デジカメアイテム丼

1万円台で手に入る中判フィルムスキャナーを試す

ケンコー「KFS-1420BF」

同タイプの35mm判専用スキャナーにくらべひとまわり以上筐体は大きい。6×9、6×8、6×7、6×6、6×4.5の各サイズがスキャンできる。

このところ1万円前後と手頃な価格帯の35mm判専用のフィルムスキャナーが人気だ。ケンコー「KFS-1420BF」はその中判専用モデルで、往年の中判カメラユーザーにとって待望のアイテムといえるだろう。発売は1月で、実勢価格は税込1万8,900円前後だ。

パッケージ

本モデルの構造は35mm判専用同様シンプルだ。固定焦点の単焦点レンズを搭載するデジタルカメラと光源として白色LEDを用いたバックライトを本体内部に仕込んだもの、と考えれば間違いない。

本体以外の付属品。右上から取扱説明書、ACアダプター、USBケーブル、120フィルムホルダー、清掃用ブラシ。清掃用ブラシはスキャナー内部のアクリル板に付着したホコリを取り払うもの

いわゆる一発撮りの複写を行うため、かつて一般的だったラインセンサーを用いたフィルムスキャナーのようにスキャン中フィルムを挟んだホルダーがじわじわとスキャナー内部に送られることが無く、スキャン自体に時間を要しないのが特徴である。

スキャナー上部の操作部。ボタンは簡易的なつくりとしている。手前の銀色に光るのが電源ボタン
スキャンした画像データはメモリーカードに記録される。使用可能なメモリーカードはSDHCおよびSD
インターフェースとしてUSB2.0端子を備える。スタンドアローンでの使用の際はACアダプターを接続する

さらに、本モデルでは2.4型の液晶パネルとスキャンした画像を保存するためのSDメモリーカードスロットを搭載しており、パソコンは不要。スタンドアローンでのスキャンを可能とするので、電源(AC)さえ確保できれば設置場所も選ばない。USBケーブルを介してパソコンとの接続も可能で、その際メモリーカードリーダーとして認識される。

撮像素子は1/2.3型CMOSセンサーとし、有効画素数は1,462万。対応フィルムサイズは6×9、6×8、6×7、6×6、6×4.5。最大サイズの6×9の場合では約1,200万画素、6×8では約1,080万画素、6×7では約950万画素、6×6で約800万画素、6×4.5では約600万画素のスキャン画像が得られる。画素数のみでいえば、A4サイズのプリントに十分なものである。

早速スキャン!

手順はカンタンだ。ホルダーにフィルムをセットし、スキャナーに挿入。ホルダーを手動でスライドさせスキャンしたい画像を液晶パネルに表示させる。サイズとフィルムタイプ(カラーポジ/カラーネガ/モノクロ)を選び、OKボタンを押すとスキャンを行いメモリーカードに画像データが書き込まれる。

フィルムをホルダーにセットする。フィルムの表裏に注意してセットしたい
スキャナーの電源を入れる
フィルムをセットしたホルダーをスキャナー本体に挿入。液晶パネルに表示される画像を見ながら、ホルダーの位置を決める
フィルムサイズを選択。選んだサイズに合わせてマスクが現れる
フィルムタイプを選択。カラーネガ/モノクロ/カラーポジから選択を行う
OKボタンを押し、スキャンを開始
画像の濃度を調整する。±2EVまで調整が可能だ

前述のとおりスキャン自体にかかる時間はわずか。筆者はスキャン作業を面倒だと感じることが多く、そのためこれまで撮影したフィルムをこまめにデジタルデータ化してこなかったが、このスキャナーならばそのようなことはなさそうに思える。

さらに、濃度の調整ができるのは便利な部分。最大±2EVまで、1/2ステップで調整を可能とする。もちろん結果は液晶パネルでリアルタイムに確認することができる。

スキャンした画像は極端な色の偏りなどなく閲覧など手軽に楽しむには十分な画質だ。

解像感はさほど高くないが、2Lサイズほどのプリントまでなら十分鑑賞に耐えられそうである。ハッセルブラッド503CW / プラナーT*80mm F2.8 / PROVIA
モノクロフィルムのスキャンでは上々の結果。濃度が調整できるのは便利に思えるところだ。ハッセルブラッド503CW / ディスタゴンT*50mm F4 / Tri-X
ハーフトーンの再現性はなかなかなもの。シャープネスはやや強めにかかるようだ。ハッセルブラッド503CW / ディスタゴンT*50mm F4 / Tri-X
フィルムの画像はやや暗めに仕上がっていたので、スキャン時に濃度を調整している。(モデル:三嶋瑠璃子)ハッセルブラッド503CW / プラナーT*80mm F2.8 / PROVIA
カラーネガの場合、微妙な階調の再現は得意とするほうではない。とはいえ、手軽にスキャンを楽しむには十分なスキャナーだ。ハッセルブラッド503CW / プラナーT*80mm F2.8 / PROFESSIONAL 160PS
カラーネガらしい雰囲気はよく出ているように思える。濃度を浅くするとより面白い写真になりそうだ。ハッセルブラッド503CW / プラナーT*80mm F2.8 / PROFESSIONAL 160PS

もちろん厳密に見ればフィルムの平面性や階調再現性、レタッチ耐性などドラムタイプのような本格的なフィルムスキャナーでスキャンした画像にくらべ及ばないところは多々あるが、その価格や位置付けを考えるとそれらを求めるのは酷といえるものだろう。あくまでも、手軽にフィルムの画像をデジタルデータに変換するデバイスと捉えておくべきである。

スキャンの際、気を付けておきたいのがフィルムに付いたホコリである。このスキャナーに限ったわけではないが、どうしても目立つことが多い。ホルダーにフィルム装着後、必ずブロアでフィルム表面を吹いたうえでスキャナーにセットしたい。画像にホコリが写り込んでしまったときはレタッチソフトで根気よく消すようにしよう。

同タイプの35mmフィルム用スキャナーにくらべ一回り大きいものの、それでもコンパクトにまとまり設置場所をさほど必要としないのも本スキャナーの魅力。かつて中判カメラ愛好家だったひとも、今現在も中判カメラ愛好家のひとも検討に値するフィルムスキャナーだと思う。

大浦タケシ

(おおうら・たけし)1965年宮崎県生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業後、二輪雑誌編集部、デザイン企画会社を経てフリーに。コマーシャル撮影の現場でデジタルカメラに接した経験を活かし主に写真雑誌等の記事を執筆する。プライベートでは写真を見ることも好きでギャラリー巡りは大切な日課となっている。カメラグランプリ選考委員。