シグマAPO 50-150mm F2.8 EX DC OS HSM

交換レンズ実写ギャラリー
Reported by 大浦タケシ

EOS 7D / APO 50-150mm F2.8 EX DC OS HSM / 約9.6MB / 5,184×3,456 / 1/60秒 / F8 / -0.3EV / ISO100 / WB:オート / 50mm

 ズーム全域で開放F2.8とするデジタル専用望遠ズームである。35mm判フルサイズでの焦点距離で換算した画角は、キヤノンデジタル一眼レフカメラでは80〜240mm相当、ニコンの場合では75〜225mm相当となる。本テキスト執筆時における大手量販店での販売価格は10万9,000円前後となる。

EOS 7Dに装着。価格は13万8,600円。発売日はキヤノン用が4月12日、シグマ用およびニコン用が4月27日

 このレンズに準じたスペックを持つものは、キヤノンおよびニコンの純正レンズでは見当たらない。近いものとして70〜200mm F2.8のスペックを持つものが両カメラメーカーともあるが、より長めの焦点距離とフルサイズ対応であるため、一回りほど大きく重いものとなる。

 また、キヤノンには軽量な70~200mm F4が存在するものの、いうまでもなく開放値は1段暗い。本レンズは、焦点距離を抑えAPS-Cサイズのデジタル一眼レフ専用とすることで、比較的軽量でコンパクトな大口径望遠ズームとしたものである。

 レンズ外装はつや消しに近い処理が施され、鏡筒先端にグレードの高さを示す金の帯を巻く。鏡筒先端寄りにズームリングを備え、フォーカスリングはその後端側となる。

 ズームリングは幅が広く、指を添える場所に迷うことがない。ズーム操作に重きを置く使い方なら、このレイアウトで不足を感じることはないだろう。

 一方、フォーカスリングはズームリングに比べて極端に幅が狭く、ちょっと頼りなく感じられる。しかも手持ちでピントの微調整を行なおうとすると、その位置ゆえにレンズが不安定にもなりやすい。多点測距を搭載するデジタル一眼レフカメラの使用では、ユーザーは積極的にフォーカスエリアを選択して、なるべくピントの微調整を行なわないような撮影方法がこのレンズに適しているように思える。

 描写は、開放からキレがよい。カリカリというほどではないが、画面周辺部も含めしっかりと解像する。色のにじみなどの諸収差も6枚ものSLDガラスを採用しているため、よく補正されヌケのよい描写だ。焦点距離や絞りの違いによる描写の変化も少ないほうである。実写はEOS 7Dで行なったが、オーバー2,000万画素のデジタル一眼レフの使用でも、光学解像度の不足など問題になるようなことはないだろう。

 開放絞りでの周辺減光も、絞ったときの画像と見比べない限り、さほど気にならないレベルである。

 絞り羽根は9枚。円形絞りを採用しており、ボケ味はズームレンズとしては濁りも少なくソフトだ。最短撮影距離はズーム全域で80cmを実現しているのも使いやすいところである。

 切れ込みの深い花形フードは遮光効果が高いうえに、見た目にスタイリッシュ。約4段分の効果が得られる光学式手ブレ補正機構もこのレンズの心強いところである。そつのない描写と大口径の望遠レンズとしては軽量コンパクトな仕上がりで、まとまりのよいデジタル専用望遠ズームである。

EOS 7D / APO 50-150mm F2.8 EX DC OS HSM / 約3.6MB / 3,456×5,184 / 1/320秒 / F5.6 / -0.7EV / ISO100 / WB:太陽光 / 50mmEOS 7D / APO 50-150mm F2.8 EX DC OS HSM / 約6.1MB / 3,456×5,184 / 1/800秒 / F4.5 / 0EV / ISO400 / WB:太陽光 / 150mm
EOS 7D / APO 50-150mm F2.8 EX DC OS HSM / 約5.7MB / 5,184×3,456 / 1/10秒 / F16 / -0.7EV / ISO100 / WB:オート / 95mmEOS 7D / APO 50-150mm F2.8 EX DC OS HSM / 約4.1MB / 3,456×5,184 / 1/800秒 / F2.8 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 150mm
EOS 7D / APO 50-150mm F2.8 EX DC OS HSM / 約4.7MB / 5,184×3,456 / 1/160秒 / F2.8 / +0.3EV / ISO100 / WB:太陽光 / 150mmEOS 7D / APO 50-150mm F2.8 EX DC OS HSM / 約5.4MB / 3,456×5,184 / 1/160秒 / F2.8 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 150mm
EOS 7D / APO 50-150mm F2.8 EX DC OS HSM / 約5.1MB / 5,184×3,456 / 1/320秒 / F2.8 / +0.3EV / ISO100 / WB:オート / 150mmEOS 7D / APO 50-150mm F2.8 EX DC OS HSM / 約5.6MB / 5,184×3,456 / 1/1,000秒 / F2.8 / +0.7EV / ISO100 / WB:オート / 150mm
EOS 7D / APO 50-150mm F2.8 EX DC OS HSM / 約4.5MB / 3,456×5,184 / 1/1,600秒 / F2.8 / +0.3EV / ISO100 / WB:オート / 150mmEOS 7D / APO 50-150mm F2.8 EX DC OS HSM / 約6.6MB / 5,184×3,456 / 1/500秒 / F4 / -0.3EV / ISO100 / WB:オート / 127mm
EOS 7D / APO 50-150mm F2.8 EX DC OS HSM / 約4.6MB / 5,184×3,456 / 1/250秒 / F2.8 / +0.7EV / ISO100 / WB:オート / 150mmEOS 7D / APO 50-150mm F2.8 EX DC OS HSM / 約4.4MB / 5,184×3,456 / 1/2,000秒 / F2.8 / -0.3EV / ISO100 / WB:オート / 150mm
EOS 7D / APO 50-150mm F2.8 EX DC OS HSM / 約6.4MB / 3,456×5,184 / 1/500秒 / F4 / +0.7EV / ISO100 / WB:オート / 150mmEOS 7D / APO 50-150mm F2.8 EX DC OS HSM / 約7.0MB / 5,184×3,456 / 1/320秒 / F4.5 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 150mm
EOS 7D / APO 50-150mm F2.8 EX DC OS HSM / 約9.9MB / 3,456×5,184 / 1/200秒 / F4.5 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 50mmEOS 7D / APO 50-150mm F2.8 EX DC OS HSM / 約5.0MB / 5,184×3,456 / 1/100秒 / F2.8 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 50mm
EOS 7D / APO 50-150mm F2.8 EX DC OS HSM / 約5.5MB / 5,184×3,456 / 1/250秒 / F2.8 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 50mmEOS 7D / APO 50-150mm F2.8 EX DC OS HSM / 約5.8MB / 5,184×3,456 / 1/400秒 / F5.6 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 88mm

EOS 7D / APO 50-150mm F2.8 EX DC OS HSM / 約8.6MB / 5,184×3,456 / 1/60秒 / F5.6 / +0.7EV / ISO100 / WB:オート / 88mm








大浦タケシ
(おおうら・たけし)1965年宮崎県生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業後、二輪雑誌編集部、デザイン企画会社を経てフリーに。コマーシャル撮影の現場でデジタルカメラに接した経験を活かし主に写真雑誌等の記事を執筆する。プライベートでは写真を見ることも好きでギャラリー巡りは大切な日課となっている。カメラグランプリ選考委員。

2012/6/21 00:00