サイバーショットDSC-HX9Vは、高倍率ズームレンズを搭載したコンパクトデジタルカメラだ。レンズのズーム倍率は16倍。しかも焦点距離24mm相当(35mm判換算)からのスタートということで、広角から超望遠撮影までを幅広くカバーできる。
それでありながら、普通のコンパクトデジカメとして手軽に持ち歩けるサイズを実現しているのも特徴。しかもフルHD動画、GPS機能、高速連写、3Dなど、多彩な機能を備えているのがDSC-HX9Vだ。
上位機種に光学30倍ズームのサイバーショットDSC-HX100Vがあるが、一眼レフカメラライクなスタイリングでボディが大きめ。下位モデルのサイバーショットDSC-HX7VはDSC-HX9Vよりコンパクトだが、光学ズームが10倍になってしまう。
筆者がDSC-HX9Vを選択したのはやはりそのバランスだ。光学16倍ズームであることを考えれば、DSC-HX7Vより少し大きなボディサイズは許容範囲内。さらに広角端が24mm相当で、DSC-HX7Vの25mm相当、DSC-HX100Vの27mm相当と比べても、広角側に寄っているのもポイントだ。
逆にいうとDSC-HX7Vが持つポケットに入る薄さや、DSC-HX100Vの圧倒的な高倍率ズームの恩恵が受けられないことになるが、1台で幅広いシーンをカバーできるのに比較的小型で軽量、というバランスの良さも捨てたがいものがある。
DSC-HX9Vの特徴といえば、有効1,620万画素1/2.3型の裏面照射型CMOSセンサー「Exmor R」、光学16倍のGレンズ、最速約0.1秒のAF、1080/60pにも対応したフルHD動画機能、広角端で従来比約10倍の補正効果を示す手ブレ補正機能「アクティブモード」、3D静止画撮影機能、GPS機能……などだ。
16倍ズームが使えるフルHD動画とアクティブモードで、ビデオカメラ代わりにも使えそうだし、3D静止画、GPSなども楽しく便利そうだ。まずは、第1回目としては、期待の光学16倍ズームと新しい撮像素子をチェックしてみたい。
DSC-HX9Vのレンズは、非球面レンズ4枚を含む7群10枚構成のソニーGレンズを採用。焦点距離は4.28-68.48mmで、35mm判換算の焦点距離は24-384mm相当(4:3時)、25-400mm相当(16:9時)になる。撮影可能距離は、広角端でレンズ前約5cm〜、望遠端で約120cm〜。
ボディの中央やや右寄りに配置された大型レンズ |
広角端から望遠端までのズーム速度は3秒ほど。高速な方ではないが、特に不満は感じない。広角端は糸巻き型の歪曲収差があるが、望遠端は良く補正されている。画角に太陽が入るとフレアが出て解像感が減少するため、あまり逆光耐性は強くない印象だ。
広角端 | 望遠端 |
基本的にはコンパクトデジカメの高倍率ズーム機であるから、レンズ性能自体は決して良好ではないし、開放F値がF3.3-F5.9というのも、広角端に関してはもうひとがんばり欲しかったところではある。
シャッターボタンは大きめで感触も良く、ズームレバーも軽く操作できる。大振りではないがグリップもあって望遠撮影時にも構えやすい |
それでも、利便性は非常に高いレンズだ。広角から望遠までをカバーし、通常の撮影ではほとんど不満は感じない。
撮像素子は有効画素数1,602万画素1/2.3型Exmor Rセンサーで、従来モデルの1/2.4型有効1,020万画素センサーに比べると大幅に高画素化している。高画素化に伴い解像感は向上しており、高倍率ズームレンズながら細部の再現は良くなっている。ただ、低感度でざらつく感じのある特徴はそれほど改善されているようには見えない。
高感度時の画質に関しては今後検証するとして、高画素化による恩恵については確かにあり、1,020万画素だった頃と比べての画質低下も大きくは感じない。
ハイコントラストの被写体でのパープルフリンジが出ることがあり、逆光耐性にもやや課題を感じるほか、広角端に比べた望遠端の画質など、レンズに関してはもう一がんばりが欲しいのは確かだが、どんな場面でも手軽に利用できる、広角と望遠をカバーするメリットや、そのほかのメリットと比較して許容できるかどうかだろう。個人的には、サブカメラとして1台持ち歩くのが便利なカメラとしては十分な性能を備えていると思う。
- 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像をダウンロード後、800×600ピクセル前後の縮小画像を表示します。その後、クリックした箇所をピクセル等倍で表示します。
・作例
2011/4/6 14:33