新製品レビュー

PENTAX K-S1(外観・機能編)

緑や青のLEDが光るギミック満載の一眼レフ

PENTAX K-S1レンズキット

リコーイメージングからAPS-Cサイズの撮像素子を搭載したデジタル一眼レフカメラPENTAX K-S1が登場した。これまでの同社の一眼レフには、主に入門者向けのK-50や、中級者以上向けのK-3などがあったが、本モデルはそれらとは異なる性格を持つ新ラインの第一弾である。

エントリーユーザーから写真愛好家までの幅広い層をターゲットとし、小さなボディに高機能を凝縮。視野率100%のファインダーやボディ内手ブレ補正、ローパスセレクター、最高感度ISO51200などは、フラッグシップK-3から継承したものだ。

こうした撮影のための基本性能に加えて、注目はデジタルガジェットとしての魅力を盛り込んでいること。デザイン会社ziba tokyoの監修によって、LEDライトを利用した個性的なデザインとインターフェースを採用している。今回のレビューでは、その外観と機能をお伝えしよう。

カメラの状態をLEDで表示する

まず目を引くのは、これまでの一眼レフとは少し雰囲気が異なる個性的なデザインだ。面と直線を意識した長方形のボディをベースにして、その中央に曲線的なペンタプリズムとレンズエプロンを配置する。ボディは小ぶりだが、標準ズーム装着時はややフロントヘビーに見える造形だ。

第一印象では、なんとなくアンバランスに感じたが、その理由はすぐに分かった。ミラーレスカメラを思わせるシンプルな今風の小型ボディに、伝統的な一眼レフカメラの証しである大きなミラーボックスを半ば強引に組み込んでいるからだ。

いわば革新と伝統の融合である。そう考えると、この頭でっかちなデザインも悪くないと思えてくる。それどころか、未だEVFには馴染めない旧世代の筆者としては、安心感さえ覚えるスタイリングだ。

デザインへのこだわりはボディ各所にも見られる。天面は段差を設けた2段構成にすることでボディの厚みを感じさせず、そこからグリップ部分へと滑らかな曲面を描くことで優しい印象を与え、一眼レフにありがちな取っ付きにくさを緩和している。また、前面にはラバー素材を張り付けて心地よい感触を生み出し、接眼部にはボディサイズの割には大きめのアイカップを採用してホールド時の安定感を高めている。

さらに、SRのロゴのためにあしらったようなエプロン部の小さな出っ張りや、ボディカラーと統一させたシャッターボタンの色、メカっぽさが漂う円盤のような背面モードダイヤルの形状など細かい部分にも個性が満ちている。

そして極め付けは、電源を入れた瞬間に光るLEDイルミネーションだ。起動時に光るのは、グリップ部の5つと、シャッターボタンまわり、背面モードダイヤル、背面OKボタンの計8ヶ所。LEDの色は、グリップ部とシャッターボタンまわりが緑で、モードダイヤルは緑と白、OKボタンは青色となる。

シャッターボタンまわりのLEDは、起動して静止画モード選択時は緑で、動画モード選択時は赤になる
OKボタンのLEDは、長押しによって点灯(感度、連写、WB、ストロボモードの選択)と、消灯(AF測距点)が切り替わる

このうちグリップ部の5つのLEDは、脱力系ギミックとして目を楽しませてくれるだけでなく、セルフタイマーやリモコン作動のタイミングを知らせたり、顔検出の人数を表示する、という働きを兼ねている。もちろん、LEDの点灯が不要な場合はメニューの設定からオフにもできる。

セルフタイマー作動時は、残り秒数に応じてLEDの点滅数が変化する
グリップ部には、LEDのほか、AF補助光ランプとリモコン受光部がある

見やすいガラスプリズムファインダー

ファインダーには、視野率約100%で倍率約0.95倍のガラス製ペンタプリズムを採用する。十分な広さがある見やすいファインダーだ。いっぽう液晶モニターには3.0型で約92.1万ドットのTFTを装備。こちらも視認性は良好だ。液晶の明るさと彩度、色味を細かくカスタマイズできる点もありがたい。

大きなアイカップ付きのファインダー。上部には視度調整レバーを備える

AFセンサーには、K-50と同等のSAFOX IXi+を搭載する。測距点は9点クロスを含む11点に対応。測距点の切り替えは背面十字キーで行える。AFスピードは軽快。キット付属の標準ズームを使った場合、大きなストレスなく作動するAF性能を確認できた。

