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特別編:ポートレート撮影で外部バッテリーパックを試す


PS-300の本体。3月11日から開催するフォトイベント「CP+」のニッシンジャパンブースでも展示する予定

 昔に比べると速くなってきたとはいえ、クリップオンストロボのチャージタイムは大型ストロボに比べるとまだまだといえます。それを何とか速くしたいときに便利なアイテムが「外部バッテリーパック」です。

 クリップオンストロボ用の外部バッテリーパックは、ストロボメーカーであるニコンやキヤノンあるいはサンパックなどが純正品として商品化しています。今回は、そうした中でも“業界最速のチャージ速度”を謳うニッシンジャパンの「PS-300」を試用してみました。

 ニッシンジャパンも自社でオリジナルブランドのストロボも発売していますが、ニッシンジャパン製でキヤノンおよびニコン用。つまりキヤノンやニコン側から見るとサードパーティー製となる外部電源です。ストロボ用の外部電源としてはちょっと異色!? かもしれません。

 ニッシンジャパンは約1年前に外部バッテリーパック「パワーパックプロ300N」を発売しましたが、今回試した「PS-300」は汎用だったパワーパック300Nをベースに、ニッシンジャパン、キヤノン、ニコン専用としたモデルです。また、パワーパック300Nには無かった3段階の出力切替え(フル出力、1/2、1/4)機能を新たに搭載しています。対応ストロボですが、ニッシンジャパン製が「Di866」、キヤノン製が「580EX II」、「580EX」、「550EX」、ニコン製が「SB900」、「SB800」となっています。

 かつてストロボ用の外部電源といえば積層タイプの一次電池が主流でしたが、その積層電池も製造終了となり現在ではニッケル水素電池を昇圧しての高速チャージが主流です。PS-300もニッケル水素電池6本をパッケージしたニッケル水素クラスター電池(専用品)が電源となっています。価格は、PS-300本体、ニッケル水素クラスター電池、充電器、ストロボ接続用電源コード、本体用ケース、ストラップがセットで4万2,800円です(取扱店によってセット内容や価格は異なります)。


PS-300では、パワーパックプロ300Nにはなかったチャージスピードを3段階設定できるパワーコントロール機能(上部ツマミで操作する)を搭載。特別な高速チャージが必要ない場面では、チャージスピードを落としてストロボの負荷を軽減できます 付属のケースを外したところ。本体は厚さ約1.5mmのアルミ製。無骨ですがシンプルな造り。ニッシンジャパンによれば、新聞や雑誌などの報道カメラマンにはある程度の認知があるのだそうだ

 このPS-300をキヤノンのストロボ「580EX II」に繋いで撮影を試みてみました。まず驚いたのがチャージシピードです。フル発光後のフルチャージに1秒もかかりません。580EX IIは単体でもそこそこ高速チャージで、エネループなどのニッケル水素電池を装填してフルチャージ約4〜5秒。また単3電池×8本仕様のキヤノン純正外部電源「CP-E4」(2万1,000円、電池別)をエネループと組み合わせて用いると約2秒ですが、PS-300だともう全くの別次元のチャージスピードが得られます。

キヤノンのCP-E4(右上)は単3電池×8本仕様。PS-300よりも軽量でコンパクトな造り 筆者自作のディフューザー。市販の物からカップ麺の器を利用したものまで色々試しましたが、最終的に大型ストロボ用ヘッドのリフレクターにトレーシングペーパーを被せた「提灯」と呼ばれる古典的な手法に落ち着きました。この提灯とクリップオンストロボの組み合わせが適度なメリハリとソフト感となり、筆者好みの光質が得られました

 普段は業務用の大型ストロボもよく使用している筆者ですが、小型ストロボも小型ならではの光質が欲しくて時々用いています。これだけの高速チャージなら、どんなにハイテンポでポートレートを撮影してもチャージが間に合わないことは稀でしょう。

自作ディフューザーと580EX II×1台による作例。低感度と美味しい絞り値を得るにはフル発光が必須ですが、PS-300は安定した高速チャージを提供してくれます(いずれもEOS-1D Mark IVで撮影)

【発光テスト動画】

 ※“580EX II単体”、“580EX II+CP-E4”、“580EX II+PS-300”のそれぞれを「EOS-1D Mark IV」に接続し、10コマ/秒で連写した。いずれも580EX IIはフル発光。PS-300以外のバッテリーにはすべてエネループを使用した。

 

 

 

580EX II×2個同時発光は、「EOS 7D」の内蔵ストロボをマスターとしたワイヤレスで行ないました

 さてPS-300は1台に2本のケーブルが接続でき、2個のストロボを同時平行にチャージできる造りです(2個同時チャージ時はチャージスピードは1台接続時の半分になります)。この機能を活かして、以前から構想していたバッテリーモノブロックストロボの代わりとしてソフトボックスのライティングを試してみました。

