切り貼りデジカメ実験室
OLYMPUS STYLUS TG-2で「5円玉レンズ」に挑戦
Reported by 糸崎公朗(2013/11/19 08:00)
5円玉と水滴でレンズをつくる
前々回の記事「リコーGXR用『フレネルレンズユニット』を作る」では100円ショップで買った100円のレンズで写真を撮ったが、今回はそれを下回る“制作費5円”のレンズを紹介しよう。
作り方はとっても簡単で、5円玉に水をちょろっと垂らすだけ。すると真ん中の穴に、表面張力によって水滴が溜まり「5円玉レンズ」が完成する。制作費の5円玉そのものがレンズ本体となるのだ。
この5円玉レンズをデジカメのレンズ前にかざし、撮影する。つまり5円玉の穴に溜まった水滴を、コンバージョンレンズとして利用するのだ。5円玉レンズはマクロモードでなければピントが合わないが、穴そのものが直径5mmと小さいので、カメラもマクロに強い機種を選ぶ必要がある。
そこで今回はOLYMPUS STYLUS TG-2 Toughを使ってみたのだが、このカメラの「スーパーマクロモード」は実に強力で、一眼レフ用マクロレンズを上回る高倍率撮影ができるのだ。さらにもともと防水仕様のTG-2だけに、もしレンズに水滴が付いてもただ拭き取るだけで済む。
というわけで5円玉レンズそのものは水滴に過ぎないから、撮影するうちに落下したり乾燥して消えたりする。だから撮影の度に水を垂らして5円玉レンズを作る必要がある。そこで100円ショップで化粧水などを入れるためのミニボトルを買い、これに水を入れて一緒に持ち歩くことにした。
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まとめ
実は、この5円玉レンズは何かの本でグリコのオマケに、板に空いた小穴に水滴を垂らす方式の虫眼鏡があったのを見て(物資が少ない時代の簡単なオマケ)、それを5円玉に応用してみたのだった。
それでこの「5円玉レンズ」は過去に「デジタル写真生活」(ニューズ出版、現在は休刊)や、「子供の科学」(誠文堂新光社)の連載で取りあげたことがあった。
いずれの連載も「リコーGR DIGITAL」の広角マクロを使って、指でつまんだ5円玉の中に水滴写真が浮かぶ、と言う絵柄を撮ったのだが、単体で見て面白くとも同じシチュエーションの写真がズラリと並ぶと単調で飽きてしまう。
しかし今回使用したTG-2は広角マクロはもちろん、望遠端でもレンズ前約1cmにピントが合う。そのおかげで水滴レンズそのものを拡大撮影することができ、バラエティーに富んだ作品を撮影することができた。
5円玉レンズの水滴レンズによる写真は、何かプリミティブなものを感じるが、それはそもそも人間が「レンズ」というものをガラスで作るはるか以前から存在する、我々人間を含む動物の目そのものが「水を含んだ細胞によるレンズ」のせいもあるかも知れない。
そう言えば、ネットのどこかの記事で読んだことがあるが、ケータイ用の極小カメラ用などに、液体を使ったレンズの研究もされているらしい。
ローテクとハイテクとは、実はメビウスのように繋がって、そうして技術は発展してゆくのかも知れない。