相栄電器「Photo Life」

~HDDにたまった写真を快適に活用する画像ソフト

 デジタルカメラの時代になって“写真が趣味”という人でなくとも多くの写真を撮影するようになった。しかし、「いざ撮った写真もHDDにたまるばかり」、「プリントしようにも1枚ずつやるのは面倒」といったことで、写真を死蔵していないだろうか?

Photo Life

 今回は、デジタルカメラ初心者~中級者にオススメしたい画像ソフト「Photo Life」を紹介する。このソフトは画像管理からレタッチまでの機能を備えているが、とりわけプリントやフォトムービーなど“写真の活用”という点が充実しているのが特徴だ。

 価格はダウンロード版が3,980円、パッケージ版が4,980円。HDR画像も作成できる「Photo Life HDR」はパッケージ版のみで5,980円。いずれも対応OSは、Windows XP/Vista/7となっている。

Photo Lifeのパッケージ版Photo Life HDRのパッケージ版

簡単プリントで写真を活用

 Photo Lifeは、画像を「管理フォルダ」と呼ばれるフォルダーに一度登録してから作業を行なうタイプのソフトだ。全ての画像をデータベースにするため、直接フォルダを参照するタイプに比べて、管理機能が強力になっている。

 といっても、画像の登録は簡単だ。基本的には、メモリーカードを読み込む際に自動的にダイアログウィンドウが出るので、それに従えば登録は完了する(もちろんすでにHDDにあるファイルも登録できる)。そのあとは、画面左上の「ガイドメニュー」から行ないたい項目を選んで作業をする流れだ。ガイドメニューは、フォトプリント、インデックスプリント、拡張プリント、写真の編集の5つからなる。では1つずつ見てみよう。

 フォトプリントでは、プリントしたい写真を選んでいくだけで簡単にプリントまでたどりつける。このとき、画面右側にのツールパネルという部分に作業の流れが説明付きで表示され、今何をすればよいのかがわかるという親切な作りになっている。

 写真の選び方も工夫されていて、プリントしたい写真の上にマウスポインタを移動するとプリント枚数を指定する部分が現れる。これの“+”をクリックすれば好きな枚数を指定できる。もちろん複数の写真を別々の枚数で設定できるので、イベントの写真を参加者に配りたいといった時には特に便利だろう。選択が済んだら、先ほどのツールパネルで「用紙の選択」を選んで用紙サイズを設定。その後「印刷の設定と実行」でプリントできる。このときフィルムカメラのような「撮影日」を加えることもできる。この段階でトリミングすることも可能だ。このように、基本的には3ステップでプリントができるのが本ソフトのウリだろう。

「フォトプリント」の画面。右側に作り方の順序が表示されるので操作がしやすい。左側に並んでいる「ドイツ旅行」などのフォルダが「管理フォルダ」で、この上の階層に「カテゴリ」がある。画面では「旅行」という名前のカテゴリを作っているプリントする写真は、マウスポインタを載せると出てくる+マークを押すと指定できる。枚数も自在だ
次に用紙を選ぶ最後に印刷プレビューが出てこのまま印刷できる。この画面でトリミングできるため、レタッチの画面を使わなくても良いのが便利だ。日付を入れることも可能

 同様にインデックスプリントも簡単に作ることができる。インデックスプリントとは、1枚の用紙にフォルダごと複数の画像をプリントするもの。多人数での写真のセレクトや資料作りなどに利用できる。この場合も通常のプリントと基本的な流れは同じだが、あらかじめガイドメニューの「写真の管理」で写真を選択して「フォトクリップ」に入れておく。フォトクリップとは、一時的に選択した写真を収めておけるフォルダの事だ。

「インデックスプリント」の画面。やはり右側に作業手順が表示されるインデックスプリントに含める写真はあらかじめ「写真の管理」で「フォトクリップ」としてまとめておく。画面左下のフォトクリップのボタンを押すと含める写真が表示される
印刷のプレビューを表示したところ。行と列の枚数も任意に指定できる

 ガイドメニューの3番目は「拡張プリント」これは、写真シール、カレンダー、ポスター、CDジャケット、ダイレクトプリント、フリーレイアウトというさまざまなプリント形態をサポートするメニューだ。いずれも専用ウィンドウで作業の流れに沿って作ることができる。ここで使用する写真はPhoto Lifeのサムネイルからドラッグアンドドロップで設定可能だ。拡張プリントではそれぞれテンプレートから体裁を選べる。カレンダーは45種類以上のテンプレートがあり、ポスターは25種類のパターンから選べる。

「拡張プリント」の画面。右側から作りたいプリントを選ぶ写真シールのテンプレート例
こちらはカレンダーのテンプレート例実際に作成したカレンダー。市販品のような体裁に作れる

管理ソフトとしても強力

 ここまで見てきたように写真のプリントに力を入れたソフトであるが、管理機能もなかなか侮れない。まず写真のグループを「カテゴリ」およびその下位の「管理フォルダ」で分けることができる。つまり写真の入れ物が2階層になっているためカテゴリを旅行、運動会、祭り、結婚式などと分けておき、例えば旅行のカテゴリには、行った場所別で管理フォルダを作るということが可能だ。これは大量の写真から目的の写真を素早く探すのに寄与するだろう。

