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【新製品レビュー】富士フイルム「FinePix Z900EXR」

〜“EXRモード”を搭載したスタイリッシュモデル
Reported by 水咲奈々

 4月に発売された本機は、新開発の「EXR CMOSセンサー」を搭載した機種です。FinePixのラインナップ上では、スリムなボディと高性能な機能を併せ持つ“スタイリッシュスリム”に位置付けられています。

FinePix Z900EXR(レッド)

 この新開発のEXR CMOSセンサーは、高感度と低ノイズを実現する裏面照射型CMOSセンサーをベースとして生まれたイメージセンサーで、技術や知識がなくても誰でも高性能・高画質の写真が撮れることがウリとなっています。

 有効画素数は1,600万画素で、レンズは35mmフィルム換算で28-140mm相当。光学ズームは5倍、絞り値はF3.9-F8でもちろんフジノンレンズを使用しています。液晶モニターは前機種の「FinePix Z800EXR」(2010年8月発売)同様、3.5型ワイドのタッチパネルタイプです。

タッチ自動追尾を新搭載

 新機能の撮影モード「プレミアムEXRオート」は、49パターンのシーンから人物のあり/なし、逆光かどうか、海のようなコントラストの高い場所か、暗いところかなどの撮影条件から最適な撮影を行なってくれる機能で、カメラ任せでキレイな画像が得られます。

モード選択画面

 明るいときは、木の葉や人や動物の毛などをくっきり描写して見た目に近い画像を得ることができる「高解像度優先」に、明暗差があるときは、1回の撮影で高感度と低感度の画像を合成して、白トビ・黒ツブレを抑えた階調ある画像を再現する「ダイナミックレンジ優先」に、暗いときは、従来機種より約4倍の高感度を実現してクリアな明るさを得ることができる「高感度低ノイズ優先」に自動的に切り換わります。

EXRモードでは、プレミアムEXRオートを含む4種類から選択できる 高解像度優先
高感度低ノイズ優先 ダイナミックレンジ優先

 同じく新機能の「タッチ自動追尾」は、タッチした被写体が動いてもピントを合わせ続けてくれる機能なので、動物や動き回る子供などの撮影に最適です。ですが、高い頻度でフレームアウトしてしまったり、あまりにも素早いスピードで動く被写体はさすがに追いきれないこともありました。

タッチEXRオートのほかに、自動追尾してくれるタッチショットも備える

スタイリッシュで持ちやすいデザイン

 カラーラインアップはレッド、ピンク、ホワイト、ブルー、シルバーと女性を意識していることもあってカラフルです。軽くて薄くてポケットに入れておけるお手軽サイズで、つるつるしすぎていないので手から滑り落ちることもありません。まさにスタイリッシュスリム!

スライドバリアを採用した。上面に動画ボタンを装備。また、ズームレバーは前後に突起があって使いやすい

 前面のスライド部がレンズカバーと電源スイッチになっているのですが、カバンの中で勝手に開いて電源が入っちゃっていることが結構ありました。カバンの中で光っているくらいならいいのですが、レンズが汚れてしまうこともあったので、このカバー部分はもっと遊びを無くして硬くしてもいいのではないでしょうか。

再生時にメニューのホームに戻る「HOME」ボタンを装備。スマートフォンを思わせるインターフェースだ 親指部分は滑らないような傾斜が付いている

 また、レンズがかなり左上に寄って付いているので、気を付けないと撮影時に左手の指が写り込んでしまいます。

ワンタッチのマクロ切り替えが便利

 35mmフィルム換算で28-140mm相当の光学5倍ズームレンズを搭載しています。大人数の記念写真や旅行などで広範囲を写す機会が多いコンパクト機の広角端は28mm相当がちょうどいいですね。

 女子的にはきれいなお花を見つけたら寄って撮影したくなってしまうので、望遠端の最短撮影距離が約1mと遠いのは悲しいところですが、ワンタッチでマクロ撮影に切り替えができ、望遠端で20cmまで近づけるのはとてもいい点だと思います。

 全面タッチパネル機種だと、マクロ撮影開始までに何ステップもあってイライラしてしまうこともあるのですが、本機はそんなストレスとは無縁でした。

屈曲光学式の5倍ズームレンズを搭載

 AFの速度は実用的で特に問題はないのですが、液晶モニターのせいか、ピントの山がつかみにくいです。多分合っているだろうとシャッターを押して、液晶モニターを見るのですが自信が持てず、パソコン上で確認してほっとする感じ。

