ソニーα55【第1回】

発売日に購入! まずはネコカフェで試し撮り

Reported by 伊達淳一


 今日はソニー「α55」の発売日。こんなに発売日が待ち遠しかったカメラは久々だし、“長期リアルタイムレポート”を引き受ける、というより、自分から志願するのもペンタックス「K100D」以来の珍事で、もちろん機材は自腹購入だ。

10日発売のα55。装着レンズはDT 50mm 1.8 SAM

 朝一番でα55を予約していた新宿のカメラ量販店に向かい、α55ボディを購入。昨晩、フル充電しておいたバッテリー(「NEX-5」とバッテリーが共通なのだ)をカメラバッグから取り出し、箱から取り出したばかりのα55に装填。同時購入した32GBのSDHCメモリカードもセットし、ストラップも結んだら、さっそくα55製品版での初撮りだ。

 と、その前に、α55の特徴を簡単に紹介しておこう。α55の機能や特徴、独自のメカ構造等は、すでに新製品速報やメーカーのホームページで詳しく説明されているので、ここでは主な特徴をリストアップしてみると、

  • AF追従10コマ/秒の「連続撮影優先AE」
  • 新開発の3点クロス15点AFセンサー
  • ISO100-12800の幅広い感度設定が可能な1620万画素Exmor APS HD CMOSセンサー
  • AVCHD方式のフルハイビジョン撮影機能(録画中の位相差AFが可能)
  • 視野率100%、倍率1.10倍の電子ビューファインダー「Tru-Finder」
  • バリアングルチルト液晶モニター(縦位置撮影に対応)
  • シーン認識で最適な撮影設定を自動起動するAUTO+
  • ボディ内手ブレ補正
  • スイングパノラマ(3D撮影にも対応)
  • オートHDR(最大6EVのダイナミックレンジ拡大)
  • マルチショットノイズリダクション(6コマ合成によるノイズ低減)
  • デジタル水準器(前後/左右の傾きを検出)
  • GPS内蔵

などなど。エントリーモデル(メーカーでは“メインストリーム”とエントリーよりも少し上のクラスというカテゴリーに分類している)としては、きわめてハイスペック、ハイレスポンスなカメラだ。

 特に、ボクが気に入っているのが、バリアングル液晶モニターと高速なライブビューAFを兼ね備えている点だ。バリアングル液晶モニターを搭載したデジタル一眼レフカメラもあるが、単に液晶モニターを可動式にしただけではダメで、狙った被写体にスッとピントが合う高速なライブビューAFを兼ね備えていないと、バリアングル液晶モニターの自由度は活かせない。

 その点、「α350」以降のソニーのエントリー一眼レフカメラは、ライブビュー専用のイメージセンサーでファインダー像を撮影し、これを液晶モニターにライブビューとして表示することで、ライブビュー撮影時でも位相差AFを使ったすばやいピント合わせを実現している。

 これに対して、α55は、「Translucent Mirror Technology」と呼ばれる新開発の透過ミラーを使った独自の機構を搭載することで、レンズからの光をイメージセンサーに透過すると同時に、ミラーボックス上部にある位相差AFセンサーにも光を反射させている。これにより、常にAFセンサーに光が届くので、ライブビューや動画撮影中でも、高速な位相差AFでピント合わせが可能で、10コマ/秒の超高速連写でもAFが追従するという、エントリーの枠を超えたAF連写性能を備えているのが特徴だ。

 α55でもっとも気になるのが、「Tru-Finder」と呼ばれる電子ビューファインダー(EVF)のクオリティだろう。センサーライブビュー表示なので、視野率は100%、ファインダー倍率も約1.10倍とペンタプリズム方式の一眼レフファインダーよりも高倍率だ。背面の十字ボタンを上方向に押す(DISPボタンを押す)と、デジタル水準器やヒストグラム、グリッドラインの表示に切り替わる。Fnボタンを押すと、画面の両端に設定可能な項目が縦に並び、ファインダーを覗いたままでも各種カメラ設定が可能だ。また、ゴミ箱ボタンで、画面の一部分を7.5倍/15倍に拡大表示することもでき(メニューで設定した場合)、下手な光学ファインダーよりもピント合わせは楽だったりする。

 EVFの有効画素数は115万ドット相当で、RGBを順次切り換えて表示するフィールドシーケンシャル方式のEVFと思われる。α55に望遠ズームを装着し、ゴミ箱ボタンで画面を拡大させた状態でカメラを振ってみると、被写体の輪郭に色ズレが発生するのがわかる。ただ、これはあくまで極端な例で、一般的な撮影では色ズレが気になるケースはさほど多くはないのでは、と思う。