 また「写真の管理」では、キーワード(タグ)を写真に設定して検索できるようになっている。キーワードは自分でも作れるが、あらかじめイベントや旅行などにまつわるものがあるので、それらを適用しておくと後から探す際に格段に楽になるはずだ。

「写真の管理」画面。「キーワード」には初めから多くのイベントなどが登録されている

 それから、並べ替えの機能に「画像評価」という変わった仕組みがある。これは、「代表色評価」と「複雑さ」のいずれかで画像を並べ替える仕組み。前者は写真の中の色が多いもの順に並べ、後者は輪郭情報を検出して複雑な写真の順に並べる機能だ。いずれも比較的近い画像同士で並べる機能と思われ、色々試してみるとおもしろい。ただ謳い文句から想定される状態にはならないことがあり、今後のアップデートに期待したいところ。より実用的な精度になれば、かなり使える機能になると思われる。

「画像評価」による並べ替えの選択ダイアログ。「代表色評価」と「複雑さ」を選択できる
代表色評価で並べ替えたもの(左)と複雑さで並べ替えたもの(右)。なるほどと頷ける並びもあるが、同じような写真が飛んでしまったりと今後の精度向上に期待したい機能だ

 そのほか、5段階のレーティングである「ランク」といった機能も利用可能だ。

 続いて「写真の編集」だが、自動補正からトーンカーブまでフォトレタッチに必要な機能は一通り備えているという印象だ。レイヤー機能やレンズ収差補正機能こそ無いが、このソフトがターゲットにするユーザーなら十分すぎるほど多機能と言える。

 写真の編集では右側のツールから処理を選べる。フォトレタッチの知識があまり無い向きは、「自動補正」や「コントラスト自動調整」を行なうだけでもシャキッとした写真にすることができる。また、ワンタッチで見栄えを良くする「AIフォトエンハンサ」や主に明るさをどのようにしたいのかを選ぶだけで補正できる「画質向上ウィーザード」といったレタッチ初心者向けの機能も是非活用したい。

「写真の編集」画面。右側のメニューから操作を選ぶ

 より細かくフォトレタッチを行なう場合は「標準ツール」をクリックする。ここではトーンカーブ、レベル補正、カラーバランス、色相・彩度トリミング、サイズ変更といったレタッチが行なえる。撮像素子について映り込んでしまったゴミや不要なものを消去できるスタンプツールや覆い焼き、赤目補正機能なども装備している。ペイント機能もあるので、マウスで書いた文字も入れることが可能。補正フィルター類の項目は60種類ほどもあり、さまざまな表現が可能だ。

「標準ツール」を起動したところ。ヒストグラムも表示できる上級者には嬉しいトーンカーブも装備
フィルターやタッチも多くを搭載している。画面は「ペン画」を適用したところペイント機能でマウス書きの文字も入力できる

 またPhoto Lifeは、同社のレタッチソフト「Photo ReColor」との連携も図っている。Photo ReColorがインストールしてあれば、画像をPhoto LifeからPhoto ReColorに受け渡して編集し再度Photo Lifeに戻すことができる。Photo ReColorの詳細は以前のレビュー記事を見て欲しいが、1枚のJPEG画像からHDR画像や3D画像を作れる機能を持っている(3D機能は「Photo ReColor 3D+」のみ搭載)。Photo ReColorのHDR機能はかなりアーティスティックに変換できるもので、カシオのEXILIMシリーズが搭載している「HDRアート」の様な画像を作ることができる。

Photo ReColorのHDR機能を適用したところ。このまま保存すればその結果がPhoto Lifeに反映される

 なお、Photo Life HDRには「Photo ReColor Light」というPhoto ReColorのライトバージョンが付属している。このPhoto ReColor LightでもHDR処理は可能なので、HDRも行ないたい人はこちらを選ぼう。

スライドショー、スクリーンセーバー、フォトムービーも作成できる。切り替えのエフェクトも任意に選択可能

まとめ

 他にも色々と便利な機能があるので、気になった人はWebサイトで確認してみて欲しい。Photo Lifeは、Photo ReColorに画像管理機能を追加して機能強化したソフトだといえる(ただしHDRや3D機能は省かれている)。デジタルカメラの写真も枚数が少ないうちはエクスプローラーなどで管理できても、多くなってくると非常にわかりにくくなるものだ。このソフトは管理機能がこのクラスとしては強力なのでデジタルカメラでどんどん写真を撮りためるユーザーには向いているように思う。

 写真のプリントは比較的頻繁に行なう向きもあると思うが、従来の画像ソフトのように1枚1枚プリントするのは面倒。その点簡単な操作で素早くプリントできるので写真の活用度はグッと向上すると思う。プリンターを持っていない人でも、Photo Lifeには「お店に持って行くメモリーカード」という書き出しメニューもあるので安心だろう。まだ画像管理ソフトを使ったことがないユーザーは、こうしたソフトを検討してみては如何だろうか。





本誌:武石修

2011/11/25 12:38