快適なタッチパネルだが……

 タッチパネルのデジカメは多数ありますが、本機のタッチ性能は感度、操作ともに高性能だと思いました。撮影時に軽くタッチしてピントを合わせたりシャッターを切ったりをとても快適に行なえます。

タッチパネルは3.5型とクラス最大級 露出補正は矢印のボタンを押して変更する

 ただ、画像をなぞってページをめくるように再生する機能に関しては難ありです。めくるスピードは早いのですがめくり始めが遅いので、指を感知されたか不安になってもう1度なぞってしまい、結果2〜3枚がペラペラっとめくれてしまったり……。ここは矢印をタッチする画像おくり機能だけでも良かったのでは? と思ってしまいました。

 見やすさに関しては、反射が強くてちょっと見難いのが正直な感想です。屋外では手や体で日陰を作って液晶の確認をしていました。

さすがの色味

 画質は新開発のEXR CMOSセンサーを搭載しているだけあって、高感度も解像度もコンパクト機としては文句ない画質といえるでしょう。ワイドダイナミックレンジなどは、わざとコントラストの高い所で意地悪な実験をして試してみたくなってしまうくらい、いい出来です。

撮影メニュー 同社製フィルムのシミュレーションも可能

 欲を言えば、高感度に関してはもうちょっとがんばって欲しいかも知れません。常用として使えるのはISO400がギリギリ限界です。ISO1600が常用感度として使えるスリムなコンパクト機を開発するのは富士フイルムさんだと思っているので、この調子で高感度性能を磨き続けて行って下さい!

 色味に関してもさすがフィルムメーカー。派手過ぎず地味過ぎないちょうどいい色味を再現しています。

カメラを持って回るだけで360度のパノラマ写真を合成できる

動画はフルHD(1,920×1,080ピクセル)での撮影が可能で、逆光に近い状態でもハレーションを起こさずに、見た目に近い色合いの動画を撮影することができました。風の音を拾いやすいのは……しょうがないところでしょうか。

HDMI端子でフルHDをテレビに出力できる

便利な「2画面再生機能」

 これは便利です! 再生時にカメラを縦にすることで、下のサムネイルから選んだ画像を上のプレビュー画面に表示することができるのですが、同じような画像がいっぱいあるときに重宝しました。

2画面表示では、本体を縦にすると下にサムネイル、上に選択画像が拡大できる 2枚を同じく並べて比較できる「2画面比較」もある

 そして、色々な画像を一度に見ることができるので、画面が華やかで、単純に楽しい気持ちになれます(笑)。

まとめ

 改善して欲しいのは起動の遅さ。レンズカバーを開いてからロゴを表示して撮影ができるようになるまで5秒程度かかるのは、カメラとしてかなりのマイナス要素になってしまいます。

 電池の持ちはいい方で、フルHD動画を撮っても予想以上に減りませんでした。全面タッチパネル機でこの電池の持ちは優秀です。

 スリムでデザイン性の高いボディに、よくこれだけの高性能技術を盛り込んだな〜というほどがんばっている機種なので、今期新しいコンパクト機を探している人にオススメできるモデルです。

バッテリーおよびメモリーカードスロット 付属の充電器とバッテリー

実写サンプル

  • 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像をダウンロード後、800×600ピクセル前後の縮小画像を表示します。その後、クリックした箇所をピクセル等倍で表示します。
  • 縦位置の画像は非破壊で回転させています。

・画角

広角端(28mm相当)/FinePix Z900EXR / 4,608×3,456 / 1/320秒 / F3.9 / 0EV / ISO100 / プログラム / WB:オート / 5mm 望遠端(140mm相当)/FinePix Z900EXR / 4,608×3,456 / 1/170秒 / F4.9 / 0EV / ISO100 / プログラム / WB:オート / 25mm

・歪曲収差

 ないわけではないけれど、それほど気にならない程度の収差です。ただ、望遠側でカメラを下方向に向けて正方形の物などを撮ったりするような、テーブルフォト撮影時には気になってしまうかも。

