交換レンズレビュー
XF18-135mm F3.5-5.6 R LM OIS WR
防塵防滴の高倍率ズーム FUJIFILM X-T1とのマッチングも良し
Reported by澤村徹(2014/12/4 11:00)
XシリーズのフラッグシップモデルFUJIFILM X-T1は、防塵防滴ボディである。その相棒として登場したのが、高倍率ズームのXF 18-135mm F3.5-5.6 R LM OIS WRだ。Xシリーズ初の防塵防滴レンズであり、35mm判換算27-206mm相当の光学7.6倍ズームである。
鏡胴に20カ所のシーリングを施し、防塵防滴を実現。鏡胴内部と下部にベンチレーターを設け、防塵防滴の機密性を保ちつつ、鏡胴内の空気の移動路を確保して快適なズーム操作を実現している。今回はX-T1と組み合わせ、本レンズを実写してみた。
デザインと操作性
本レンズはいわゆる高倍率ズームだが、重量を490gに抑え、ハンドリングしやすいサイズに仕上がっている。レンズ全長はワイド端で97.8mm、テレ端で158mmだ。テレ端ではずいぶんと全長が長くなるものの、重心が変わってホールドしづらいということはなかった。
ズームリングはやや重く、不用意に焦点距離が変わることはない。フォーカスリングは軽くスムーズで、近接時のシビアなピント合わせもやりやすい。現行レンズとしてはめずらしく、本レンズは絞りリングを搭載している。ただし、絞り値は刻印されておらず、液晶やEVF上で絞り値を確認する仕組みだ。
レンズ名にOISと記されている通り、本レンズは手ブレ補正機能を搭載する。高精度ジャイロセンサーを搭載し、5段分の手ブレ補正が可能だ。この5段分というスペックは、他社製品と比べて頭ひとつ抜きん出ている。
高倍率ズームは望遠側で手ブレがシビアになるが、5段分の手ブレ補正機能があれば安心だ。実際、テレ端で1/100秒を切るようなシーンでも、ていねいに撮れば手ブレせずに済んだ。高倍率ズームにとって、この5段分の手ブレ補正機能は実に心強い。
遠景の描写は?
レンズ構成は12群16枚で、2枚のEDガラスレンズと4枚の非球面レンズを採用する。高倍率ズームは普及価格帯モデルであることが多いが、その点本レンズは高画質にこだわりを感じさせる製品だ。
絞りを変えながら遠景撮影してみると、中心部は開放からシャープで、周辺部も1段絞れば引き締まって見える。ワイド端でも開放から周辺光量落ちはほとんど感じられず、絞り値を問わず安定した描写だ。JPEG撮って出しに関しては、ワイド端、テレ端ともに、歪曲もほぼ気にならなかった。
- 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像をダウンロード後、800×600ピクセル前後の縮小画像を表示します。その後、クリックした箇所をピクセル等倍で表示します。
- 縦位置で撮影した写真のみ、無劣化での回転処理を施しています。
ボケ味は?
本レンズは開放F3.5-5.6の暗めのレンズで、大きなボケを稼ぐには被写体に寄る必要がある。標準の最短撮影距離は0.6m、マクロモードでは0.45mだ。
ボケ味はクセがなく、特に望遠側では滑らかな描き方といえる。暗めのレンズとはいえ開放からシャープなので、積極的に開放撮影でボケを稼げるレンズだ。
逆光耐性は?
XF 18-135mm F3.5-5.6 R LM OIS WRは多層コーティングのHT-EBC(High Transmittance Electron Beam Coating)を施してあり、逆光時のフレアやゴーストを低減する。
ワイド端とテレ端でそれぞれ逆光撮影してみると、太陽を入れ込んでもフレアおよびゴーストはほぼ気にならない。光源を外せば逆光下であることすら感じさせないシーンもあるだろう。
作品集
奥のペンギンにピントを合わせ、手前のペンギンをボカす。真円の玉ボケが美しい。
開放からわずかに絞る。蓮のつぼみがシャープに切り立つ。
ほぼワイド端での撮影。歪曲が少ない上に、隅々までしっかりと解像している。
望遠側の開放撮影。合焦部が実にシャープだ。ボケもなだらかで嫌みがない。
とっさにしゃがんで広角側でシャッターを切る。高倍率ズームの柔軟さを実感する。
柵越しでいくぶんコントラストが落ちたが、それでもけっして甘すぎない描写だ。
まとめ
高倍率ズームの強みは、1本で様々なシーンを撮り切れる点だ。本レンズはインナーフォーカス方式でAFも速く、画角はもちろん、動体から風景まで、シーンを選ばず的確な撮影が可能だった。
X-T1に付けるとやや大柄という点は否めないが、重量自体はボディ込みでも約930gに収まり、重いレンズという印象はない。
開放で収差が少ない上に5段分の手ブレ補正を搭載し、カメラ任せ、レンズ任せで気軽にシャッターが切れる。さらに防塵防滴というアドバンテージもあり、安心感の高い高倍率ズームといえるだろう。