リコーGXR【第3回】

最近気に入ったアクセサリー3点

Reported by 本誌:折本幸治


 前回、GR LENS A12 50mm F2.5 MACRO使用時にMFでのピントの山が掴みにくいとの感想を書いたが、その後、液晶モニターの輝度を最大に上げることで、あっさりと問題が解決した。バッテリーの持ちが若干悪くなるものの、特に近距離の被写体の輪郭が見やすくなる。最高輝度にした3型92万ドットの液晶モニターは美しく、画面拡大(MENUボタン長押し)を使用せずとも、ピント合わせが簡単になった。

 ただし、GWに日差しの強い海外ビーチリゾートで使ったときは別。視認性がはっきりと落ちるのを体感した。画面全体が暗くなり、フォーカスだけでなく、露出や色味についても信用できないレベル。再生画像の表示も見にくくなるなど、ストレスが溜まる。

 もっとも暗くなるだけであり、反射してまったく見えなくなることはない。この状況で被写体の位置や構図を確認できるところはすごいと思うが、近距離でのAFに難儀するGR LENS A12 50mm F2.5 MACROだけに、夏に向けて少々不安を覚えたのは確かだ。


 

やっぱり欲しい外付けEVF

 そこで威力を発揮したのが、外付けEVFの「VF-2」だった。周囲の明るさに関係なくフレーミングに集中できるので、旅行中はたいへん役立った。ドット数は92.2万ドット。精細感が高く、色がクリアでとてもきれい。背面液晶モニターと色味の差がないのも評価できる。

VF-2を取付けたところ。VF-2の価格は2万3,100円
VF-2はGXRのアクセサリーシューとその下の専用端子に接続する
上方向にチルトが可能。いわゆるウエストレベルでの撮影が体験できる
VF-2の上面。右下のダイヤルは視度調整用VF-2側の接続部

 実用的な利点だけではない。EVFといえども、ファインダーをのぞいて撮るのはやっぱり楽しい。メモ代わりにとGXRをとり出したのに、いつの間にか凝ったアングルを探して何カットも撮ってしまう。視野が周囲をシャットアウトされた仕上がり状態にあるからだろうか。つい盛り上がってしまうのだろう。

 ちなみにリコーのVF-2は、現在最高レベルの表示品質を誇るオリンパスのVF-2(リコーのVF-2と同名)に比べて小振りで、表示倍率が一回り小さい。旧来のリコー製EVF「VF-1」からすると格段に広いとはいえ、もう少し外観を大きくしてでも表示倍率を上げてほしかったところだ。ただしGXRのボディ上面にはポップアップストロボがあり、VF-2の横幅は、ポップアップストロボに干渉しないギリギリのサイズになっている。ポップアップストロボの同時利用を考えると、このサイズが限界なのだろう。

 いま、自分の中で一番熱いVF-2の利用法が、撮影中の情報表示をすべて消してのぞくというもの。EVFの利便性をあえて捨てているわけだが、被写体や構図に集中して撮れることから、目下のお気に入りとなっている。GR LENS A12 50mm F2.5 MACROを装着したときのクリアな表示は、本当に美しい。表示を全て消すと行っても、シャッターボタン半押しで、シャッター速度、絞り値、ISO感度、AFポイントの表示が出る。プログラムAEや絞り優先AEで、予想以上のスローシャッターになっていることに気づかず撮るミスは防げるというわけだ。

 この状態で設定状況を確認したい場合は、DISPボタンを連打するより、DIRECT画面を表示した方が早い。DIRECT画面のボタンはボディ背面の左上端にあり、3つ並ぶうちの一番外側、さらに唯一表面に凸部があるので、VF-2使用時に手探りで探しやすい。VF-2を使うまで存在を忘れていたDIRECT画面だが、設定ではなく確認のため、しばしば表示するようになった。

収納ケースが付属する
ケースはストラップに取付け可能。少々大きくてかさばる印象だ

 

液晶モニター用遮光ルーペを着脱式にする

 ファインダー的なアイテムという意味でVF-2よりもすごいのが、ユーエヌの「モニタリングPRO-MC MASTER」だ。モニタリングPROはルーペ付き遮光フードというべきアイテムで、最大4:3の3型モニターに対応。詳しくは過去のデジカメアイテム丼でとりあげているので、参照いただければと思う。必要に応じて背面液晶モニターあてがい、再生画を拡大して見るためのものとして出発している。遮光だけでなく、表示画像を高品位に拡大して見せる点が特徴だ。

 ところが4月、ユーエヌは「モニタリングPro取付け枠」という製品を発売。デジタルカメラの液晶モニター部に取り付けることで、モニタリングProを固定するアクセサリーだ。これにより、再生時にあてがうだけだったモニタリングProが、ライブビュー機なら撮影時にも使えるようになった。

