新製品レビュー

OLYMPUS PEN Lite E-PL7(外観・機能編)

自分撮り&シェアに強い!スマホと楽しむセルフィ・カメラ

オリンパスから「OLYMPUS PEN Lite E-PL7」が9月20日に発売されました。

カラーラインナップはホワイト、シルバー、ブラックの3色。

実勢価格は、ボディ単体では6万6,000円前後、「M.ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6 EZ」のレンズキットが8万1,000円前後、「M.ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6 EZ」と「M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F4.0-5.6 R」のダブルズームキットが9万6,000円前後となっています(いずれも税別)。

下位モデル「OLYMPUS PEN Lite E-PL6」からの主な違いは、Wi-Fi内蔵と液晶モニターのチルト方向の変更です。

Wi-Fiですが、特別な記録メディアがなくてもスマホのアプリ「OLYMPUS Image Share」(OI.Share)を使って写真のシェアが簡単に行えたり、リモコン機能を使って今までより気軽に自分撮りを楽しむことができます。

その自分撮りをさらに快適にするため、液晶モニターが下方向に可動するようになったのです。この辺りの機能については、また後ほど掘り下げてお話します。

液晶モニターは可動式のTFTカラー液晶で3型です。E-PL6では約46万ドットでしたが、本機では上位機種のE-P5と同じ約104万ドットになりました。

その他の主な仕様は、E-PL6から大きくは変わっていません。外形寸法はE-PL6の110.5×63.7×38.2mmから、114.9×67.0×38.4mmと少しだけ大きく、重さもE-PL6の約325gから約357gと、こちらもほんの少しだけ重くなりました。ただし、持って違和感を感じるほどではありません。

撮像素子は有効1,605万画素Live MOS センサー、画像処理エンジンはTruePic VIIを採用。これらは上位ラインナップの「OM-D」シリーズと同等のものになります。

有効1,605万画素Live MOS センサーを採用。3軸ボディ内手ブレ補正

上位モデルE-P5に近づいた見た目

まず外観ですが、PEN Liteシリーズが上位機種であるPENシリーズ(E-P5など)に、さらに似てきたなと感じました。初期の正方形に近い形よりも、筆者はこの横長の形のほうがかっこいいと思いました。

また、E-PL6ではボディ前面は剥き出しでしたが、本機では張り革で覆われています。

そして、E-PL6で背面の十字キーをぐるりと囲んでいたコントロールダイヤルは、本機では上部のシャッター周りの位置へと移動。この変更は、地味ながらとても操作性向上の役に立っています。

グリップの大きさやでっぱり具合は、デザインを損なわない秀逸なもの。他のボタン類についても、デザイン的にも操作的にもバランス良く並んでいるとは思います。

しかし、「見た目よりもずっしりと重いな」と感じたのが第一印象。全体的なデザインバランスがいいからそう感じてしまうのかも知れませんが、長時間撮影して歩いているとグリップを握っている右手が疲れてきてしまいました。

これだけ中身が詰まっているのだからこのくらいの重さは我慢すべきなのでしょうが、「Lite」のネーミングからしても少し軽いと嬉しいなと、非力な女性の願望も挟んでおきたいと思います。

全般的な操作性

「OLYMPUS PEN」シリーズは初代から直感的に操作できるボディとシステム作りが上手でしたが、ここに来てその技術は着実に進化していると感じました。

まずは先にあげたコントロールダイヤルの位置変更。十字キーの周りだと動かしにくいのはもちろん、誤動作などもあって筆者は苦手だったのですが、シャッター周りに配されたことで動かしやすくなり、誤動作がほとんどなくなりました。

メニュー画面や撮影モード選択、それらの詳細設定などは「OLYMPUS PEN」シリーズを使ったことのある方なら説明書不要で直感的に操作できます。初めて使う方は、撮影画面からOKボタンを押して撮影項目を設定するところなどはちょっと戸惑うかも知れません。

本機ならAFは積極的にタッチAFシャッターを使いたいですね。タッチした被写体へのAF合わせは文句なく速いです。

瞳検出AFも「近距離の瞳優先」、「右側の瞳優先」、「左側の瞳優先」とOFF以外に3種類もあり、人物を撮影するのにカメラ初心者でも困らない設定と、それを活かせるAFスピードを併せ持っています。

もちろんシャッターボタン半押しでのピント合わせもスムーズですが、この辺りは実写編でもお話したいと思います。

本機では搭載バッテリーがE-PL6から変更になりました。「リチウムイオン充電池BLS-50」という容量1,210mAhの電池が採用されています。E-PL6で採用されていたのは容量1,150mAhのリチウムイオン充電池「BLS-5」ですので、嬉しい容量アップということになります。

