コーワPROMINARレンズ リレーレビュー

テーブルフォト編:自然なボケとストレスのない最短撮影距離

レトロモダンな外観に愛着がわく、頼れる小さな相棒たち

前月よりスタートした「コーワPROMINARレンズ リレーレビュー」。前回は建築写真を切り口に、桃井一至さんがPROMINARの魅力を探った。

今回は西村仁見さんがテーブルフォトに挑戦。3本のPROMINARを駆使した作品を、とくとご覧あれ。(編集部)

左からKOWA PROMINAR 8.5mm F2.8、KOWA PROMINAR 12mm F1.8、KOWA PROMINAR 25mm F1.8(撮影:桃井一至)

コーワPROMINARレンズ(マイクロフォーサーズ用)とは……

古いカメラファンなら名前を聞いたことがある「コーワPROMINARレンズ」が、マイクロフォーサーズ用の単焦点MFレンズで復活。往年のPROMINARの流れをくむ興和光学株式会社が設計・製造するだけあり、オールドファンも納得の見た目と描写力が、レンズマニアの間で話題となっている。

ラインナップは、KOWA PROMINAR 8.5mm F2.8、KOWA PROMINAR 12mm F1.8、KOWA PROMINAR 25mm F1.8の3製品。いずれもブラック、シルバー、グリーンをラインナップする。

詳細はこちらのページで。

テーブルフォトと親和性の高い25mm F1.8

基本的にテーブルフォトは、三脚を使用してカメラを固定し、細かく被写体の位置やピントを微調整しながら撮影します。その際、オートフォーカスよりもマニュアルフォーカスのほうが、より自分の思い通りにピントが合わせられます。今回使った3本のレンズはマニュアルフォーカスのみ。私の場合、テーブルフォトではどのみちマニュアルフォーカスで操作するので、オートフォーカスが使えないというデメリットは感じませんでした。むしろ、しっとりとした重みのあるピントリングの操作感に、安心感を覚えたくらいです。

また、一般的にテーブルフォトでは被写体に近づいて撮影します。今回使ったPROMINARレンズは、3本とも最短撮影距離が短く、開放F値も明る目です。被写体に近づくことで、狙い通りのボケが得られるのはテーブルフォトでの表現において、大きなメリットといえるでしょう。特に、扱いやすい画角と開放F値F1.8の25mm F1.8は、自然なテーブルフォトを撮影するのに向いているレンズと感じます。

もうひとつ。私物に囲まれることのある室内の撮影では、狭い場所での撮影になることも多いです。マイクロフォーサーズ用のカメラと小ぶりなPROMINARレンズの組み合わせは、撮影機材がコンパクトに収まることから、室内での撮影に役立ちそうです。

◇   ◇   ◇

まずはボケ味を生かしたテーブルフォトで一番活用できそうな、25mm F1.8で撮影してみました。35mm判換算で、50mm相当の画角になります。

さすがですね!カーテン越しの柔らかいサイドからの光でも、彩度良好、コントラストの高い描写、シャープなガラスの透明感を再現できました。

さらに開放値F1.8の力で、ふわりとした雰囲気も魅力的です。

KOWA PROMINAR 25mm F1.8 / OLYMPUS OM-D E-M5 Mark II / F1.8 / 1/20秒 / ISO200

洋菓子を最短撮影距離25cmで撮影しました。レンズは25mm F1.8。

35mmフルサイズの50mm単焦点レンズは、最短撮影距離が50cm程度に設定されているものがほとんどです。そうしたレンズをテーブルフォトに使用すると今ひとつ寄りが足りないのですが、このレンズだとここまでアップで撮影できます。

洋梨にかかっているゼリーの質感もきれいに繊細に描写しています。背景のボケも美しく、印象的な作品になりました。

焦点距離50mm相当の画角がもたらす、ナチュラルなパースペクティブも魅力的ですね。

KOWA PROMINAR 25mm F1.8 / OLYMPUS OM-D E-M5 Mark II / F1.8 / 1/40秒 / ISO200

メインの被写体はピンクのプリザーブドフラワーです。白いかすみ草を前ボケに入れて、ボケ味が優しく寄り添うように撮影しました。

ワーキングディスタンスをうまく使えば、前ぼかしを生かした表現も簡単にできますね。後ろボケ、前ボケ、どちらも美しくてクセがなく使える優れものです。

KOWA PROMINAR 25mm F1.8 / OLYMPUS OM-D E-M5 Mark II / F1.8 / 1/10秒 / ISO400

あえて身近な生活感のある小物を撮影してみました。レンズは焦点距離24mm相当(35mm判換算)の12mm F1.8です。

お気に入りのドット柄のランチョンマットの上で毎日使う洗濯バサミが、歯車のように楽しく動き出しそうな感じを演出してみました。

ファインダーを覗きながら撮影すると被写体の位置調整に一苦労だったりするのですが、このレンズは最短撮影距離が20cm。洗濯バサミまで簡単に手が届き、楽に位置調整ができました。作品のバランスを整えやすかったです。

KOWA PROMINAR 12mm F1.8 / OLYMPUS OM-D E-M5 Mark II / F1.8 / 1/50秒 / ISO400

カップとお店の雰囲気の両方をとりいれるため、広角の8.5mm F2.8を使用しました。

カフェの観葉植物がカップから生えているような位置にアングルを合わせて、仰角をつけないようにカメラを固定して撮影しました。

超広角特有の遠近感を最大限に生かし、20cmの距離から撮影。歪みの少ない主題の描写に納得の結果です。本来なら目立ちがちな窓枠の歪みもまっすぐに撮影できました。

ランチタイムやコーヒータイムに注文した品をルポしたいときには最適ですね。

KOWA PROMINAR 8.5mm F2.8 / OLYMPUS OM-D E-M5 Mark II / F2.8 / 1/80秒 / ISO800

テーブルフォトに便利な「寄れるレンズ」。レトロモダンな見た目もGood!

マイクロフォーサーズの特性を生かした最短撮影距離の短いレンズは、テーブルフォトの撮影でとても使い勝手がいいですね。

しかも、ちょっとレトロな雰囲気を持つレンズで、高機能なレンズの持つ優れた描写力だけではなく、見た目の「レトロモダン」な、おしゃれさもとても個性的で魅力的ですね。写真を撮っているという充実感を感じました。重みを感じるレンズの操作感も、手にふれているうちに徐々になじんできて心地良かったです。

このレンズたちを手にした時に、これからも長くつきあえる機材としての愛着が湧いてきます。日常の身近な被写体や、柔らかいボケを生かした撮影をする時には、ぜひそばに置いておきたいレンズです。

制作協力:興和光学株式会社

西村仁見

(にしむら ひとみ)奈良県生まれ。大阪芸大写真学科卒。雑誌編集プロダクションのカメラマンを経て、フリーランス。雑誌、広告を中心に多方面で活躍中。日常生活のスナップ写真を中心にライフワークを制作中。公益社団法人日本写真家協会会員。ニコンカレッジ講師。