ソニーの「NEX-5」が発売されてから1年が過ぎ、姉妹機の「NEX-3」の後継機種「NEX-C3」が発売された。NEX-C3はさらにボディがコンパクトになっているのが特徴だが、動画撮影機能をはじめ、いまだNEX-5の方が機能的に優れている部分もある。
そうした中、新たにNEX-C3に搭載された機能としては「ピクチャーエフェクト」がある。 NEX-C3では、このピクチャーエフェクト機能が標準で搭載されているが、NEX-5でも今回、ファームウェアのバージョンアップで使えるようになった。3Dスイングパノラマが追加されたアップデートに続いて、機能追加がファームウェアで提供されるのはうれしい。
新たに追加されたピクチャーエフェクト機能は、撮影モード内から選択できる | コントロールホイールを回すと、ピクチャーエフェクト機能が次々と切り替えられる。効果も実際の被写体で確認できる |
バージョンアップをすると、撮影モード内にピクチャーエフェクトアイコンが追加される。それを選択すると、さらにエフェクトの選択画面になるので、コントロールホイールを回転させるとエフェクトが切り替わり、画面もそのエフェクトモードに切り替わる。切り替え動作は快適で引っかかりもなく、次々とエフェクトを切り替えられる。
用意されているピクチャーエフェクトは「トイカメラ」、「ハイコントラストモノクロ」、「ハイキー」、「レトロフォト」、「ポスタリゼーション(カラー)」、「ポスタリゼーション(白黒)」、「ポップカラー」、「パートカラー(ブルー)」、「パートカラー(レッド)」、「パートカラー(グリーン)」、「パートカラー(イエロー)」の11種類。
ピクチャーエフェクトを利用している状態で、別のエフェクトに切り替える場合は、コントロールホイールを押して撮影モードを表示させ、そのままもう1度コントロールホイールを押すと切り替え画面になるので、そこから選ぶ形だ。
用意されているピクチャーエフェクトは、トイカメラやハイコントラストモノクロ、ポップカラーのような使いやすく人気のでそうなエフェクトから、一部のカラーだけを抽出するパートカラー、白黒とカラーの2種類から選べるポスタリゼーションも面白い。
静止画撮影だけでなく、動画撮影に関しても、ピクチャーエフェクトを使って撮影できる。NEX-5はフルHDでの動画撮影が行なえ、フィッシュアイコンバーター「VCL-ECF1」を装着してピクチャーエフェクトで撮影すると、なかなか楽しい映像が撮影できる。
ピクチャーエフェクトは撮影モード上に搭載されているため、例えば絞り優先AEやシャッタースピード優先AEと併用するような使い方は行なえない。連写や露出補正、顔検出、画像サイズ、ホワイトバランスの設定は可能だが、ISO感度の変更やオートHDRなどの設定はできない。中でも残念なのは、RAW+JPEGでの撮影ができない点。RAWで通常の画像、JPEGにエフェクト適用画像といった撮影の振り分けができないからだ。
個人的には、撮影モードから選択しなければならないため、簡単に切り替えられない点や、NEX-C3のようにエフェクトの重ねがけができない点、RAW+JPEGの撮影ができない所は気になったが、ファームウェアのアップデートできちんと対応されたことは評価できるし、気軽に撮影のバリエーションを増やすという意味では十分楽しめる機能だ。
今回のファームウェアアップデートではもうひとつ、「ピーキング機能」が追加されている。ピーキング機能は、ピントが合った部分の輪郭を強調表示することで、ピントが合っている位置を視認しやすくする機能だ。NEXシリーズで採用されているコントラストAFは、被写体のコントラスト差の大きさを検出することでピント位置を見つけるが、ピーキングでは、ピントが合っている場所が最もシャープな部分だと判断し、その部分を表示してくれ、ピント合わせを補助してくれる。
ファームウェアアップデートで追加されたピーキング機能 | 3段階から表示レベルを選択できる |
この機能のメリットは、MF設定時に画面の拡大機能を使わなくてもピントが合っているかどうかを把握できるという点だ。また、被写界深度が通常のライブビューより判別しやすくなるケースもある。
ピーキング機能はメニューの撮影設定内の「ピーキングレベル」から設定する。表示するピーキングの量によって高・中・低の3段階から選択でき、「切」を選ぶと機能がオフになる。標準ではピーキングの表示はホワイトだが、レッド、イエローからも選択できる。
ピーキングの色も選べる | ホワイト |
レッド | イエロー |
基本的にはMFの補助機能のため、フォーカス設定が「AF」になっているときには動作しないが、「MF」だけでなく「DMF」(ダイレクトマニュアルフォーカス)設定時にも動作するので、DMFならAF時にもピーキングが動作する。
NEX-5では、シーンによってAF枠が緑色になった場合でもジャスピンにならないことがあり、そういうとき、ピーキング機能を試すとピントが来ていないことが事前に分かる。DMFなら、そのままMFを操作してピント位置を調整できるが、MFアシストで拡大表示をしなくても、ピーキング機能を使えばピントが来ているかどうかの確認も簡単だ。
拡大表示でも、ピーキング表示が行なえる。構図を再確認する必要があるが、ピーキング表示があれば拡大表示しなくてもMFしやすい |
NEX-5は、3Dスイングパノラマなどを追加した最初のアップデートに、ソフトキーのカスタマイズやMFアシストの性能機能、Aマウントレンズ装着時のAF対応などが追加された2回目、そして今回が3回目のアップデートになる。順調に機能が向上しているのが見てとれる上、今回のように、新機種に近い機能を盛り込んでもらえるのもうれしい。今後のアップデートにも期待したい。
- 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像をダウンロード後、800×600ピクセル前後の縮小画像を表示します。その後、クリックした箇所をピクセル等倍で表示します。
ピクチャーエフェクト:パートカラー(イエロー) / NEX-5 / E 18-55mm F3.5-5.6 OSS / 約3.3MB / 4,592×3,056 / 1/80秒 / F5 / 0.0EV / ISO200 / WB:オート / 46mm |
2011/7/20 00:00