交換レンズレビュー

XF18-135mm F3.5-5.6 R LM OIS WR

防塵防滴の高倍率ズーム FUJIFILM X-T1とのマッチングも良し

 XシリーズのフラッグシップモデルFUJIFILM X-T1は、防塵防滴ボディである。その相棒として登場したのが、高倍率ズームのXF 18-135mm F3.5-5.6 R LM OIS WRだ。Xシリーズ初の防塵防滴レンズであり、35mm判換算27-206mm相当の光学7.6倍ズームである。

今回はFUJIFILM X-T1で試用した。発売は7月。実勢価格は税込10万7,460円前後

 鏡胴に20カ所のシーリングを施し、防塵防滴を実現。鏡胴内部と下部にベンチレーターを設け、防塵防滴の機密性を保ちつつ、鏡胴内の空気の移動路を確保して快適なズーム操作を実現している。今回はX-T1と組み合わせ、本レンズを実写してみた。

デザインと操作性

 本レンズはいわゆる高倍率ズームだが、重量を490gに抑え、ハンドリングしやすいサイズに仕上がっている。レンズ全長はワイド端で97.8mm、テレ端で158mmだ。テレ端ではずいぶんと全長が長くなるものの、重心が変わってホールドしづらいということはなかった。

非球面レンズを含む12群16枚のレンズ構成だ。フィルター径は67mm
他のXマウントレンズと同様、光沢感の強いブラックで仕上げてある

 ズームリングはやや重く、不用意に焦点距離が変わることはない。フォーカスリングは軽くスムーズで、近接時のシビアなピント合わせもやりやすい。現行レンズとしてはめずらしく、本レンズは絞りリングを搭載している。ただし、絞り値は刻印されておらず、液晶やEVF上で絞り値を確認する仕組みだ。

ボディ寄りのリングが絞りリングだ。直感的操作で絞りをコントロールできる

 レンズ名にOISと記されている通り、本レンズは手ブレ補正機能を搭載する。高精度ジャイロセンサーを搭載し、5段分の手ブレ補正が可能だ。この5段分というスペックは、他社製品と比べて頭ひとつ抜きん出ている。

手ブレ補正スイッチは側面に搭載。5段の手ブレ補正は強烈な効き具合だ

 高倍率ズームは望遠側で手ブレがシビアになるが、5段分の手ブレ補正機能があれば安心だ。実際、テレ端で1/100秒を切るようなシーンでも、ていねいに撮れば手ブレせずに済んだ。高倍率ズームにとって、この5段分の手ブレ補正機能は実に心強い。

防塵防滴に対応しており、「WEATHER RESISTANT」とプリントされている
ズームのテレ端まで伸ばすと、レンズ全長は158mmになる

遠景の描写は?

 レンズ構成は12群16枚で、2枚のEDガラスレンズと4枚の非球面レンズを採用する。高倍率ズームは普及価格帯モデルであることが多いが、その点本レンズは高画質にこだわりを感じさせる製品だ。

 絞りを変えながら遠景撮影してみると、中心部は開放からシャープで、周辺部も1段絞れば引き締まって見える。ワイド端でも開放から周辺光量落ちはほとんど感じられず、絞り値を問わず安定した描写だ。JPEG撮って出しに関しては、ワイド端、テレ端ともに、歪曲もほぼ気にならなかった。

  • 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像をダウンロード後、800×600ピクセル前後の縮小画像を表示します。その後、クリックした箇所をピクセル等倍で表示します。
  • 縦位置で撮影した写真のみ、無劣化での回転処理を施しています。
広角端―中央部
以下のサムネイルは四角の部分を等倍で切り出したものです。共通設定:X-T1 / 0.67EV / ISO200 / 絞り優先AE / 18mm
F3.5
F4
F5.6
F8
F11
F16
広角端―周辺部
以下のサムネイルは四角の部分を等倍で切り出したものです。共通設定:X-T1 / 0.67EV / ISO200 / 絞り優先AE / 18mm
F3.5
F4
F5.6
F8
F11
F16
望遠端―中央部
以下のサムネイルは四角の部分を等倍で切り出したものです。共通設定:X-T1 / 0EV / ISO200 / 絞り優先AE / 135mm
F5.6
F8
F11
F16
望遠端―周辺部
以下のサムネイルは四角の部分を等倍で切り出したものです。共通設定:X-T1 / 0EV / ISO200 / 絞り優先AE / 135mm
F5.6
F8
F11
F16

ボケ味は?

