゴリズムの改善などによって、コンティニュアスAF時の追従性を高めたという。また一部のレンズでは、シングルAFでの合焦時間も短縮されている。

これまでと同じく、側面にAFモードボタンとフォーカスモードレバーを装備。AF測距点は、背面の測距点移動ボタンを押してから、十字キーで選択する

試用では主にレンズキット付属の標準ズームを使ったが、同社製一眼レフでは最速級の動体追従性を実感できた。明るい屋外では、迷うことなくてきぱきと合焦する。動体に強いとまではいえないが、スナップやポートレート撮影でAFにストレスを感じることは少ない。

ファインダーには、前モデルと同じく倍率0.95倍/視野率100%のペンタプリズムを装備する。十分な広さがあり、見やすさは良好だ。液晶モニターについても、引き続き3.2型で約103.7万ドットのTFTを搭載する。こちらも視認性は悪くない。液晶の明るさや彩度、色を細かく調整できる点もありがたい。

キットレンズのひとつ「HD PENTAX-DA 16-85mm F3.5-5.6ED DC WR」を装着した状態。電源を入れると約0.3秒で素早く起動し、天面の表示パネルおよび背面の液晶モニターに各種の撮影情報が表示される

さらに強力になったボディ内手ブレ補正

独自のボディ内手ブレ補正「SR」の性能も進化した。最新のジャイロセンサーを採用することで、補正効果は前モデルの約3.5段分から、本モデルでは約4.5段分に向上している。

手ブレ補正「Shake Reduction」の設定画面。ボディ内手ブレ補正のため、光学ファインダー像のブレを補正できない点は、これまでと同じく望遠での撮影時に少々気になる。ライブビューの場合は、補正の効果はモニター表示に反映される

筆者の手持ち撮影では、標準ズームの85mm側(35mm換算で130mm相当)を使った場合、1/8秒で約9割のカットを、1/4秒で約5割のカットをブレなしで撮影できた。16mm側(35mm換算で24.5mm相当)については、1/4秒で約7割、1/2秒で約3割がブレなし、という結果だった。撮影条件による違いはもちろんあるが、特に85mm側では、公称値どおりの十分な効果が得られるといっていい。

手ブレ補正が「流し撮り検知」に対応したことも見逃せない。カメラの一定方向への動きをジャイロセンサーが検知し、動きに応じた手ブレ補正の制御が行われる。

GPSロガー機能やアストロトレーサーを内蔵

新機能では、GPSユニットと電子コンパスの搭載に注目したい。これによって、撮影場所の緯度と経度、高度、撮影方向を画像にメタデータとして記録できる。

さらに、移動場所の軌跡をKML形式のログファイルとして保存するGPSロガー機能や、簡易的な天体追尾撮影ができるアストロトレーサー機能、時刻の自動修正機能も内蔵する。

電子コンパスの画面。内蔵した3軸地磁気センサーと3軸加速度センサーによって、カメラの向き(方位)がグラフィカルに表示される。また画面左では、撮影地の緯度、経度、高度、協定世界時を確認できる
GPSロガー機能の設定画面。撮影間隔を5秒〜1分で、記録時間を1〜24時間でそれぞれ設定でき、SDカード内にログファイルを保存できる。そのデータをGoogle Earthなどの対応ソフトに読む込むと、移動の軌跡を表示できる
従来はオプションのGPSユニットを装着することで可能だったアストロトレーサー機能が標準で装備。GPSによって天体の動きを算出し、それに合わせてイメージセンサーを動かすことで、長時間露光をしながら星を点像として記録できる
精密キャリブレーションでは、指示に沿ってカメラを回転させることで方位情報を正確に取得できるようになる

ボディ内手ブレ補正を利用した、もうひとつのユニークな機能としてリアル・レゾリューション・システムを新搭載する。イメージセンサーを1画素ずつ動かて4枚の画像を連続撮影し、それをカメラ内で自動合成して1枚の高精細な画像に仕上げる機能だ。これについては、次回の実写編で取り上げよう。

リアル・レゾリューション・システムは、撮影メニューのトップ画面からオン/オフの選択を行う

そのほか、イメージセンサーの微小駆動でモアレ低減効果を得る「ローパスセレクター」や、センサーシフトを利用して傾きを補正する「自動水平補正/構図微調整」、電子水準器、インターバル撮影などの機能を前モデルから継承する。

Wi-Fi機能は残念ながら非搭載。オプションの無線LAN内蔵SDカード「FLUCARD」を使うことで、スマホなどからのワイヤレス操作が可能になる。

撮像素子にはAPS-Cサイズ相当の有効2,435万画素CMOSセンサーを、画像処理エンジンには「PRIME III」をそれぞれ装備。連写は約8.3コマ/秒に、動画はフルHD記録に対応する。これらのスペックは前モデルと同じだ。

左肩のモードダイヤルでは、一般的なP/Tv/Av/Mモードのほか、同社独自のSvモード(感度優先)やTAvモード(シャッター&絞り優先)が選べる
SDXC/SDHC/SDカードのデュアルスロットを搭載。順次記録や複製記録、RAW/JPEG分離記録、画像コピーなどに対応する
電源はリチウムイオン充電池「D-LI90P」を継承。撮影可能コマ数は、前モデルと同じくCIPA準拠で約720枚となる
超音波振動による撮像素子クリーニング機能「DR II」やダストアラート機能を引き続き備える

機能強化によって撮影領域が拡大

トータルとしては、AFと手ブレ補正という撮影の基本機能が進化したことで、高機能一眼レフとしての完成度がいっそう高くなったといえる。加えて、GPSや電子コンパス、リアル・レゾリューションといった付加価値の充実によって、撮る楽しみが広がったこともうれしい。

一方で個人的に物足りなく感じるのは、可動式液晶モニターの採用が見送られたこと。バリアングル液晶を備えた下位モデル「PENTAX K-S2」を使うと、撮影アングルの自由度がうらやましく感じる。また内蔵ストロボがなくなったため、純正の外部ストロボをワイヤレスTTLで使うには、外部ストロボが2台必要になる点は不自由だ。小型のコマンダーを発売して欲しい。

PENTAX K-3 IIの魅力は、水滴やホコリを気にせず撮影できる防塵防滴ボディを受け継ぎながら、さらなる機能強化によって撮影領域が拡大したこと。雨が多くなるこれからの季節には特に心強い。天候を問わず、外に撮影に出掛けることがとにかく楽しくなる、そんなカメラである。

次回は、実写編をお伝えする。

精悍さが漂うフルブラックの金属ボディ。下位モデルK-S2に比べると少々大きくて重いが、外装の質感やレリーズなどの操作感はワンランク上だ

永山昌克

広告スタジオを経て、1998年よりフリーランスのフォトグラファー。以後、主に雑誌やウェブ、広告の分野で活動。得意分野は都会のスナップ。写真展に「チャイニーズ・ウエスタン」(銀座ニコンサロン)、著書に「写真の構図&アングル練習帳」(ソーテック社刊)などがある。