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【新製品レビュー】ライカX2

〜スペックアップしたドイツメイドの高級コンパクト
Reported by 藤井智弘

 2010年に登場した、APS-Cサイズの1,220画素CMOSセンサーを持つライカのレンズ一体型デジタルカメラ「ライカX1」。それまでのライカのコンパクトデジタルカメラは、富士フイルムやパナソニックをベースにしていたが、ライカX1は企画から製造までドイツで行なっている。そのためX1には“MADE IN GERMANY”の文字が入っている。

ライカX2(シルバー)。実勢価格は21万6,000円前後

 搭載レンズは「エルマリート24mm F2.8 ASPH.」で、35mm判換算すると36mm相当。またM型以前のスクリューマウントのライカ(通称バルナック型ライカ)を彷彿させるライカらしいデザインで大きな話題となった。

 ボディカラーは当初スチールグレーのみだったが、後にブラックも追加された。そして2012年の5月、ベルリンでX1の後継機となる「ライカX2」が発表された。


前モデルよりもスピーディーに

 ボディデザインはX1を踏襲。側面がラウンドした形状は、いかにもライカらしいフィルムの「M型ライカ」とほぼ同じ厚さなので、ライカファンにも手に馴染みやすいはず。しかしX1とは大きく異なるのがアクセサリーシューだ。X1ではアクセサリーシューが本体上面とフラットに近い位置だったのに対し、X2では背が高くなっている。これは新たにEVFが装着できるようになったためだ。背面にはアクセサリーシューの下にEVF用の端子が追加されている。

 さらに内蔵ストロボも変更された。X1では円筒状のストロボが真上にポップアップしたが、ライカX2のストロボは前方にせり出す。近接時にストロボ光がケラレてしまうのを防ぐためだ。またポップアップの仕方もX1ではストロボを押し込むのに対し、X2では背面にストロボポップアップレバーが装備され、不用意にポップアップしないように進化している。

内蔵ストロボは前方にせり出しながらポップアップする。高級感がないのが残念だが、X1よりも近接時のストロボ撮影に強くなった。 背面にはEVF用の端子を装備。また左側には内蔵ストロボ用のポップアップレバーがある。

 ボディカラーはX1ではスチールグレーとブラックだったが、X2はシルバーとブラックになった。「ライカM9-P」から、ライカはなぜかスチールグレーを止めてしまった。クラシカルなシルバーを求める声が大きかったのだろうか。X1では、スチールグレーでもレンズ鏡筒が黒かったが、X2のシルバーは、鏡筒もシルバーだ。さらにボディのシボ革は、シルバーは目の粗いパターン、ブラックは昔ながらの皮革パターンだ。

 撮像素子はAPS-Cサイズの有効1,620万画素CMOSセンサー。X1より画素数が上がり、より高精細になった。レンズはX1と同じエルマリート24mm F2.8 ASPH.。6群8枚構成で、非球面レンズを1枚使用している。画素数こそ増えたものの、X1を踏襲するデザインや同じ焦点距離のレンズなど、やや新鮮味に欠ける印象を受ける。しかし電源をONにしてAFを駆動させると、X1よりはるかにスピーディーだ。AFが迷うシーンも少なく、快適に撮影できた。

X1のデザインを踏襲しつつ、画素数アップやEVFへの対応、レスポンスの向上など、大きく進化したライカX2。シルバーボディはレンズ鏡筒もシルバー仕上げだ。 レンズはX1と同じエルマリート24mm F2.8 ASPH.。電源をONにすると、沈胴していた鏡筒が伸びてくる。

 そしてX1では、最短撮影距離は60cm、マクロモードにすると30cmまで近づけるが、X2ではマクロモードがなくなり、30cmから無限遠になった。近接でいちいちマクロモードに切り換える必要がなくなったのも便利だ。とはいえ、できればもう少し寄れると嬉しかった。


まさに写真作品を撮るための道具

 背面の操作やメニュー画面もX1とほぼ同じ。X2にはEVF用の明るさや色調整の項目が追加されたくらいだ。日本メーカーのデジタルカメラのメニュー画面と比べると、とてもシンプル。そもそもX2は機能が少ない。フィルム選択(仕上がり選択)は標準、Vivid、Natural、白黒Natural、白黒High Contrastの4種類を用意するが、いわゆるアートフィルターのようなデジタルフィルターは搭載されていない。