モニタリングProシリーズ最上位の「モニタリングPRO-MC MASTER」。オープンプライスで実勢7,980円前後モニタリングPro取付け枠を装着したところ。試作品を撮影したため、製品版とは仕上げが異なる。実勢2,480円前後
取付けるとこうなる。視認性は抜群。あまり意味はないが、VF-2の同時装着も可能

 取付け枠の凸部にモニタリングProの遮光フード先端を引っ掛けるだけという単純な仕組み。取付け枠は両面テープで装着。少し強めの力をモニタリングProに加えると外れてしまうが、着脱が容易という点がまず気に入った。

 この手の製品は従来からあったし、EOS 5D Mark IIがプロの動画制作環境に普及するにつれ、液晶モニターをファインダー代わりにするアイテムは良く見かけるようになった。ただし、簡単に着脱できないため、移動中は外しておき、使いたいときだけ装着するという利用法に合致する製品は少ない。

 早速入手して使ってみると、思惑通りの使い勝手の良さだった。拡大品質はとても高画質で、ピントの山もよく見える。若干糸巻き型に歪んでいるのと、眼鏡をかけた状態だと周囲がケラレがちになるのが残念だが、クラクラするような表示の美しさには文句なしにひれ伏してしまう。GXRだけでなく、3型液晶モニターを搭載するライブビュー機、例えばマイクロフォーサーズ機のユーザーなどにおすすめだ。

 ただし大仰な見た目のため、いまのところ出番はあまりない。ここ一番のマクロ撮影で使いたいと、無理矢理持ち歩いているが、場所を撮るのも難点だ。面白い使い方を見つけたら報告したい。

 

GXR対応を謳う本革ストラップを購入

 話は変わって、GXRで使うストラップについて。この4カ月間、実はストラップをつけていなかった。というのもグリップ形状と重量感のバランスがとても良く、ぶらつきながら撮り歩いているときでも、首や肩に提げる必要を感じなかったからだ。GXRを右手に持ったまま歩いても、吸い付くようなグリップのおかげで、いまのところ落下の危険性を感じたことはない。

 というのは、いささか後づけの理由。本当はGXRのアイレット(ストラップ取り付け部)のサイズが小さく、お気に入りの一眼レフカメラ用ストラップが使えないのが理由だった。汎用的な一眼レフカメラ用のストラップの多くは、先端に幅12mm前後のテープ素材を使っている。これだと7〜8mm幅のストラップを想定したGXRのアイレットに入らない。しかし、7〜8mm幅のストラップは、店頭でほとんど見かけないのが現状だ。というより、先端紐の幅を明記しているストラップが少ない。

 そこで購入したのが、ユリシーズの「クラシコ ピッコロ」というレザーストラップ。もともとあったクラシコという高級ストラップシリーズのひとつで、はっきりとGXR対応を明記しているところが目についた。先端まですべて本革というイタリアンレザーのハンドメイドで、自分には分不相応に感じるほどの高級品だ。

クラシコ ピッコロ。装飾品を買ったかのようなタグがうれしい。価格は5,985円裏面のブランドロゴ。イタリアンレザー使用の表記も
入り組んだGXRのアイレットを通すため、テグスが付いていた。ストラップ先端にテグス用の穴がある
先端まですべて革製。細いストラップだが、いわゆる「ニコン巻き」が可能だった首から下げたところ。一番短いSをさらに最短にしている

 価格は5,985円。カラーはオリーブ、インディゴ、ブラック、チョコレート、ブラウンの5色があり、無難にブラックを選ぶ。サイズはS(90cm)、M(105cm)、L(120cm)の3つから選べる。最近はこうしたサイズ別の販売を目にするようになった。Lはもちろん、たすき掛けへのニーズからだろう。自分の好みからたすき掛けはまずやらないだろうと判断し、Sを選んだ。

 高価な製品だけあって造りはしっかりしており、買ったばかりなのにしなやかで扱いやすい。長くつきあえそうな一品に感じている。こうしたこだわりのアイテムが似合う、GXRのスタイリングの良さも再確認。アクセサリーひとつで、ますますカメラへの愛着がわくのは楽しいものだ。首に掛かる、コンパクトデジカメ以上、デジタル一眼レフカメラ以下の重量感にもすぐに慣れた。

 GXR以外では、同じく幅の狭いストラップを要求されるLUMIX DMC-LX3、HIGH SPEED EXILIM EX-FH25などが対象機種になる。詳しくはユリシーズの該当ページを見てほしい(メーカー純正品以外のストラップの使用は自己責任で)。




本誌:折本幸治

2010/5/17 00:00