【 2016/05/27 】
【 2016/05/26 】
【 2016/05/25 】
【 2016/05/24 】
【 2016/05/23 】

【新製品レビュー】Adobe Photoshop Lightroom 4

〜さらにパワーアップした統合写真ソフト
Reported by 北村智史

 写真の取り込みにはじまってセレクト、管理、RAW現像からプリントやWebでの公開、フォトブックの作成にいたるまでの作業全般を1本でカバーできる「統合写真ソフトウェア」の最新バージョン。ハイライトとシャドウの復元といった露出調整関連の機能に加えてマップ機能などを新しく装備した。

 アドビストアでの価格は、製品版のパッケージ購入が1万6,800円、ダウンロード購入が1万6,000円。旧バージョンからのアップグレード版のパッケージ購入が1万80円、ダウンロード購入が9,600円となっている。


ついに位置情報に対応

 基本的な部分は従来バージョンから変わっていない。画面右上を見ると、新しく「マップ」「ブック」モジュールが追加されているが、従来からのユーザーが使い勝手に悩むことはあまりないだろう。

 オンデマンドプリントWebサイト「Blurb.com」を利用する「ブック」は、原稿執筆時点では日本はまだサポート対象外となっているようだが、レイアウトの作成は可能だ。また、PDFとして保存することもできるようになっている。

新機能の「ブック」。今のところBlurb.comが日本語をサポートしていないか、日本からの購入に対応していないということらしい。

実物は作れないが、とりあえず、レイアウトの作成までは可能。判型や紙の種類も選べるし、概算の価格も見られる。

「マップ」モジュールは、おなじみのGoogleマップを利用する。使い方はもう説明の必要もないくらいの簡単さで、位置情報を持った写真はそのままマップ上に表示されるし、位置情報を持たない写真をフィルムストリップからドラッグ&ドロップすることで位置情報を追加することもできる。GPS機能を備えたカメラをメインにしているユーザーには待望のアップデートと言える。

「マップ」も新機能。見て分かるとおりのGoogleマップである。使い方も見た目どおりだ。

もちろん、地図上に写真をドラッグ&ドロップすることも可能。

地図上にドロップした写真には、自動的に位置情報が付加される。

 ちょっと面白いのが「マイロケーション」機能。中心点の位置と半径でおおざっぱに撮影ポイントを設定できるもので、円内で撮った写真をグループ化してくれる。実際のところ、単純な円で囲えない場所のほうが多いわけで、実用性の点では首をかしげたくなる部分もある。が、「保存した撮影場所」パネルに登録した撮影ポイントにワンクリックで“飛ぶ”ことができるので、お気に入り撮影ポイントのツアーが楽しめる。

お気に入りの撮影ポイントなどを登録しておける「マイロケーション」機能。中心点の位置と半径でエリアを指定する。

もちろん、中心点の位置、半径ともに微調整が可能だ。

円で指定するだけのアバウトさなのだから、細長い公園とかだとかなり不都合である。

画面左側の「保存された撮影場所」のリスト上の項目をクリックすると、その場所まで飛んでいってくれる。これは便利。

強力な補正が可能な「ハイライト」「シャドウ」

「現像」モジュールはパラメーターが若干変更されている。「基本補正」パネルの「階調」の部分が、従来は「露光量」「白トビ軽減」「補助光効果」「黒レベル」「明るさ」「コントラスト」だったのが、新バージョンでは「露光量」「コントラスト」「ハイライト」「シャドウ」「白レベル」「黒レベル」に変わった。

 特に新しい「ハイライト」と「シャドウ」は従来の「白トビ軽減」「補助光効果」よりも強力で、大幅に調整してもほかの部分にほとんど影響しないのがすごい。今まで再現が難しかった晴天時の雲のトーンなどが簡単に引き出せてしまう。さすがに、コンパクトカメラのJPEG画像には多くは期待できないが、レンズ交換式カメラのJPEG画像なら想像以上の成果が得られるはずだ。もちろん、さらに情報量の多いRAW画像なら、ダイナミックレンジを最大限に拡張できる。

これは旧バージョンから受け継いだだけの状態で、「基本補正」パネルの内容が古いままになっている。

こちらは新バージョンの画面。「基本補正」パネルの内容が「ハイライト」「シャドウ」などに変わっている。

補正していない状態。

「ハイライト」を「-100」に設定。

「ハイライト」を「100」に設定。

「シャドウ」を「-100」に設定。

「シャドウ」を「100」に設定。

「白レベル」を「-100」に設定。

「白レベル」を「100」に設定。

「黒レベル」を「-100」に設定。

「黒レベル」を「100」に設定。

 また、「補正ブラシ」や「段階フィルター」を利用した部分的な補正機能も強化されている。新しくパラメーターが増えており、画面の一部だけホワイトバランスを変えたり、ノイズ軽減を行なったりできるようになった。

 例えば、シャドウのトーンを持ち上げる処理をすると、その部分だけノイズが浮いてくる。が、ノイズ軽減をやるとディテール再現が悪くなって、画面全体のシャープネスが犠牲になってしまう。そんなときに、補正ブラシを使って部分的にノイズ軽減を行なうと、画面全体のシャープネスをそこなうことなく気になる部分だけノイズ軽減ができるわけだ。

 色温度の異なる光源の部分だけホワイトバランスを変えるのも、今までならちょっと辛気くさい作業が必要だったが(パラメーターを変えて現像した複数の画像を切り貼りしたりとか)、補正ブラシを使って部分的にホワイトバランスを変えられるのだから、1枚の画像だけで処理できて便利だ。

