シグマが7月12日に発売する「DP2 Merrill」の簡単なインプレッションをお伝えしたい。詳細なレビューは後日掲載する予定だ。
DP2 Merrillは、デジタル一眼レフカメラ「SD1 Merrill」と同じAPS-Cサイズ相当・有効4,600万画素(4,800×3,200×3層、記録解像度4,704×3,136)のFoveon X3 Merrillセンサーを搭載するレンズ一体型デジタルカメラだ。店頭予想価格は9万9,800円前後の見込み。
ボディサイズはこれまでのDPシリーズより一回りほど大きくなり、ストラップ取り付け部もコンパクトカメラ用の小さなものからレンズ交換式カメラのような平紐タイプに変わった。右手側の変則的なストラップ取り付け部は、ストラップを取り付けることで先紐が親指の指掛かりのようにも作用した。
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DP2x(右)と比較。ストロボは非搭載になった |
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DP2x(右)と背面操作部を比較 |
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DP2 Merrillのストラップ取り付け部。人差し指に干渉しない |
外観デザインは箱のようにシンプルそのものだが、持ちにくさは感じない。上面にはDP2xにあったモードダイヤルに代わり、電源ボタンわきにMODEボタンを配置。押すと画面下に撮影モードが並び、シャッターボタン同軸のダイヤルもしくは方向キーで選択する。方向キーの感触が良くなり、高級感と操作性が増した印象だ。
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本体上面のボタン・ダイヤル配置。電源オン/オフ時の動作音が静かになった |
シャッターボタンと同軸に配したダイヤルは、一眼レフカメラの前後ダイヤルのような操作性で扱える。クリックがはっきりしていて大変使いやすい。右手の人差し指と親指のどちらでも使うことができるだろう。
従来のDPシリーズもそうだったが、露出の変更時に絞り値などのアニメーション表示がない点が個人的に好印象だ。ライブビュー上のアニメーション表示は多くの場合で操作のレスポンスを悪くし、撮影時のストレスと感じる。表示が高精細化しても操作レスポンスを維持した点は評価したい。
液晶モニターはこれまでのDPシリーズで泣き所とされていた部分かもしれないが、ついに約92万ドットと近年の標準的なスペックになった。コンパクトカメラの液晶モニターは高精細化と明るい環境下での視認性がトレードオフになりがちだが、本機では日差しの下でも全く見えないということはなく、状況によって軽く手で光を遮ってやるなどすれば視認性を確保できた。
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撮影画面 | 液晶モニターの高精細化でメニューも見やすくなった。項目がタブ分けされたのも使いやすい印象 |
高精細化した液晶モニターはマニュアルフォーカスにも役立つ。DP2xと同様、FOCUSボタンでMFに切り替え、方向キー中央のOKボタンを押すと選んだ測距点の付近を拡大表示する。距離設定はフォーカスダイヤルに直接距離を表記していたDP2xと異なり、画面上の距離表示を見ながらレンズ鏡筒部の電子式フォーカスリングを操作する方式になった。
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電子式のフォーカスリング。感触はよい。レンズ先端は49mmのフィルターネジが切ってある | 背面FOCUSボタンで28cm〜∞のAF、1m〜∞のAF、MFをトグル選択 |
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MF拡大表示の様子。シャッター半押しの状態でピントリングを回しても自動的に拡大表示する。画面下には距離指標 |
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測距点変更は方向キーの下を押して行なう。9点もしくは任意位置から選択可能で、大きさは3通りに変えられるようになった(DP2xは2通り)。写真は9点から選択の様子 | 測距点サイズを小さくしたところ(9点から選択の様子) |
AF速度は現行のレンズ交換式ノンレフレックス機ほど機敏ではないが、合焦しやすいポイントを選んで測距してあげればストレスはない。ライブビューはAF動作中も描画が追従する。感度などの設定変更には、従来から搭載されているQSメニューが便利だ。
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QSボタンのトグルで呼び出せるQS1(左)とQS2(右)。項目はすべてカスタマイズ可能 |
シャッターボタンを押して撮影すると、アクセスランプが光って書き込み処理が始まる。その際にポストビュー表示(設定で省略可能)はされるものの、拡大表示できる再生画面には書き込み処理が終わるまで移行できない。シグマ機としてはお馴染みの“待ち”だが、初めて同社カメラを手にしたユーザーは多少戸惑うかもしれない。右下に連続撮影可能枚数が表示されており、書き込みを待たずとも続けてシャッターを切ることはできる。再生画面の拡大(ダイヤル操作)・スクロール操作(方向キー)はレスポンスが良かった。
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再生画面の拡大表示。1.25倍(左)から10倍(右)までダイヤルで細かく選択可能 |
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再生画面の詳細情報表示 |
バッテリーは従来のDPシリーズと互換性のない新型「BP-41」になった。カタログ値の撮影可能枚数が約97枚というのに不安を感じた方も多いかもしれないが、筆者が試用した限り、操作を試しながら1〜2時間で約120〜130枚ほど撮影したところで「充電してください」の表示が出た。DP2 Merrillにはバッテリーが2個付属するというが、本機のRAWファイルは1枚45MB前後のサイズになるため、2個のバッテリーを使いきる頃には8GBのメモリーカードが埋まってしまうだろう。
撮影はRAW+JPEG同時記録が可能。同時記録のJPEGファイルでも本機の描写は味わえるが、SIGMA Photo Proで現像すればさらに細かな部分が際立つ。これまでのDPシリーズでもFoveonならではの手触りが伝わるような描写にたびたび驚かされたが、DP2 Merrillはそれを更に上回るだろう。同じセンサーを採用するSD1 Merrillと比較しても、レンズ固定式ゆえにセンサーとのマッチングで有利な部分もあると考えられる。
まだ発売時期こそ未定なものの、45mm相当のDP2 Merrillと同時に開発発表された28mm相当の「DP1 Merrill」にも期待がかかる。好みの画角を選ぶか、2本の単焦点レンズを持ち歩く感覚で使い分けるか、楽しみ方はいろいろだろう。
■実写サンプル
- 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像をダウンロード後、800×600ピクセル前後の縮小画像を表示します。その後、クリックした箇所をピクセル等倍で表示します。
- 縦位置で撮影した写真のみ、無劣化での回転処理を施しています。
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同時記録JPEG(High)。DP2 Merrill / 約6.1MB / 3,136×4,704 / 1/200秒 / F8 / 0EV / ISO200 / 30mm | SIGMA Photo ProでRAW現像。DP2 Merrill / 約7.5MB / 3,136×4,704 / 1/200秒 / F8 / 0EV / ISO200 / 30mm |
以下はいずれもRAWデータをSIGMA Photo Pro 5.3でJPEG保存した。調整設定は「X3F」、保存オプションはデフォルトのまま(JPEGクオリティ10)。
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DP2 Merrill / 約3.1MB / 3,136×4,704 / 1/500秒 / F2.8 / 0EV / ISO200 / 30mm | DP2 Merrill / 約3.8MB / 4,704×3,136 / 1/200秒 / F8 / -1.3EV / ISO200 / 30mm |
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DP2 Merrill / 約3.5MB / 4,704×3,136 / 1/320秒 / F4 / -0.7EV / ISO200 / 30mm |