 本レンズは開放F3.5-5.6の暗めのレンズで、大きなボケを稼ぐには被写体に寄る必要がある。標準の最短撮影距離は0.6m、マクロモードでは0.45mだ。

 ボケ味はクセがなく、特に望遠側では滑らかな描き方といえる。暗めのレンズとはいえ開放からシャープなので、積極的に開放撮影でボケを稼げるレンズだ。

広角端
絞り開放・最短撮影距離(約45cm)で撮影。X-T1 / 1/50秒 / F3.5 / -1.33EV / ISO200 / 18mm
絞り開放・距離数mで撮影。X-T1 / 1/350秒 / F3.5 / -0.33EV / ISO200 / 18mm
絞りF6.5・距離数mで撮影。X-T1 / 1/600秒 / F6.5 / 0EV / ISO200 / 18mm
望遠端
絞り開放・最短撮影距離(約45cm)で撮影。X-T1 / 1/60秒 / F5.6 / -1.33EV / ISO320 / 135mm
絞り開放・距離数mで撮影。X-T1 / 1/320秒 / F5.6 / -2EV / ISO200 / 135mm
絞りF8・距離数mで撮影。X-T1 / 1/25秒 / F8 / -1.67EV / ISO200 / 135mm

逆光耐性は?

 XF 18-135mm F3.5-5.6 R LM OIS WRは多層コーティングのHT-EBC(High Transmittance Electron Beam Coating)を施してあり、逆光時のフレアやゴーストを低減する。

 ワイド端とテレ端でそれぞれ逆光撮影してみると、太陽を入れ込んでもフレアおよびゴーストはほぼ気にならない。光源を外せば逆光下であることすら感じさせないシーンもあるだろう。

広角端
太陽が画面内に入る逆光で撮影。X-T1 / 1/55秒 / F8 / 0EV / ISO200 / 18mm
太陽が画面外にある逆光で撮影。X-T1 / 1/60秒 / F8 / 0EV / ISO200 / 18mm
望遠端
太陽が画面内に入る逆光で撮影。X-T1 / 1/2,000秒 / F8 / 0EV / ISO200 / 135mm
太陽が画面外にある逆光で撮影。X-T1 / 1/2,700秒 / F8 / 0EV / ISO200 / 135mm

作品集

奥のペンギンにピントを合わせ、手前のペンギンをボカす。真円の玉ボケが美しい。

X-T1 / 1/340秒 / F5.6 / 0EV / ISO200 / 135mm

開放からわずかに絞る。蓮のつぼみがシャープに切り立つ。

X-T1 / 1/340秒 / F6.4 / 0EV / ISO200 / 135mm

ほぼワイド端での撮影。歪曲が少ない上に、隅々までしっかりと解像している。

X-T1 / 1/480秒 / F8 / 0EV / ISO200 / 18.5mm

望遠側の開放撮影。合焦部が実にシャープだ。ボケもなだらかで嫌みがない。

X-T1 / 1/400秒 / F5.3 / 0EV / ISO200 / 74.4mm

とっさにしゃがんで広角側でシャッターを切る。高倍率ズームの柔軟さを実感する。

X-T1 / 1/640秒 / F5.6 / 0EV / ISO200 / 18.5mm

柵越しでいくぶんコントラストが落ちたが、それでもけっして甘すぎない描写だ。

X-T1 / 1/250秒 / F5.6 / -1EV / ISO200 / 122.6mm

まとめ

 高倍率ズームの強みは、1本で様々なシーンを撮り切れる点だ。本レンズはインナーフォーカス方式でAFも速く、画角はもちろん、動体から風景まで、シーンを選ばず的確な撮影が可能だった。

 X-T1に付けるとやや大柄という点は否めないが、重量自体はボディ込みでも約930gに収まり、重いレンズという印象はない。

 開放で収差が少ない上に5段分の手ブレ補正を搭載し、カメラ任せ、レンズ任せで気軽にシャッターが切れる。さらに防塵防滴というアドバンテージもあり、安心感の高い高倍率ズームといえるだろう。

澤村徹

(さわむらてつ)1968年生まれ。法政大学経済学部卒業。ライター、写真家。デジカメドレスアップ、オールドレンズ撮影など、こだわり派向けのカメラホビーを提唱する。2008年より写真家活動を開始し、デジタル赤外線撮影による作品を発表。玄光社「オールドレンズ・ライフ」シリーズをはじめ、オールドレンズ関連書籍を多数執筆。http://metalmickey.jp