バッテリーにはリチウムイオン充電池「BLS-5」を使用。E-PL6より容量がアップしています

自撮りに便利な下開きスタイルの液晶モニター

本機のイチオシの機能が「タッチ自分撮りスタイル」です。これは、モニターを下に開くと自分撮りモードが起動して、モニター画面で自分を見ながら撮影を楽しむことができる機能です。

操作の手順としては、まずモニターを下に開きます。すると、モニター上の表示が自動で左右反転します。つまり、鏡を見ている状態になるわけですね。また、ズームレンズを装着している場合、こちらも自動的に広角端になります。

液晶モニターは下方向に180度開きます。いままでにないギミックです。
上方向へのチルトも可能なので、今まで通りローアングルも可能
自撮りモードのカメラ側の液晶画面。画面下部の左から「eポートレート」ON/OFF、シャッターボタン、カスタムセルフタイマーON/OFFの設定ができます
「OLYMPUS Image Share」(OI.Share)を使用して自撮りをする場合のスマホ側の画面。目をタッチしてピントを合わせています

次に画面をタッチして「eポートレート」のON/OFF(iAUTO使用時)を選択したあとは、シャッターボタンを押すかカスタムセルフタイマーを使ってタイマー撮影をするか、という流れになります。

さて、この下に開く液晶については賛否両論だと思います。E-PL6上に開くタイプは、カメラ上部のダイヤルなどが画面に干渉してしまいライブビュー画面が見にくかった残念な思い出がありますが、三脚を使用してみんなで撮影するときには役に立ってくれました。

本機の下開きタイプは、画面に干渉するダイヤルはないし、タッチ操作にレンズが邪魔になることもありません。流行の自分撮りスタイルの斜め上からの撮影にも下開きの液晶スタイルはぴったりでしょう。ただひとつの難点が、三脚への設置です。

三脚のネジ穴はカメラ底部の中央よりも左寄り、液晶の中心部分にあります。つまり、液晶を下開きして三脚に設置するとモニターの真ん中に三脚が来てしまうのです。

これは三脚を使用しないライトユーザー向けなのか、頻度の少ないであろう三脚使用時の不便さよりも通常の操作性を取ったのか……いろいろ考えたのですが、私が推測するよりも直接メーカーのほうに正解を聞いてしまおう!と、広報の方からコメントを頂きました。

「E-PL7は、Wi-Fi機能によるスマートフォンとの連携を強化した機種ということもあり、三脚を使用した自分撮りシーンではスマホのリモート機能を使うことを想定・前提にしています。手元のスマホ画面でしっかり写りを確認して頂けるので、モニターをチルトした状態で三脚に設置する必要がありません」

というと、「スマホを持っていないユーザーさんはどうするの?」というお声もあるかと思いますが、今回のE-PL7では、

「スマートフォンと一緒に使うカメラという使い方を市場に広めて行きたいと考え、三脚とモニターの使用シーンを切り離した機能訴求をさせていただきました」

なるほど。スマホと一緒に使うカメラというキャッチコピーは本機らしくて納得です。すべてのユーザーさんに楽しんで使っていただけるように今後も工夫を続けて行きたいとのコメントもいただきましたが、E-PL6から本機への自分撮りの液晶スタイルの推移で、その試行錯誤が見て取れるような気がしました。

こちらはまた実写編で使い勝手なども合わせてレポートしたいと思います。

楽しげな新アートフィルター

今回新たに搭載されたのが「ヴィンテージ」と「パートカラー」です。

「ヴィンテージ」は経年劣化系の色味を再現するフィルターで、その中でも3パターンの作風を選択することができます。

アートフィルター:ヴィンテージ。タイプは3つあり、この設定画面上ではOFFになっているが選択したフィルターにさらに個性的な効果を入れることができる「アートエフェクト」も選択して、掛け合わせた画を撮ることができます

タイプIはフィルムの光漏れ、プリント焼けなどの変色効果でヴィンテージ風の色味に仕上がります。

タイプIIは優しく色あせた退色効果でノスタルジックな色合いに仕上がります。

タイプIIIはしっとりと落ち着いた上品な色合いに仕上がります。

「パートカラー」は選択した色だけを残して他の色味をモノトーンで表現するフィルター。各社のデジタルカメラに搭載されているお馴染みのフィルターですが、本機が面白いのは「カラーリング」という色抽出機能を使っている点です。

この「カラーリング」は、コントロールダイヤルを回して残したい色をライブビュー画面を見ながら選ぶ機能なのですが、よくある画面上の被写体の色をスポイトで吸い出すような操作をして残したい色を選ぶ機能とは違い、リングをグルグルと回して結果を見ながら色を選びます。リングを一周するうちに思い掛けない面白い作品になったりと、撮影をするのが実に楽しいフィルターです。

パートカラーも3パターンの作風から選ぶことができます。

アートフィルター:パートカラー。こちらも3パターンのフィルターと、掛け合わせできる「アートエフェクト」を選択できます

タイプIは選択した色を中心としてそれ以外の色味も自然なグラデーションになるように残します。

タイプIIは選択した色以外の色も少し色味を残します。

タイプIIIは選択した色のみを残して強調させます。

こちらの2種類のフィルターの作例も、実写編でお送りします。予告だけさせていただくと、本当に撮影してて楽しいフィルターでした!

