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富士フイルムFinePix X100【第1回】

ビューファインダーの自分流セットアップを考える

Reported by 澤村徹


 去る3月5日、話題のハイエンドコンパクト、富士フイルム「FinePix X100」が発売になった。往年のレンジファインダーカメラを彷彿とさせるオールドスクールスタイル、APS-Cコンパクトという高画質志向、そして世界唯一のハイブリッドビューファインダー搭載機として、何かと注目を集めているモデルだ。なかでも新機軸のハイブリッドビューファインダーは、その実力と使い勝手が気になるところだろう。長期リアルタイムレポートの初回は、このハイブリッドビューファインダーの機能を整理し、自分らしく使うためのベストセッティングを考察してみたい。

FinePix X100は、世界唯一のハイブリッドビューファインダーを搭載したデジタルカメラだ

 まずはじめにハイブリッドビューファインダーの仕組みを簡単におさらいしておこう。FinePix X100のファインダーは、OVF(光学ファインダー)とEVF(電子ファインダー)が切り換え式になっている。本体前面のファインダー切換レバーで、ファインダータイプの切り換えが可能だ。OVFは液晶パネルに表示したブライトフレームや撮影情報を投影する仕組みになっており、光学式とはいえきわめて現代的なファインダーである。

 OVFをのぞくと、その明瞭さに驚かされる。特にライブビューに慣れた目には、その吸い込まれるような透明感が新鮮だ。細かい部分では、アイポイント(接眼部から肉眼までの距離)が15mmに設定してあるため、眼鏡使用でもひと目で隅々まで見渡せる。また、シャッターを半押しすると、近接撮影では被写体までの距離に応じてブライトフレームの表示位置がシフトする。いわばパララックス補正を自動的に行ってくれるわけだ。OVFは視野率90%のファインダーだが、この自動パララックス補正のおかげでおおむね狙い通りの撮影ができる。

本体前面のファインダー切換レバーを使い、OVFとEVFを切り換える。一見するとセルフタイマーのようだ DISPボタンを押すと、ファインダーや液晶モニターの表示スタイルが切り替わる。
OVF通常表示
OVFのブライトフレームは、液晶パネルに表示したものを投影している。撮影シーンに依存せず、常に明るいフレームが確認できる
OVFカスタム表示
OVFをカスタム表示に切り換えたところ。グリッドや電子水準器など、表示内容は液晶メニューでカスタマイズできる
パララックス補正前
通常は視野の中央にブライトフレームが表示されている
パララックス補正後
シャッター半押しで、被写体までの距離に応じてパララックス補正が行なわれる

 では、EVFの見え具合はどうだろう。実はこのEVF、0.47型で約144万ドットという、現時点での最高峰クラスに仕上がっている。おそらくこのEVFのみを見たのであれば、十分に納得のいく精細な見え具合だ。しかし、OVFと見比べてしまうと、わざわざEVFをメインで使う理由が見当たらない。やはりFinePix X100は、OVFで撮影してこそ気持ちのよいカメラだ。

 とはいえ、EVFが威力を発揮する撮影シーンもある。まず真っ先に思いつくのは、厳密なフレーミングが必要な場面だ。EVFは視野率100%なので、OVFの視野率90%に勝る。また、MF時に拡大表示できる点もEVFの強みだ。マクロ撮影のようにシビアなピント合わせが必要な場面では、MFの拡大表示が便利だろう。変わりダネの使い方としては、モノクロ撮影が挙げられる。フィルムシミュレーションでモノクロ系を選ぶと、EVFはモノクロ表示に切り替わる。ファインダー切換レバーでOVFとEVFを切り換えると、目の前のシーンがモノクロ撮影時にどのような見え方になるのか、即座に把握できるわけだ。これはハイブリッドビューファインダーの利点を活かした撮影スタイルといえるだろう。

EVF通常表示。約144万ドットのEVFを採用している。EVFとしては高精細で、ハイクオリティな部類だ EVF拡大表示。MFモードでコマンドレバーを押すと、EVFや液晶モニターが拡大表示に切り替わる
EVFモノクロ表示。EVFはフィルムシミュレーションの効果を反映する。撮影結果を事前に把握できるのが強みだ

 ここまでOVFとEVFを比較してきたが、読者の多くがOVFメインで使っていこうと感じただろう。ただし、FinePix X100のファインダー活用は、この先に小さからぬ問題を抱えている。それはファインダーと液晶モニターの関係だ。FinePix X100は当然ながらいまどきのデジタルカメラなので、液晶モニター上でプレビューや撮影情報の確認が可能だ。ここで問題となるのが、ファインダーと液晶モニター、どちらに重点を置くかという点だ。上級カメラユーザーであれば、「OVFメインなら当然液晶モニターはオフ」という決断を下すだろう。ところがこの液晶オフに、ちょっとした落とし穴があるのだ。

