シュナイダークロイツナッハAF 55mm F2.8 LS / AF 110mm F2.8 LS

交換レンズ実写ギャラリー
Reported by上田晃司

P40+ / シュナイダークロイツナッハAF 55mm F2.8 LS / 約19.4MB / 5,484×7,320 / 1/700秒 / F4 / +0.3EV / ISO50 / 55mm

 フェーズワン(Phase One)645シリーズ用のレンズラインナップに、「シュナイダークロイツナッハ(Schneider Kreuznach)AF 55mm F2.8 LS」と「シュナイダークロイツナッハAF 110mm F2.8 LS」が追加された。これによりフェーズワン645用のレンズシャッターレンズは、80mmを含め3本になった。両レンズとも、デジタルバックに最適化した最新の光学設計を採用したという。また、LSの名が示す通り、レンズシャッターを搭載することで、1/800秒のストロボシンクロに対応。さらにデジタルバックのP40+とP65+を使用している場合は、1/1,600秒のストロボシンクロにも対応する。野外でのストロボ使用などには効果を発揮するだろう。

フェーズワン645DFに取り付けたシュナイダークロイツナッハAF 55mm F2.8 LS(左)。右はシュナイダークロイツナッハAF 110mm F2.8 LS

 また、シャッター速度が1/800秒以上になった場合は、フェーズワン645DFならシームレスにレンズシャッターからフォーカルプレーンシャッターに切り替わる。そのため、1/4,000秒までシャッター速度を稼げる。価格はAF 55mm F2.8 LSが39万9000円、AF 110mm F2.8 LSが48万3,000円となっている。

 まず最初にAF 55mm F2.8 LSから見てみよう。レンズ構成は6群7枚で、35mm判換算で焦点距離34mm相当の画角をカバー。今回使用したP40+の場合は、44mm相当の標準レンズとして使用可能だ。最短撮影距離は45cmと近接撮影にも強い。重量は530g。少し重めに感じる。

 このレンズの特徴は、絞り開放から周辺減光が少なく、レンズ周辺まで非常にシャープな点だろう。F5.6くらいまで絞ればさらに画質が安定する。レンズ周辺の流れや色にじみも気になることはなく安心して使用できる。AF精度も高くピントの山もつかみやすい印象だ。フルタイムマニュアルには対応していないのは少し残念だが、AF/MFの切換はリングで行なうので、慣れれば違和感は覚えない。MF時のトルクもあり、非常に操作しやすい印象だ。実際に街スナップで使用したが、撮影しやすい画角と軽快なAFのお陰で、テンポ良く撮影することができた。

 AF 110mm F2.8 LSは、人物撮影から風景撮影まで使い易い画角をカバーするレンズ。35mm判換算で焦点距離68mm相当の画角になる。P40+の場合は、88mm相当の中望遠レンズとして使用可能。レンズ構成は5群6枚となっている。また、中判カメラレンズにしては、開放F値もF2.8と明るいのが特徴だ。重量は700gとズッシリと重い。

 このレンズも最新の設計により、絞り開放から非常にシャープな画像を撮影することができる。レンズ中心から周辺まで安定した画質だ。コントラストも高くヌケが良い。また、ボケも柔らかく線が細いので、繊細な描写も得意とする。最短撮影距離は90cmなので、ある程度の近接撮影が可能となっている。また、AF精度も高いので安心できる。中望遠レンズを選ぶなら迷わずこのレンズを選びたいところだ。

 数日間撮影してみて、両レンズともに4,000万画素クラスのカメラで撮影しても十分余裕のある解像力を体感することができた。また、レンズとボディのバランスが良いため、ハンドヘルドで撮影してもとても快適だった。中判デジタルは35mm判のデジタル一眼レフカメラにくらべて重いので、レンズとボディのバランスは重要。値段に関しては最新の中判用レンズだけあって、やはり高価な印象だが、それに見合った写りをしてくれる。性能と用途を考慮すれば、十分納得できるものだと感じた。

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  • 試用したレンズはともにβ版です。製品版とは異なる可能性があります。

・シュナイダークロイツナッハAF 55mm F2.8 LS

P40+ / シュナイダークロイツナッハAF 55mm F2.8 LS / 約21.0MB / 5,484×7,320 / 1/1,000秒 / F3.5 / 0EV / ISO100 / 55mmP40+ / シュナイダークロイツナッハAF 55mm F2.8 LS / 約24.0MB / 7,320×5,484 / 1/90秒 / F3.2 / -0.7EV / ISO100 / 55mm
P40+ / シュナイダークロイツナッハAF 55mm F2.8 LS / 約19.8MB / 5,484×7,320 / 1/640秒 / F3.5 / +0.3EV / ISO100 / 55mmP40+ / シュナイダークロイツナッハAF 55mm F2.8 LS / 約21.2MB / 7,320×5,484 / 1/2,000秒 / F3.2 / 0EV / ISO100 / 55mm
P40+ / シュナイダークロイツナッハAF 55mm F2.8 LS / 約21.2MB / 5,484×7,320 / 1/180秒 / F3.2 / 0EV / ISO100 / 55mmP40+ / シュナイダークロイツナッハAF 55mm F2.8 LS / 約22.1MB / 5,484×7,320 / 1/350秒 / F3.5 / 0EV / ISO50 / 55mm
P40+ / シュナイダークロイツナッハAF 55mm F2.8 LS / 約22.8MB / 5,484×7,320 / 13秒 / F11 / +0.8EV / ISO50 / 55mm

・シュナイダークロイツナッハAF 110mm F2.8 LS

P40+ / シュナイダークロイツナッハAF 110mm F2.8 LS / 約27.2MB / 5,484×7,320 / 1/250秒 / F2.8 / 0EV / ISO50 / 110mmP40+ / シュナイダークロイツナッハAF 110mm F2.8 LS / 約20.2MB / 5,484×7,320 / 1/160秒 / F3.2 / 0EV / ISO100 / 110mm
P40+ / シュナイダークロイツナッハAF 110mm F2.8 LS / 約16.0MB / 5,484×7,320 / 1/125秒 / F3.5 / -1EV / ISO100 / 110mmP40+ / シュナイダークロイツナッハAF 110mm F2.8 LS / 約20.6MB / 7,320×5,484 / 1/500秒 / F3.5 / -0.3EV / ISO100 / 110mm
P40+ / シュナイダークロイツナッハAF 110mm F2.8 LS / 約19.9MB / 7,320×5,484 / 1/160秒 / F3.5 / 0EV / ISO100 / 110mmP40+ / シュナイダークロイツナッハAF 110mm F2.8 LS / 約21.2MB / 5,484×7,320 / 1/125秒 / F4.5 / 0EV / ISO100 / 110mm
P40+ / シュナイダークロイツナッハAF 110mm F2.8 LS / 約21.6MB / 5,484×7,320 / 1/1,600秒 / F3.5 / 0EV / ISO100 / 110mm

P40+ / シュナイダークロイツナッハAF 110mm F2.8 LS / 約22.1MB / 5,484×7,320 / 1/250秒 / F3.5 / 0EV / ISO100 / 110mm





(うえだこうじ)1982年広島県呉市生まれ。米国サンフランシスコに留学し、写真と映像の勉強しながらテレビ番組、CM、ショートフィルムなどを制作。帰国後、写真家塙真一氏のアシスタントを経て、フリーランスのフォトグラファーとして活動開始。人物を中心に撮影し、ライフワークとして世界中の街や風景を撮影している。現在は、カメラ誌やWebに寄稿している。
ブログ:http://www.koji-ueda.com/

2010/5/27 00:00