 車で移動できる撮影場所であれば、色々な状況を想定して機材を山ほど持って行ったりもしますが、飛行機などでの移動となるとかなりの減量化が必要です。あれもこれもは持っていけない状況では、クリップオンストロボと外部電源で普通にクリップオンとしても使え、違う場面ではバッテリーモノブロック的にも使えれば重宝します。

 で、実際に普段使っている大型ストロボやモノブロックストロボ用のソフトボックスに580EX IIを2個仕込み、1台のPS-300で2個の580EX IIをフル発光でチャージさせながら撮影してみました。


2灯同時発光で試したのは、正方形(一辺80cm)の面光源が得られる古典的なソフトボックスです ソフトボックスの骨に580EX IIをパーマセルテープで貼り付けて固定。ソフトボックス内に十分光がまわるようにワイドパネルを引き出しました EOS 7Dのストロボ光をスレーブしやすいように背面は開放。580EX IIはマニュアルのフル発光。PS-300はの最高速チャージモード(フル出力)です

 結果は非常に満足のいくものでした。580EX II×2台相当の出力を持つバッテリーモノブロックストロボとチャージタイムは同等です。ソフトボックスの光の回りかたも問題ありません。仕込み方をもっと工夫すれば十分実戦で活用できると思いました。

ソフトボックスと580EX II×2台による作例。ポートレートでも十分良いテンポで撮れるチャージスピード。光量も十分で窓外の雪景色も白とびさせすぎないライティングができました(EOS 7Dで撮影)

【撮影中の動画】

 

PS-300は付属の充電器を介してコンセントに接続するだけと、充電に手間はかかりません(充電時間は約4時間)。一方、単3電池×8本の充電はこの写真の通り。16本充電を想像すると気が遠くなります。充電器が1台だと徹夜になるでしょう(笑)

 ほかに自作のディフューザーを用いたり、クリップオンとして直焚きもしましたが、PS-300は常に安定した高速チャージを実現してくれました。

 一方、キヤノン純正のCP-E4はチャージタイムがPS-300の2倍程度かかるものの、フルチャージでも約2秒と必要十分な性能です。でも、2個のストロボを同時に使用したいとなるとCP-E4も2台必要となります。CP-E4は非常にコンパクトなので荷物の量的には問題ありませんが、単3電池×8本仕様には閉口するでしょう。

 泊まりのロケでは寝ている間にすべての電池をフル充電させておきたいものですが、CP-E4を2台使用するには16本もの単3ニッケル水素充電池を充電しなければなりません。普通の4本充電タイプの充電器だと4個も必要で、その荷物の量と充電の手間を想像するとゾっとします。

 その点、PS-300ならニッケル水素クラスター電池のコネクタを専用充電器のコネクタと接続するだけ。充電器もかなりコンパクトなので電池と充電器を2セット持って行っても、“単3電池×16本と充電器4個”よりも全然かさばらず充電の手間も楽です。


580EX II直焚き(フル発光)と高速シャッターによる日中シンクロの作例。晴天の昼間の雰囲気をあえて無くす古典的手法です。試しに580EX IIを1個だけで撮りましたが、2個用いればさらにバックも落ちてより良い雰囲気で撮れたでしょう
なお、ニッシンジャパン、キヤノン、ニコン製以外のストロボユーザーは、パワーパックプロ300N(上写真)が使用できます。また、積層電池の生産が終了してしまったナショナルブランドのグリップストロボ「PE-480SG」、「PE-5651」、「PE-5651N」に対応した「パワーパックプロ400N」もラインナップしています。

 PS-300の本体も非常に丈夫な造りで完全にプロユースを想定してあり、過酷な状況と長期間の使用にも耐えられそうで仕事道具といった感じが伝わってきます。またコードを替えるとニッシンジャパン製ストロボはもちろんキヤノン、ニコン製のストロボにも対応している汎用性もありがたい仕様です。今回は試しませんでしたが、ニッシンジャパンによるとニコンのストロボ「SB-900」に純正外部バッテリーパック「SD-9」で使用した場合よりもやはりチャージタイムは速くなるとのことです。

 キヤノンCP-E4はPS-300に比べてコンパクトで、EOS-1D系ならカメラの下に直付けることができます。またCP-E4は本体が防塵防滴になっているのも屋外で使うユーザーにはメリットになります。一方ニッシンジャパンPS-300はCP-E4に比べるとやや高価ですが、性能、仕様ならびに充電の手間も含めた使い勝手により実戦の現場で高い信頼感が得られるでしょう。


モデル:森仁奈@プロダクションノータイトル
撮影協力:プチホテル ゾンタック(長野県上田市菅平高原)




(野下義光)

2010/3/8 12:25