補正していない状態。

「シャドウ」をめいっぱい持ち上げてみた。

ピクセル等倍で見ると、やはり持ち上げた部分のノイズが浮いているのが分かる。まあ、少しだけどね。

単純に「ノイズ軽減」処理を行なうと、ノイズが目立たない部分までディテール再現が悪くなる。少しですけど。

で、「補正ブラシ」を使って範囲指定をして、その部分だけノイズ軽減処理をやる。

そうすると、画面全体のシャープさはそのまま、ノイズが気になる部分だけ滑らかに仕上げられるというわけだ。

 動画機能の強化も見逃せない。AVCHD動画に対応したのはパナソニックやソニーのユーザーにはうれしいニュースだろう。従来は取り込んで管理できるだけだったのが(再生は外部ソフトまかせだった)、再生はもちろん、不要部分のカットもできるようになったし、ホワイトバランスや露光量、コントラストなどの調整も可能。白黒に変換したり、プリセットを利用してエフェクトを加えたりもできる。そのうえ、H.264やDPX(Digital Picture Exchange)に変換して書き出すこともできる。これもありがたい進化だ。

従来は非対応だったAVCHD動画の取り込みが可能になった。Lightroom内で再生もできる
不要部分のカットができる「トリミング」機能を装備している。
ファイル形式を変えて書き出す機能も追加された。対応形式は「DPX」「H.264」。変換せずに書き出すこともできる。
「クイック現像」パネルから動画の調整も可能になった。
「ホワイトバランス」や「露光量」「明るさ」「コントラスト」などのほか、プリセットを使ってエフェクトを与えることができる。
内蔵の「ビデオクロスプロセス 2」を適用したもの。こういうのができるとけっこう遊べる。

まとめ

 他にも、プリント時の発色などをあらかじめ確認できる「ソフト校正」や、写真を添付した電子メールの送信など、さまざまな新機能が盛り込まれている。

 筆者は、初期のベータ版からずっと使いつづけてきているが、Lightroomの素晴らしい点は、機能面ではどんどん高度になりながら、操作があまりややこしくなっていないところだと思っている。1本でデジタルカメラの“撮ったあと”をほぼすべてカバーできる高機能ソフトでありながら、初心者にも使えそうなほどの使い勝手のよさを保ちつづけてくれている。

 それにお値段も手ごろ。純正ソフトの使い勝手がよくないなぁと感じている人や、複数のメーカーのカメラを所有していて、かつRAWで撮ることが多いユーザーなら、間違いなく買って損はしないソフトだと言える。


現像例

オリジナルのJPEG画像を調整なしで書き出したもの。NEX-5N / E 16mm F2.8 / 絞り優先AE / 1/200秒 / F8 / 0.3EV / ISO100 / WB:太陽光 / 16mm コントラスト: +25、ハイライト:-43、シャドウ: +63、白レベル:-80、黒レベル:-37で調整したもの。

オリジナルのJPEG画像を調整なしで書き出したもの。NEX-7 / E 18-55mm F3.5-5.6 OSS / プログラムAE / 1/50秒 / F3.5 / 1.7EV / ISO400 / WB:太陽光 / 18mm 「プロファイル補正を使用」と「色収差を除去」をオンにしたもの。
ハイライト:-73、シャドウ: +16で調整したもの。ちょっといじっただけで窓の外のトーンが引き出せる。

オリジナルのJPEG画像を調整なしで書き出したもの。NEX-5N / E 18-55mm F3.5-5.6 OSS / 絞り優先AE / 1/100秒 / F5.6 / 0.3EV / ISO100 / WB:太陽光 / 45mm こちらは旧バージョンの「白トビ軽減」をめいっぱい上げたもの。 こちらは新バージョンの「ハイライト」をめいっぱい上げたもの。雲のトーンはこっちのほうがいい。
さらに「シャドウ」を「 +69」にアップしてみた。 「コントラスト」を「 +18」にアップしたもの。


オリジナルのJPEG画像を調整なしで書き出したもの。E-P3 / M. 45mm F1.8 / 絞り優先AE / 1/1600秒 / F2 / -1.3EV / ISO200 / WB:太陽光 / 45mm 「シャドウ」を「 +100」にアップした。ピクセル等倍で見るとトーンを持ち上げた部分に少しノイズが浮いているのが分かる。
画面全体を「ノイズ軽減」したもの。明るい部分のディテール再現がわずかながら落ちてしまう。 「補正ブラシ」を使って部分的にノイズ軽減を行なったもの。画面全体のシャープさをそこなわずに、ノイズが目立つ部分だけ滑らかにできる。
オリジナルのJPEG画像を調整なしで書き出したもの。EOS Kiss X4 / EF-S 60mm F2.8 Macro USM / 絞り優先AE / 1/100秒 / F5.6 / -0.7EV / ISO500 / WB:太陽光 / 60mm 普通の蛍光灯の部分だけホワイトバランスを変えてみた。ま、こういうこともできるってこと。




北村智史
北村智史(きたむら さとし)1962年、滋賀県生まれ。国立某大学中退後、上京。某カメラ量販店に勤めるもバブル崩壊でリストラ。道端で途方に暮れているところを某カメラ誌の編集長に拾われ、編集業と並行してメカ記事等の執筆に携わる。1997年からはライター専業。2011年、東京の夏の暑さに負けて涼しい地方に移住。

2012/3/30 00:00