ファインダー内には、AFフレームの範囲が枠で表示。測距点の選択時と合焦時には、選んだ測距点が赤く光る

ただしキットレンズでは、ジージーと鳴るAF作動音がうるさい。作動音が気になる場合は、レンズ内のモーター駆動に対応したSDM(超音波モーター)レンズまたはDC(直流モーター)レンズを別途用意したい。

背面左上にあるLVボタンを押した場合は、ミラーアップが行われ、液晶モニターにライブビューが表示される。ライブビュー中はコントラスト検出方式のAFが作動し、AF測距点は画面内の好きな位置に設定できる。コントラストAFのスピードは特に高速とはいえないが、一眼レフのライブビュー時のAFとしては比較的速いほうだ。

またマニュアルフォーカス選択時は、任意の部分を最大10倍に拡大表示にでき、厳密なピント合わせが行える。

ポップアップ式のフラッシュを内蔵。ガイドナンバーは約10。マニュアル発光も行える

ローパスセレクターを上位モデルから継承

撮影モードは、背面のモードダイヤルによってオートからマニュアルまで計10モードが選べる。Av(絞り優先)やTv(シャッター優先)といった一般的なモードのほか、TAv(シャッター&絞り優先)やSv(感度優先)というPENTAXならではモードも健在だ。ただし、好きな設定の組み合わせを登録できるUSERモードが省かれているのは少々残念なところ。

絞り値やシャッター速度は背面の電子ダイヤルを使って操作し、露出補正は専用ボタン+電子ダイヤルで調整する。ボディの前後に2つの電子ダイヤルを備えるK-3やK-50とは違って、電子ダイヤルが1つしかないのは中級者以上には少々もの足りない。再生モード時に、画像を拡大したままコマ送りができない点も不便に感じる。

シンプルにまとまった操作部。電子ダイヤルは大きめで操作感は良好だ

ボタンカスタマイズ機能によって、天面のグリーンボタンや背面のAF/AEロックボタンの内容を変更できるのは便利だ。

機能面でのポイントといえるは、画像に特殊効果を加える機能が非常に豊富なこと。EFFECTモードでは「フェードカラー」や「赤外調」など10種類、デジタルフィルターでは「色抽出」や「色の置換」など9種類(再生時は21種類)の効果をそれぞれ選べる。さらに発色の調整機能であるカスタムイメージでは「リバーサルフィルム」や「クロスプロセス」など11モードが選択できる。事前にテストして自分の好きな発色を見つけるといいだろう。

そのほか、ローパスフィルターと同等の効果のON/OFFが選べるローパスセレクターや、レンズ収差補正、HDR撮影などの機能を搭載。連写は最高約5.4コマ/秒に、動画はフルHD記録に対応する。

記録メディアはSDXC/SDHC/SDメモリーカード。電源はリチウムイオン充電池。CIPA準拠の撮影可能枚数は、フラッシュ50%発光で約410枚、フラッシュ発光なしで約480枚
手ブレ補正機構SR(Shake Reduction)を内蔵。レンズマウントは、ペンタックスKマウント。多彩な交換レンズが使用できる

まとめ

ユニークな外観とLEDの仕掛けを気に入るかどうかが本モデル評価の分かれ目になるだろう。個人的には、気軽に楽しむスナップカメラのデザインとして面白いと思う。ミラーレスカメラに比べると、最近の一眼レフは似たり寄ったりのデザインが多い中、このPENTAX K-S1の大胆なスタイリングは個性が際立っている。

AF駆動音のほか、撮像素子のゴミ除去機能であるダストリムーバルの作動音や、ライブビュー撮影時のミラーが上下する音など、操作全般の音が少々騒々しいことは人によっては気になるかもしれない。

装着する全レンズで作動するボディ内手ブレ補正機構と、視認性に優れた視野率100%のガラスファインダーは大いに気に入った。次回は実写編として、画質を検証してみよう。

薄型軽量の単焦点レンズが似合うデザイン。写真は「FA35mm F2AL」を装着した状態

永山昌克

広告スタジオを経て、1998年よりフリーランスのフォトグラファー。以後、主に雑誌やウェブ、広告の分野で活動。得意分野は都会のスナップ。写真展に「チャイニーズ・ウエスタン」(銀座ニコンサロン)、著書に「写真の構図&アングル練習帳」(ソーテック社刊)などがある。