 FinePix 100は背面のVIEW MODEボタンで液晶表示のスタイルを切り換えられる。表示スタイルは、ファインダー固定、液晶固定、アイセンサーの3タイプだ。ファインダー固定は液晶モニターが非表示になる。液晶固定はファインダー表示を無効化する。そしてアイセンサーは、通常は液晶表示し、ファインダーに顔を近づけると自動的にファインダー表示に切り替わる。昨今、デジタル一眼レフカメラなどで採用されているおなじみのスタイルだ。

 OVFメインでいくなら、ファインダー固定を選ぶというのがセオリーだろう。ところがファインダー固定といいつつも、OVF選択時はメニュー類を液晶モニターに表示する。つまり、メニュー操作をする際は、ファインダーから顔を離さなくてはならない。これはちょっとしたストレスだ。たとえば、シャッターボタン脇のFnボタンには、ISO感度やNDフィルターなど、使用頻度の高い機能を割り当てられる。ファインダーをのぞいたままFnボタンで割り当てた機能を呼び出したいところだが、いちいち顔を離して液晶モニターを見なくてはならないのだ。

 その代わり、アイセンサーがファインダーに専念できる表示スタイルになっている。VIEW MODEボタンでアイセンサーを選ぶと、すべての表示をファインダーか液晶モニターに集約できるのだ。ファインダーをのぞいた状態であれば、ピント合わせからメニュー操作に至るまで、ファインダー上ですべての表示を確認できる。ファインダーから顔を離した状態であれば、液晶モニターで全表示が確認できるわけだ。

 アイセンサーはファインダーに専念できるのが利点だが、液晶表示とアイセンサーの稼働で電力消費が気にかかる。アイセンサーにするか、ファインダー固定を選ぶか、正直なところ判断が難しい。アイセンサー選択時の電力消費をウォッチしながら、最終的な撮影スタイルを決定したいところだ。

いまどきのデジタルカメラなので、液晶モニターでライブビュー風の撮影も可能だ VIEW MODEボタンを押すと、液晶モニターとファインダーの表示スタイルを選択できる
ファインダー横にアイセンサーを搭載する。顔を近づけると、自動的に液晶からファインダー表示に切り替わる

 実際の撮影では、OVFを中心に、適宜EVFに切り換えながら操作してみた。切り換えるタイミングは、厳密にフレーミングしたいとき、そして露出補正の結果を事前に把握したいときも自ずと前面のファインダー切換レバーに指が伸びていた。気軽なスナップであればほぼOVFで通せるが、FinePix X100のおもしろさは、やはりファインダーのスイッチングというお作法にある。初モノの目新しさもあり、ファーストショットでは思いのほかひんぱんに切り換えながら撮影していた。なお、マクロモード時は自動的にEVFに切り替わる仕様だ。

 撮影時、露出決定には多少難儀した。EVFと液晶モニターの見え方、撮影中と撮影後のプレビューに少なからずちがいがある。また、パソコン用モニターでの見え方も含め、どこに基準をおいて撮るべきか、悩む場面は少なくなかった。これに関してはFinePix X100以外のカメラでも多かれ少なかれ当てはまることであり、また、慣れの部分も無視できない。おいおい身体でおぼえていくことになりそうだ。

  • 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像をダウンロード後、800×600ピクセル前後の縮小画像を表示します。その後、クリックした箇所をピクセル等倍で表示します。
FinePix X100 / 4,288×2,848 / 1/40秒 / F4 / -1EV / ISO200 / WB:オート / 23mm FinePix X100 / 4,288×2,848 / 1/1,250秒 / F2.8 / 0.67EV / ISO200 / WB:オート / 23mm
FinePix X100 / 4,288×2,848 / 1/1,250秒 / F2.8 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 23m FinePix X100 / 4,288×2,848 / 1/350秒 / F2.8 / -0.67EV / ISO200 / WB:オート / 23mm
FinePix X100 / 4,288×2,848 / 1/1,000秒 / F2 / -1EV / ISO200 / WB:オート / 23mm FinePix X100 / 4,288×2,848 / 1/250秒 / F2 / -0.67EV / ISO200 / WB:オート / 23mm


(さわむらてつ)1968年生まれ。法政大学経済学部卒業。カメラならびにデジタル関係を得意するフリーライター。デジカメドレスアップ、オールドレンズ撮影など、ひと癖あるカメラホビーを提唱する。2008年より写真家活動を開始し、デジタル赤外線撮影による作品を発表。近著は「OLYMPUS PEN E-P2/E-P1カスタムブック」「GR DIGITALカスタムブック」(ともに翔泳社)他。http://metalmickey.jp

2011/3/10 12:30