フィルム選択は、X1と同じ標準、Vivid、Natural、白黒Natural、白黒High Contrastの4種類。

 しかも日本のデジタルカメラでは当たり前になった動画機能すら持たない。X2はスチル写真専用だ。機能をてんこ盛りにして付加価値を重視する日本のデジタルカメラとはコンセプトが異なるのだ。これを物足りないと感じるか、潔いと感じるかは人それぞれだろう。筆者個人としては、レンジファインダーのライカM9/M9-Pで、デジタルになってもトラディショナルなスタイルを継続する姿を見ていると、X2の機能で充分だと思っている。かえって機能てんこ盛りになってしまう方がライカらしくない。まさに写真作品を撮るための道具なのだ。

 新たに発売するEVF「EVF2」(4万8,300円)は、約140万ドットの液晶ビューファインダーだ。他社のEVFと同様、上90度のチルトも可能だ。本国ドイツでは、このEVFを「Electronic Viso-Flex viewfinder」と呼んでいるとか。「ビゾフレックス」とは、かつてライカ(当時はライツ社)がラインナップしていた、レンジファインダー機を一眼レフにするアダプターだ。ミラーボックスとファインダーを持ち、バルナック型ライカやM型ライカが一眼レフに変身する。ちなみに最終型のIII型は、デジタルのライカM8〜M9シリーズに装着も可能だ。

EVF2を装着したX2。
背面液晶モニターとEVFの切り換えは、EVFに装備されたボタンを押す。EVF2のアイピース部は視度調整リングになっている。迅速な調整が可能だが、動きやすいのがネック。 他社のEVFと同様に、EVF2も90度のチルトが可能。ローアングルやウエストレベルでの撮影に活用できる。

 そのビゾフレックスの名が復活したのは、ライカファンにとってはそそられてしまう。デザインも、どことなくオリジナルのビゾフレックスに似ているのも、ライカファンには嬉しいところ。視認性も高く、明るい場所での撮影や、スローシャッターでカメラを安定して構えたいときに重宝する。

 ただ、視度調整ダイヤルが動きやすいのが気になった。またEVF使用時でも、本体の液晶モニターで再生表示させることは可能だが、メニュー画面を出すことはできない。EVFを覗きながらメニュー操作することはほとんどないだろうから、EVF使用時にもメニュー画面は背面モニターで表示してほしい。なおX1と同時に発売された光学式の36mmブライトフレームファインダーもX2で使用できる。

メニューから「常に液晶で再生」をオンにすると、表示をEVF側にしていても、再生画面は液晶モニターに表示される。

画面周辺部でも流れは少ない

 さて1,620万画素になったX2の画質は、やはり高精細で解像力が高い。M8〜M9シリーズではローパスフィルターは使用していないが、X2はローパスフィルターを内蔵している。そのためローパスフィルターなしの、被写体のエッジが立ち上がってくるような、極めてシャープな解像感はない。だが全体的に角が取れたような優しい印象を受けながら、ピントを合わせた部分はしっかり解像している。

 しかも画面周辺でも画像の流れや甘さが少ない。また色調は、標準ではM9と同じく、やや彩度の低い、渋い写りだ。落ち着いた仕上がりはヨーロッパテイストといえるだろう。深みのある仕上がりを求めている人に好まれそうだ。

 感度は、X1がISO100〜3200なのに対し、X2ではISO100〜12800と、高感度側が格段に広くなった。高感度はISO800までは常用域。ISO1600からノイズが目立ちはじめる。とはいえISO3200やISO6400でも、拡大しなければ充分実用的だ。国産のAPS-Cサイズセンサーのデジタルカメラと比べると高感度のノイズは多いかもしれない。

 しかし極端なノイズリダクションはかかっていないため、被写体のディテールが崩れない。いかにも“ノイズ処理しました”という写真ではなく、かえって高感度らしい素直な仕上がりだと思う。もし気になるなら、RAW(DNG)で撮って、現像ソフト側でノイズ調整をすればいい。なおRAW現像ソフトは、X2を購入すると専用サイトからAdobe Photoshop Lightroomがダウンロードできる。


まとめ

 X2は、X1のコンセプトを受け継ぐ高画質なレンズ一体型デジタルカメラだ。実売で20万円を超える価格は決して安価ではない。だが明らかに日本メーカーのカメラでは得られないテイストを持っている。本気でライカを使った作品を撮りたい人には、それだけの価値が得られるカメラだ。

側面カバーを開けると、上にUSB、下にHDMI端子を持つ。

実写サンプル

  • 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像をダウンロード後、800×600ピクセル前後の縮小画像を表示します。その後、クリックした箇所をピクセル等倍で表示します。
  • 縦位置で撮影した写真のみ、無劣化での回転処理を施しています。

