交換レンズ実写ギャラリー
Vario-Tessar T* E 16-70mm F4 ZA OSS
Eマウント初のツァイス銘ズームレンズ
Reported by 大浦タケシ(2013/9/30 08:00)
ソニーのEマウント用カールツァイスレンズとして2本目、同じくズームレンズとしては初めてのものである。同社では以前からアナウンスしていたので、このレンズの登場を待ちわびていたNEXユーザーも少なくないことだろう。
基本的なスペックとしては、35mmフルサイズ換算の画角は24-105mm相当、ズーム全域で開放絞りF4とする。さらに明るい開放値を希望する向きもあるかと思われるが、鏡筒の大きさおよび質量を考えるとF4が妥当なところといえる。何より、それより明るくなると、価格的にも簡単に手の出せるものではなくなることだろう。
鏡筒のデザインは、先に発売されている「Sonnar T*E 24mm F18 ZA」のテイストを汲む。Eマウントのレンズ自体、元々洗練されたシェイプを持つが、本レンズはその最右翼といってよいもので、シンプルかつスマートな鏡筒だ。付属するフードを装着すると、より精悍な印象となる。フォーカスリング、ズームリングともプラ製のようであるが、ローレットの加工も含め作動感など安っぽさは微塵も感じさせない。フィルター径は55mm。
光学系に関しては、コンパクトな鏡筒にも関わらず非球面レンズ4枚、EDガラス1枚を含む12群16枚のレンズ構成とする。非球面レンズのうちの1枚はより高精度な成形技術によるもので、画面周辺部の高い描写特性のほか、鏡筒のコンパクト化にも大きく寄与しているという。ソニー製カールツァイスレンズは設計もソニーで行ない、その図面などを基にカールツァイスが厳密に精査をし、製造の判断を下しているとのこと。本レンズもそのような経緯を経てきているものと思われる。
実際描写については、カールツァイスの名に恥じないものである。エッジの線の細さは単焦点レンズと見間違うばかりで、しかも画面全域大きく変化することがない。像の流れや極端なシャープネスの低下などどの焦点距離でも皆無といってよいレベル。トーンの再現性も文句ないもので、カメラ側の描写特性と相まって滑らかな階調が得られる。ボケの柔らかさもズームレンズらしからぬものだ。元来、同ブランドのレンズは画質を重視するファンが多いためか、単焦点に人気が集まりやすいが、本レンズの描写を見る限りズームレンズにももっと注目してほしく思える。最短撮影距離は35cm。標準ズームとしては十分なものである。
Eマウントのみならず、カールツァイス全てのレンズのなかで初めてとなる手ブレ補正機能の搭載も見逃せないところ。補正段数は公開されていないが、手持ち夜景モードを選択したときなど心強い。今後Aマウントのカールツァイスレンズなどにも手ブレ補正機構の搭載は波及していくことと思われる。
Eマウントのカールツァイスレンズは、「Touit 2.8/12」および「Touit 1.8/32」も含め4本目。Aマウントでは7本ものラインナップがあるが、同様にEマウントもラインナップの充実を今後期待したいところである。
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