その他機能について

シーンモードの「流し撮り」は、中央に被写体を配置してピントを合わせながらカメラを動かすだけで、難しい流し撮りが初心者でも簡単に撮れてしまう面白いモードです。

新しいシーンモード「流し撮り」選択画面。このモードを使えば初心者さんも流し撮りを楽しめるかも!

普段動いているものを撮らない方も、走っているお子さんや動物などを撮るのにオススメです。

「ライブバルブ」も、スマホと楽しむカメラの機能として“らしい”撮影機能です。

こちらは設定した感覚で露光中の画像を更新表示する機能ですが、スマホのライブビュー画面を使用することで、三脚に設置したカメラに触って無駄な揺れが起こる危険性を回避できますし、長時間カメラの側で待機しなくても良くなります。

もう花火シーズンが終わってしまったのが残念ですが、そんな明暗差のあるシチュエーションでぜひ使ってみて欲しいのが「ライブコンポジット」です。

普通にバルブ撮影すると明るくなり過ぎてしまうようなシーンで使いたい機能で、明るく変化した部分のみを合成して光の軌跡を美しく表現してくれます。夜空の星の光跡やペンライトを使って文字を書くメッセージ・フォトなどの撮影に使用すると通常では撮れないようなカットができあがります。

簡単設定のWi-Fi機能

Wi-Fiが内蔵されているのも、E-PL6からの大きな違いです。専用のアプリ「OLYMPUS Image Share」(OI.Share)と本機を連携することによって、撮影した画像をスマホに転送してSNSにアップしたり、スマホをリモコン代わりにしたりできます。

接続方法は、カメラに表示されるQRコードをスマホで読み取るだけなのでとても簡単です。

Wi-Fiの設定画面。液晶モニターに表示されるQRコードをスマホで読み取るだけで簡単に接続ができます
スマホ側のアプリ画面。上部はメニュー。最初の設定は下部の「かんたん接続設定」をタッチしてスタートします
スマホ側のWi-Fi設定画面。「読み取り開始」をタッチするとカメラが起動して液晶に表示されているQRコードを読み取ることができます

昔は無いのが当たり前だった内蔵Wi-Fiですが、一度使ってしまうとその便利さに捉えられてしまって、もう無いと不便とまで思うようになってしまった筆者なので、本機が到着してすぐ、一番最初に設定しました。

撮った写真をスマホに転送するのも便利なのですが、何よりも使い勝手がいいのがリモート操作です。レンズのズームや絞り、ISO感度、撮影モード、ピント合わせなどなどカメラ側でできることのほとんどがスマホでできてしまうので、自分撮りはもちろん、三脚に設置してシャッターを押す衝撃をカメラに与えたくない繊細な撮影時などに大活躍してくれます。

まとめ

最新の「OLYMPUS PEN」シリーズは、「PEN E-P5」「PEN Lite E-PL7」「PEN Lite E-PL6」で構成されていますが、本機は中途半端になりがちな「Lite」の位置付けの模索が見られる機種でしょう。

ボディは上位の「PEN」に近付き、中身は「OM-D」ばりの高画質を誇る。それでも遊び心を忘れないように新しいアートフィルターを搭載したり、三脚使用シーンを潔く切り捨て自分撮りスタイルの確立を狙う。

セルフポートレートは昔から表現の一つとして存在していましたが、近年はセルフィと呼ばれ世界的に広まってきました。その波に乗るのはこのタイミングはベストなのではないでしょうか。

今回は機能面を紹介しましたが、次回は実写編と題して、模索の結果を本機が生み出す写真を見ながら検証していきたいと思います。

水咲奈々

(みさき なな)東京都出身。モデルとしてカメラの前に立つうちに撮る側に興味がわき写真を学ぶ。作品を持ち込んだカメラ雑誌の出版社に入社し、様々なジャンルの写真家の作品と撮影現場に触れる機会を得る。2010年に独立し、現在はフリーの写真家として雑誌やWEB、イベントや写真教室など多方面で活躍中。撮影ジャンルは赤ちゃんから戦闘機までと幅広い。http://misakinana.com