広角端/FinePix Z900EXR / 4,608×3,456 / 1/500秒 / F6.2 / 0EV / ISO100 / プログラム / WB:オート / 5mm 望遠端/FinePix Z900EXR / 4,608×3,456 / 1/400秒 / F8 / 0EV / ISO100 / プログラム / WB:オート / 25mm

・ダイナミックレンジ

 なによりも高解像度優先がキレイ! 白い花は白く、バンビの置物の茶色いグラデーションも忠実に再現しています。

 この機種のウリでもある、白トビと黒ツブレを抑えるワイドダイナミックレンジですが、右側の花のように白い被写体の割合が多すぎると、白とびを抑えるというよりも、全体の画像が暗くなってしまうことも……。この機能は室内撮影で白トビを抑えようとする使い方より、ピーカンの屋外の方が活躍しそうですね。

(参考)FinePix Z900EXR / 4,608×3,456 / 1/8秒 / F4.7 / +0.7EV / ISO100 / 高解像度優先 / WB:オート / 11.8mm
Dレンジ100%/FinePix Z900EXR / 3,264×2,448 / 1/28秒 / F4.7 / +0.7EV / ISO400 / ダイナミックレンジ優先 / WB:オート / 11.8mm Dレンジ200%/FinePix Z900EXR / 3,264×2,448 / 1/27秒 / F4.7 / +0.7EV / ISO400 / ダイナミックレンジ優先 / WB:オート / 11.8mm Dレンジ400%/FinePix Z900EXR / 3,264×2,448 / 1/30秒 / F4.7 / +0.7EV / ISO400 / ダイナミックレンジ優先 / WB:オート / 11.8mm
Dレンジ800%/FinePix Z900EXR / 3,264×2,448 / 1/15秒 / F4.7 / +0.7EV / ISO200 / ダイナミックレンジ優先 / WB:オート / 11.8mm Dレンジ1600%/FinePix Z900EXR / 3,264×2,448 / 1/30秒 / F4.7 / +0.7EV / ISO400 / ダイナミックレンジ優先 / WB:オート / 11.8mm  

 上記を踏まえて晴天下で撮影。ダイナミックレンジ100%と1600%の違いは一目瞭然でした。金色に光る建造物に引かれて暗くなる空と、画像下部の屋根の下の黒つぶれした部分が救済されています。

(参考)FinePix Z900EXR / 4,608×3,456 / 1/750秒 / F7 / 0EV / ISO100 / プログラム / WB:オート / 5.6mm
Dレンジ100%/FinePix Z900EXR / 3,264×2,448 / 1/680秒 / F7 / 0EV / ISO100 / ダイナミックレンジ優先 / WB:オート / 5.6mm Dレンジ200%/FinePix Z900EXR / 3,264×2,448 / 1/680秒 / F7 / 0EV / ISO100 / ダイナミックレンジ優先 / WB:オート / 5.6mm Dレンジ400%/FinePix Z900EXR / 3,264×2,448 / 1/750秒 / F7 / 0EV / ISO100 / ダイナミックレンジ優先 / WB:オート / 5.6mm
Dレンジ800%/FinePix Z900EXR / 3,264×2,448 / 1/1,000秒 / F7 / 0EV / ISO200 / ダイナミックレンジ優先 / WB:オート / 5.6mm Dレンジ1600%/FinePix Z900EXR / 3,264×2,448 / 1/1,000秒 / F7 / 0EV / ISO400 / ダイナミックレンジ優先 / WB:オート / 5.6mm  

・感度

 ISO400くらいから画像の荒れが目に付いて来ます。ですが、ISO400からISO1600の画像の荒れはそれほど違わないので、クリアな画像を求めるならISO200まで、暗い所での撮影は一気にISO800まで上げてしまってもいいでしょう。ISO1600は常用としてはちょっと厳しい画質ですが、コンパクト機としては上位に入るクリアさです。

※共通設定:FinePix Z900EXR / 3,264×2,448 / F4.7 / +0.7EV / 高感度低ノイズ優先 / WB:オート / 11.8mm

ISO100 ISO200 ISO400
ISO800 ISO1600

 続いてキャンドルの光源というかなり意地悪な状況で撮影。さすがにISO200までは暗すぎて分かりにくいかもしれませんが、左上のキャンドルの容器のフチの滑らかさで比較。

