勝手な認識だが、「小さいもの」に魅力を感じる人は結構いると思う。筆者もその一人。小さいもの(特にデジタルグッズ)にむやみやたらと興味を持つが、とはいっても小さいものばかりを買っているわけでもない。しかし、「これだけは買わなきゃならない」と感じたのが、オリンパスの「E-P1」だ。その魅力はいくつもある。しかし、とにかく「小さい」のだ。
「小さいデジタルカメラ」という話は、1年ほど前にもデジカメWatchに書いている。その当時はE-420を購入したという話だったのだが、その後1年間、E-420を使ってきた。基本的にはプライベート使用という前提だが、パンケーキレンズ「ZUIKO DIGITAL 25mm F2.8」との組み合わせもよく、頻繁に使ってきた。
高感度の画質とライブビューの操作性に少々不満はあったが、そのサイズにはおおむね満足。ただボディ内手ブレ補正機構がなかったことに加え、コンパクトなオリンパス純正レンズしか揃えなかったため、手ブレ補正がないのが難点。高感度画質の不満と合わせると、薄暗いシーンが多い取材先で利用するにはやはり難しかった。
とはいえ、このあたりははじめから想定していたことなので特に問題はなかったのだが、今年に入って持ち歩くPCがMacBook Pro 15インチからVAIO type Pに変わり、重量が1/4くらいに減ったため、ライターとしての仕事における取材の装備についても、軽量化を考えるようになった。具体的には、これまで仕事で使っていたEOS 40Dをスリム化したいという欲求が高ったのだ。
候補となったのはマイクロフォーサーズの1号機「LUMIX DMC-G1」。かなりの興味はあったし、実際に取材で使っている人に話を聞くと、小型軽量なボディ、強力なライブビューと高速なコントラストAF、バリアングル液晶モニターといった特徴が取材カメラとして最適という意見だった。それでもDMC-G1の購入を見送ったのは、動画を強化した姉妹機の存在が予告されていた点と、オリンパスの存在だ。
DMC-G1の動画強化モデル「DMC-GH1」も、結局見送り。動画性能は魅力的だし、コンパクトなレンズ交換式カメラだと思ったが、あえて従来の一眼レフと同じデザインにされており、それならばE-420でもいいと思えたからだ。
パナソニックのDMC-GH1(左)とDMC-G1。これもコンパクトなシステムだし、かなり食指は動いたが、デジタル一眼レフと同じデザインだったので、今回はちょっと希望と外れていた | オリンパスが展示していたプロトタイプ。これはマイクロフォーサーズ機のデザイン候補のうちの1つだったらしい |
それに対してオリンパスは、たびたびプロトタイプが展示会に出展されていたが、ペンタ部がなく、ボディ上部の軍艦部がフラット。オールドカメラライクなそのスタイルは、従来のデジタル一眼レフカメラにはない形で、ミラーレスのマイクロフォーサーズの特徴を生かすとともに、逆に新しさすら感じさせるデザインに仕上がっていた。
そして登場したのが「オリンパス・ペン E-P1」だ。プロトタイプとはまた異なり、フィルムカメラのペンをベースにしたデザインで、予想よりは大きくなっていたがそれでもコンパクト。
E-P1の発表会で展示されていたフィルムカメラのペンF(右)とE-P1 |
サイズを見てみると、DMC-G1が124×83.6×45.2mm、約385g。E-P1が120.5×70×35mm、約335g。幅自体はそれほど差がないが、高さと厚みに差がある。この差が大きい。そして、トータルでのサイズに影響するパンケーキレンズ「M.ZUIKO DIGITAL 17mm F2.8」との組み合わせがすばらしい。
実のところ、言っていることはE-420のころと変わりはない。大きな違いはE-P1のデザインと、ボディ内手ブレ補正を内蔵したという点に尽きる。ペンFに対して特段の思い入れがあるわけではないが、オールドカメラ特有の郷愁を誘うデザインはいい。何より、このデザインのおかげでコンパクトになった。
そして、シャッタースピード換算で4段分というボディ内手ブレ補正機構のため、薄暗いシーンでシャッタースピードが遅くなっても手ブレの心配が減るというのは大きなポイントだ。このためにE-420は仕事の現場で心もとないシーンもあったので、E-P1は取材先の撮影にも使えそうだ。
重いが利便性の高いEOS 40D+EF 24-105mm F4 L IS USM / EF 70-200mm F2.8 L IS USM+スピードライト580EXというシステムの完全な置き換えまでは難しいだろう。特にマイクロフォーサーズには大口径の望遠ズームレンズがないため、自由に動けない取材の撮影で常用は難しい。
このあたりは使い分けである。大口径ズームレンズが必要なシーンは、そう多くはない。そういうときにはEOS 40Dを持ち出せばいいだけの話だ。普段の取材に、E-P1は十分な実力を発揮してくれるはずだ。
E-420に対してさらにコンパクトになり、パンケーキレンズはさらに広角になり、手ブレ補正が内蔵され、高感度にも強くなったE-P1は、プライベートでもさらに活躍してくれるはずである。
何よりも、こうした自分の嗜好に合う挑戦的なモデルをリリースしてくれたオリンパスに敬意を表する意味でも、これは購入しなければならない。
というのが、E-P1購入に至るまでの経緯である。そういうわけで、早々に予約。そして7月3日の朝、手元にE-P1が届いたのだった。
あとは使い込むだけだ。そのあたりに関しては、今後紹介していきたいと思う。
- 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像を別ウィンドウで表示します。
E-P1 / M.ZUIKO DIGITAL ED-14-42mm F3.5-5.6 / F5.6 / 1/320秒 / ISO100 / WB:オート / 42mm | E-P1 / M.ZUIKO DIGITAL ED-14-42mm F3.5-5.6 / F8 / 1/320秒 / ISO100 / WB:オート / 14mm |
E-P1 / M.ZUIKO DIGITAL 17mm F2.8 / F5.6 / 1/100秒 / ISO100 / WB:オート / 17mm | E-P1 / M.ZUIKO DIGITAL 17mm F2.8 / F5.6 / 1/100秒 / ISO100 / WB:オート / 17mm |
E-P1 / M.ZUIKO DIGITAL 17mm F2.8 / F4.5 / 1/200秒 / ISO200 / WB:オート / 17mm | E-P1 / M.ZUIKO DIGITAL 17mm F2.8 / F10 / 1/500秒 / ISO200 / WB:晴天 / 17mm |
E-P1 / M.ZUIKO DIGITAL 17mm F2.8 / F10 / 1/500秒 / ISO200 / WB:-(ラフモノクローム) / 17mm |
2009/7/6 00:00