・フィルム選択(仕上がり選択)

標準 / X2 / 約5.9MB / 4,928×3,264 / 1/320秒 / F8 / 0EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:オート / 24mm
Vivid / X2 / 約6.7MB / 4,928×3,264 / 1/320秒 / F8 / 0EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:オート / 24mm Natural / X2 / 約6.2MB / 4,928×3,264 / 1/320秒 / F8 / 0EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:オート / 24mm
白黒Natural / X2 / 約5.9MB / 4,928×3,264 / 1/320秒 / F8 / 0EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:オート / 24mm 白黒High Contrast / X2 / 約5.9MB / 4,928×3,264 / 1/320秒 / F8 / 0EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:オート / 24mm

・感度

X2 / 約6.4MB / 4,928×3,264 / 1/15秒 / F11 / -0.3EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:オート / 24mm X2 / 約6.8MB / 4,928×3,264 / 1/30秒 / F11 / -0.3EV / ISO200 / 絞り優先AE / WB:オート / 24mm
X2 / 約6.2MB / 4,928×3,264 / 1/60秒 / F11 / -0.3EV / ISO400 / 絞り優先AE / WB:オート / 24mm X2 / 約7MB / 4,928×3,264 / 1/125秒 / F11 / -0.3EV / ISO800 / 絞り優先AE / WB:オート / 24mm
X2 / 約7MB / 4,928×3,264 / 1/250秒 / F11 / -0.3EV / ISO1600 / 絞り優先AE / WB:オート / 24mm X2 / 約7.1MB / 4,928×3,264 / 1/500秒 / F11 / -0.3EV / ISO3200 / 絞り優先AE / WB:オート / 24mm
X2 / 約6.9MB / 4,928×3,264 / 1/800秒 / F11 / -0.3EV / ISO6400 / 絞り優先AE / WB:オート / 24mm X2 / 約7.2MB / 4,928×3,264 / 1/1600秒 / F11 / -0.3EV / ISO12500 / 絞り優先AE / WB:オート / 24mm

・作例

X2 / 約5.4MB / 4,928×3,264 / 1/500秒 / F8 / 0EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:オート / 24mm X2 / 約4.9MB / 3,264×4,928 / 1/320秒 / F3.2 / 0EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:オート / 24mm
X2 / 約7MB / 4,928×3,264 / 1/80秒 / F4 / -0.3EV / ISO400 / 絞り優先AE / WB:オート / 24mm X2 / 約6.7MB / 4,928×3,264 / 1/250秒 / F4 / 0EV / ISO800 / 絞り優先AE / WB:オート / 24mm
X2 / 約3.1MB / 3,264×4,928 / 1/80秒 / F2.8 / 0EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:オート / 24mm X2 / 約4.2MB / 3,264×4,928 / 1/1000秒 / F8 / +0.7EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:オート / 24mm
X2 / 約5.9MB / 3,264×4,928 / 1/250秒 / F5.6 / 0EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:オート / 24mm X2 / 約5.8MB / 3,264×4,928 / 1/125秒 / F2.8 / -1.3EV / ISO400 / 絞り優先AE / WB:オート / 24mm
X2 / 約6.3MB / 4,928×3,264 / 1/60秒 / F5.6 / -1.7EV / ISO400 / 絞り優先AE / WB:オート / 24mm X2 / 約6.8MB / 4,928×3,264 / 1/60秒 / F4 / 0EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:オート / 24mm
X2 / 約5.3MB / 4,928×3,264 / 1/80秒 / F2.8 / 0EV / ISO200 / 絞り優先AE / WB:オート / 24mm X2 / 約6.4MB / 4,928×3,264 / 1/500秒 / F4 / 0EV / ISO800 / 絞り優先AE / WB:オート / 24mm
X2 / 約6MB / 4,928×3,264 / 1/125秒 / F11 / 0EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:オート / 24mm
X2 / 約7.2MB / 4,928×3,264 / 1/800秒 / F8 / 0EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:オート / 24mm X2 / 約4.7MB / 4,928×3,264 / 1/250秒 / F5.6 / -0.3EV / ISO200 / 絞り優先AE / WB:オート / 24mm






(ふじいともひろ)1968年、東京生まれ。東京工芸大学短期大学部写真技術科卒業。1996年、コニカプラザで写真展「PEOPLE」を開催後フリー写真家になる。現在はカメラ雑誌での撮影、執筆を中心に、国内や海外の街のスナップを撮影。公益社団法人日本写真家協会会員。

2012/8/8 00:00