 ISO400は全体が明るくなったのと比例して全体にノイズが乗りました。ISO800は全体が見える程度に明るく、ISO1600は物の色が分かるくらいまで明るくなりましたが、ノイズの頻度はISO400から比べるとそれほど増えていません。作品として大きく引き伸ばしたりしない記念写真や夜の記録的なスナップなどに使える、かなり高性能な高感度と低ノイズ技術といえるでしょう。

※共通設定:FinePix Z900EXR / 3,264×2,448 / F4.9 / 0EV / ISO100 / 高感度低ノイズ優先 / WB:オート / 14.6mm

ISO100 ISO200 ISO400
ISO800 ISO1600

・フィルムシミュレーション

プロビア/FinePix Z900EXR / 4,608×3,456 / 1/45秒 / F3.9 / 0EV / ISO100 / プログラム / WB:オート / 5mm ベルビア/FinePix Z900EXR / 4,608×3,456 / 1/42秒 / F3.9 / 0EV / ISO100 / プログラム / WB:オート / 5mm
モノクロ/FinePix Z900EXR / 4,608×3,456 / 1/40秒 / F3.9 / 0EV / ISO100 / プログラム / WB:オート / 5mm セピア/FinePix Z900EXR / 4,608×3,456 / 1/40秒 / F3.9 / 0EV / ISO100 / プログラム / WB:オート / 5mm

・連写

 最高で12枚/秒の撮影が可能です(約400万画素相当)。カメラを三脚に設置して、顔をタッチしてピントを合わせたまま自動追尾撮影。顔のブレは抑えられていますが、若干ピントがあまくなっているような……。

撮影しているところ

・ぐるっとパノラマ

 最大360度のパノラマ画像の撮影が可能です。カメラを液晶に表示される線と矢印に沿って動かして撮影するのですが、慎重にゆっくり動かしていたら「撮影できないのでもっと早く動かしてください」とカメラに怒られてしまいました(笑)。カメラ位置は縦でも横でも撮影可能です。

FinePix Z900EXR / 7,680×720 / 1/450秒 / F7 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 5.6mm

・レイアウトフォト

 カメラ内で好きな画像を組み合わせて1枚の組写真を作成する機能です。画像の縦横の変更やズーム、左右の位置の調整など細かい設定ができます。動作もさくさく動くので作成ストレスはほぼゼロでした。

レイアウトは4パターンから選択できる 各写真の大きさと位置を設定可能。個別に回転もできる
FinePix Z900EXR / 640×480 FinePix Z900EXR / 640×480
FinePix Z900EXR / 640×480 FinePix Z900EXR / 640×480

・そのほか

「顔キレイナビ」は人の顔を検出して、ピント合わせと最適な明るさにしてくれます/FinePix Z900EXR / 4,608×3,456 / 1/20秒 / F4.4 / 0EV / ISO100 / プログラム / WB:オート / 7.7mm
FinePix Z900EXR / 4,608×3,456 / 1/70秒 / F4.8 / 0EV / ISO100 / プログラム / WB:オート / 13.1mm FinePix Z900EXR / 4,608×3,456 / 1/100秒 / F4.6 / 0EV / ISO100 / プログラム / WB:オート / 10.5mm
FinePix Z900EXR / 3,456×4,608 / 1/140秒 / F3.9 / 0EV / ISO100 / プログラム / WB:オート / 5mm FinePix Z900EXR / 3,456×4,608 / 1/60秒 / F4.4 / 0EV / ISO250 / プログラム / WB:オート / 7.7mm

・フルHD動画

  • 動画作例のサムネイルをクリックすると、未編集の撮影動画をダウンロードします。
  • 再生についてのお問い合わせは受けかねます。ご了承ください。
H.264 / 1,920×1,080ピクセル / 30fps / 27MB





水咲奈々
(みさきなな)東京生まれ。舞台役者、ナレーター、スチールモデルなどを経て撮られる側から撮る側に。独学で写真を学びセルフを含むポートレートをメインに撮り始める。2007年に写真を持ち込んだ月刊カメラマンに(なぜか)編集として入社。新しい機種にいち早く触れる環境に狂喜する。色々な側面から写真に携われる編集業務にはまり、2010年フリーの編集として独立。撮って、書けて、しゃべれる編集として活動中。Twitter:@cosaruru ブログ:http://misakinana.com

2011/5/9 00:00