 また、α55は固定式の透過ミラーで、常に位相差AFセンサーに光を届けているので、連続撮影時でもAFセンサーに安定して光が届くのが特徴だが、シャッターを切った瞬間やイメージセンサーからデータを読み出している間は、ライブビュー表示が停止してしまうので、いくら10コマ/秒の高速連写にAFが追従するといっても、動く被写体をフレーム内に捉え続けられるかが問題となる。この点については、この長期リアルタイムレポートで検証していきたいと思う。

 記念すべき初撮りの被写体に選んだのは、やっぱりネコ。バリアングル液晶モニターを使って、楽な姿勢でネコの目線で写真を撮れるからだ。というわけで、元箱が入った紙袋を提げたまま、下北沢の猫カフェ「Prince」を訪れ、ネコとの楽しい時間を過ごすことができた(ネコはめ~わくだったかもしれないけど)。

 使用したレンズは「DT 50mm 1.8 SAM」。開放F値がF1.8と明るく、最短撮影距離も34cmと短いので、ネコ撮りには最適な1本。実売も2万円弱とかなりお買い得なレンズだ。超音波モーター駆動ではないので、フォーカシングのジージーという音がちょっと耳障りなのが惜しいが、ライブビューで高速にピントが合うので、バリアングル液晶モニターと相まって、非常に快適に撮影できた。

 基本的に、ISO感度はオート、ピント合わせはAFまかせという、かなり脱力系な撮影だったが、結果はいかがだろう? まずは記念すべき猫カフェでの初撮り実写画像と、α55のEVFを別のカメラでムービー撮影し、撮影状況や連写音を記録したものをお届けしよう。

実写画像

※作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像をダウンロード後、別ウィンドウで800×600ピクセル前後の縮小画像を表示します。その後、クリックした箇所をピクセル等倍で表示します。

※縦位置の画像は元画像を非破壊で回転させています。

α55 / DT 50mm F1.8 SAM / 4,912×3,264 / 1/80秒 / F2.5 / +0.7EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:オート / 50mmα55 / DT 50mm F1.8 SAM / 4,912×3,264 / 1/100秒 / F2.2 / 0EV / ISO100 / プログラム / WB:オート / 50mm
α55 / DT 50mm F1.8 SAM / 4,912×3,264 / 1/80秒 / F2 / +0.3EV / ISO160 / プログラム / WB:オート / 50mmα55 / DT 50mm F1.8 SAM / 4,912×3,264 / 1/80秒 / F2.5 / 0EV / ISO250 / 絞り優先AE / WB:オート / 50mm
α55 / DT 50mm F1.8 SAM / 4,912×3,264 / 1/80秒 / F2.2 / 0EV / ISO250 / 絞り優先AE / WB:オート / 50mmα55 / DT 50mm F1.8 SAM / 4,912×3,264 / 1/80秒 / F2.5 / +0.3EV / ISO400 / 絞り優先AE / WB:オート / 50mm
α55 / DT 50mm F1.8 SAM / 4,912×3,264 / 1/80秒 / F2 / +0.7EV / ISO400 / 絞り優先AE / WB:オート / 50mmα55 / DT 50mm F1.8 SAM / 4,912×3,264 / 1/80秒 / F2 / +0.7EV / ISO800 / プログラム / WB:オート / 50mm
α55 / DT 50mm F1.8 SAM / 3,264×4,912 / 1/80秒 / F2.5 / +0.7EV / ISO800 / 絞り優先AE / WB:オート / 50mmα55 / DT 50mm F1.8 SAM / 4,912×3,264 / 1/80秒 / F2.8 / 0EV / ISO1250 / 絞り優先AE / WB:オート / 50mm

撮影中のTru-Finderをムービー撮影

AUTO+で撮影。モードを切り換えることなく、静止画と動画を撮り分けられる

 

絞り優先AEで撮影。露出補正やホワイトバランスもライブビューに反映される

 

連続撮影優先AEで撮影。AF追従C-AFで10コマ/秒の高速連写中のTru-Finderだ

 




伊達淳一
(だてじゅんいち):1962年広島県生まれ。千葉大学工学部画像工学科卒。写真誌などでカメラマンとして活動する一方、専門知識を活かしてライターとしても活躍。黎明期からデジカメに強く、カメラマンよりライター業が多くなる。

2010/9/10 18:12